1. TOP
  2. 専門獣医師が解説する哺乳類・鳥類の温度と湿度

専門獣医師が解説する哺乳類・鳥類の温度と湿度

温度湿度計

温度

暖めること

ケージ内の温度は、動物の数(密度)やケージの大きさなどによって大きく影響を受けます。温度の変化は動物の活動性、食欲、排泄などに影響し、マウスやラットでは30℃以上になると開口呼吸や喘ぎがみられます〔Yamauchi 1995〕。一方、低温になると、シマリスやハムスター、リチャードソンジリスなどでは冬眠してしまいます。適切な温度管理を行うため、ケージを置く部屋自体の温度をエアコンで管理すると楽になります。特に暑さに弱い、ウサギやチンチラではエアコンで温度設定をした方がよいです。インコやオウム温暖な地域に生息しているので、寒さ対策がもちろん必要になります。

エアコン以外の保温方法は、床敷を綿に変えたり、床敷を厚く敷くのも一方法です。また、パネルヒーターやフィルムヒーターをケージの下に設置するなどの策をとりましょう。ペット用のカイロや保温球などを使ってもよいでしょう。エアコン以外に温度を下げる方法は、風通しのよい部屋にケージを置いたり、送風機を使ったりします。また、金属ベット(金属板)板やストーンベッドなどを入れてあげたり、保冷剤などをケージの外においてあげましょう。ケージの上段と下段、または室内の中のケージを置く場所によって温度差は生じるため、温度計を使って必ず温度管理を行って下さい。

湿気と換気との関わり

温度はさらに湿度や換気などの影響を強く受けます。保温すると湿気がこもります。また換気良ければ、体感温度は高くならないです。一概に温度設定は、各ケージによって異なってくると思います。

年中温度一定で良いのか?

温帯に生息する哺乳類や鳥類は四季を感じて生活しています。その日照時間や温度変化で発情がコントロールされます。一年中温度が温かい状態にいって、いつでも発情してしまうという欠点があります。

湿度

実際にケージ内では、動物の呼気、糞や尿、給水器などからの水分の蒸発によって、湿度は上昇しがちになります。湿度が上がることで、ケージ内の微生物の増殖が起こりやすくなり、細菌感染の原因になります。乾燥し過ぎると、鼻や呼吸器の粘膜を傷害したり、過敏症になりがちになり、鼻炎気管支炎の原因になります。理想の湿度を保つには、除湿器や加湿器で管理して下さい。

換気(風通し)

換気、いわゆる風通しは温度や湿度に大きく影響します。換気が足りないと、温度や湿度はやや高くなります。水槽ケージであると換気が作れなくなります。換気が足りないことで、尿のアンモニアがケージ内にこもります。アンモニアは結膜炎鼻炎の原因になることもあります。モルモットなどの排泄物の量が多い動物では、頻繁な掃除ならびに十分な換気が必要になります。エアコンなどによる送風は換気にもなりますが、動物に直接風を当てすぎると体調を崩す原因になります。

参考文献
■Yamauchi C.Studies on the environmental control of laboratory animals. Exp.Anim 44.p9-21.1995