フェレットが吐いてしまいました・・・〔専門獣医師解説〕
フェレットはよく吐く動物です
フェレットが吐く理由は沢山ありますが、キーワードは「吐物(吐いた物)」、「吐いた回数」、「ぐったりしていないか」の3つの確認が大切です。
- 吐いた物はどんな感じ?
- 何度も吐いてますか?
- 吐いた後ぐったりしてませんか?
吐いた物はどんな感じ?
異物を食べた、胃内の毛球、胃炎/胃潰瘍、内臓の病気など色々な病気が原因として考えられます。吐いた物が赤色を帯びていたりしていたら、胃炎/胃潰瘍が疑えます。胃内での出血があると、しばらくすると糞が黒色のタール状になります。
吐いた物が白色あるいは半透明のネバネバした液体であれば胃液の可能性があります。胃液であると、すごく酸っぱい臭いがあるかもしれません。何も食べていないのに吐くというのは何か原因があるはずです。吐いた物の多くが胃液か餌だと思います。時に餌とともに、毛球や異物がみられることがありますので必ず確認してください。時間が経ってから、糞に毛球や異物が含まれていることもあります。
- 吐いた物に血がついていたり、物や糞に毛球や異物がありませんか?
- 胃炎/胃潰瘍は異物や毛球でも起こりますが、フェレットに胃炎/胃潰瘍を起こすヘリコバクターの検査をしておきましょう。
何度も吐いてますか?
フェレットが餌を食べている最中にむせて、一回だけ少しだけ吐くようなこともあります。この場合は、その後もまた餌を食べ始めたり、お水を飲んだりして、まったく普通の状態になります。多くの場合、3回くらい吐くと胃の中が空になるのか、吐くのが止まります。その後に餌を食べずに元気でいるならば、5~6時間の間絶食して水だけ与えてみて下さい。しばらく胃を休ませてみるのも一方法です。その後少量づつ餌を食べて、その後に下痢や軟便でなければ大丈夫です。
吐く回数が多いとフェレットも脱水を起こします。脱水をすると、食欲も落ちて元気がないかもしれません。
吐いた後にぐったりしてませんか?
吐いた後にぐったりするようであれば、何か大きな病気があるはずです。一番に心配なのが毛球や異物による消化管の閉塞です。閉塞する場所は胃であったり、腸であったりもします。また、胃腸の腫瘍などでも同じ症状が起こります。
- 早急に動物病院で診察をしてもらうべきです。
ぐったりとしている時は、他にも気持ち悪い症状や腹痛などを確認してください。フェレットは気持ち悪くなると、口をクチャクチャさせて、目を細めて辛そうな顔になり、ひどくなると口もとを前足で引っかくような行動をします。そして、地面にお腹をつけて動かなくなります。腹痛かあると、お腹あたりがピクピク動かし、歯ぎしりも見られます。お腹を触わると張っています。ショック状態になると、反応が鈍くなり、耳などを触ると冷たいです。
- フェレットを詳しく診てくれる動物病院でなく、詳しく診てくれる獣医師を探しておかなければなりません!その病態の判断が間違うと急死します。
- 緊急事態にも差がありますので、一概に治療や処置の内容は言えません。
以下の項目を獣医師に伝えてください
- いつから吐いてるのか?
- 吐いた物は?
- 吐いた回数は?
- 気持ち悪い症状はあるか?
- お腹が張っていないか?
- 歯ぎしりしていないか?
- 体が冷たくないか?
吐いた後にぐったりしている時の対応
できることはごくわずかですが、最低限の対応を解説します。下記の方法を行い、フェレットの状態が悪化しても、当方は責任を負えませんのでご了承下さい。
その1
吐いた後は無理にエサを与えないで下さい。水入れの水を飲ませたり、口にお水をスポイトなどで与えてみましょう。自ら飲むようであれば少量にとどめます。ペット用の電解質飲料があれば、水よりもよいです。飲ませてもまた吐くようならば無理にやらないで下さい。
その2
体温が極端に低い場合は、大至急保温をして下さい。ホカロンや湯たんぽを体の周りに置いたり、ペット用のヒーターの上にのせたり、エアコンで室温を上げたりなどの対策をしましょう
その3
毛球や異物による消化管の閉塞では腹痛があります。腹痛のためにお腹が張っているかもしれませんが、無理してお腹を強く押したり、無理なマッサージは不要です。お腹に手を当てるくらいは構いませんが、多くのフェレットはお腹を触られるのを嫌がります。時には噛んでくることもあるので注意して下さい。
その4
フェレットがウロウロと動き出してくるようであれば、よくなっている可能性があります。毛球や異物が移動して閉塞が解除されると、一時的によくなります。糞から出でているようであればラッキーですが、全てが排泄された保障がありません。
まとめ
胃炎/胃潰瘍は処置さえすればその場で治るものではありません。ヘリコバクター感染症であれば、長期間にわたり薬が必要になりますので、しっかりと検査をして診断をつけて治療をしないと繰りかえして起こります。毛球や異物による閉塞は、軽度のものから重度のものもあります。突然に状態が悪化するものもいれば、少しづつ悪くなるものもあります。閉塞が解除すると、翌日にはケロッとして復活することもありますが、突然死することもあります。もしも復活しても、念のために動物病院で診察は受けて、獣医師の診断や治療にしたがって下さい。上記に説明した病気以外にも、内臓の病気、中毒など、吐くという症状が色々なことで起こります。
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