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専門獣医師が解説する哺乳類・鳥類の照明

生活リズムを考えて!

それぞれの動物には生活する上でのリズムがあります。昼あるいは夜に活動し、それは天敵からの逃走、エサの確保のためなどに所以して決定されています。脳内で、活動や睡眠などのリズムが整えられています。私たち人間は朝起きて昼に活動して夜に眠りますが、動物によって人と同じに昼に活動する動物(昼行性の動物)、反対に夜に活動する動物(夜行性の動物)に分けられます。その活動に沿って各身体の機能が働くために、可能な限りそのリズムを飼育下でも再現できることが望ましいです。このリズムが崩れること、精神や体に良くない影響をおよぼします。時差ボケは代表的な例の一つですが、長期的なリズムの乱れになると、深刻な体の健康を悪化させます。ホルモンや代謝系および自律神経系などが影響を受けます。

昼行性の動物

昼行性の動物は明るい昼に活動するので、光の照射、いわゆる自然の太陽光やライトが必要になります。ただ明るいだけでなく、太陽光には可視光以外の赤外線や紫外線などが含まれており、動物にとっては重要な要因になります。赤外線は保温効果があり、白熱電球が紫外線ライトとして保温のために使われることが多いです。紫外線は、シマリス、プレーリードッグ、ジリスなどのリス類、コモンマーモセットやリスザルなどのサル類、インコやオウムでは重要です。紫外線はビタミンDの合成やカルシウムの骨への沈着の作用を施しますので、紫外線が不足すると代謝性骨疾患くる病などの骨の病気になりやすくなります。屋内飼育では紫外線の290~320nmの波長を含むライトを、昼間の時間に合わせて照射するべきでしょう。紫外線はガラスを通過しないため、ガラス越しの太陽光を浴びさせても意味はないです。

夜行性の動物

夜行性の動物は明るい環境よりも、薄暗い環境によく順応します。昼はケージを暗い所に移すか、ケージに毛布などの被せます。昼夜をしっかりと明確にしてないないと、生活のリズムが崩れ、マウス、ラット、ハムスターなどのげっ歯類では発情ならびに繁殖活動に大きく影響することが分かっています〔田嶋 1991〕。夜行性のフクロモモンガなども昼夜を明確にしないことが、ストレスの原因となり、自咬症の一原因とされています。つまり、昼も夜も電気をつけっ放しにしていると体のリズムが崩れる原因になります。
フクロウ
参考文献
■Collins BR.Antimicrobial drug use in rabbits,rodents,and other small mammals.In Antimicrobial Therapy in Caged Birds and Exotic Pets,An Internatinonal Symposium.Veterinary Learning Systems.Florida.p3-10.1995
■田嶋嘉雄.実験動物学.朝倉書店.東京.1991