爬虫類の温浴
えっ?おふろ入れるの?
●爬虫類を飼育するうえで、生体を温めたお湯につける温浴をすることが定説とされています。しかし、野生では温浴する状況はありませんので、その意義の解釈や方法などは一定な答えはありません。
●日本のペットショップや動物病院では温浴を勧めている所が多いです。お湯につけると鱗がふやけて、脱皮が促進しやすくなります。温浴の際に飲水をすることが多いので、消化管うっ滞や便秘にならないようにし、腎不全や膀胱結石を予防します。爬虫類の飼育書でも温浴を推奨しているものが多いのは、メリットが多いという考えからきています。
温浴方法
●温浴をさせる方法は、プラスチックのケースや洗面器などにお湯をはります。水深が深すぎると動物が安定せずに暴れだすことがあるので、しっかりと足がつく深さにします。
●温浴させるべきか、お湯の温度は?温浴の頻度は?など、温浴に関する疑問は永遠の課題です。
温浴の正しいノウハウはありません
温浴時の温度は?
●温度が低いぬるま湯?36℃くらいのぬるま湯?人肌より微妙に温かいくらい?温浴時の水温については、飼育者によって意見がまちまちなのが現状です。生体によって異なりますが、30~38℃くらいがよいと思います。
長風呂は体が冷えます
温浴の時間は?いつやる?
●5~10分くらいが一つの目安です。時間の経過とともに水温がどんどん下がっていきます。
●治療の一環として長い時間の温浴をする場合は、お湯の継ぎ足しが必要になります。適切な温度を保ち続けてやる必要がありますので、大変です。
●起床直後では体温が下がっているので、いきなり温浴させると温度差が起こり、ストレスや体調を崩す原因になります。起床後にしばらくたってから温浴をさせましょう。
温浴の頻度は?
●毎日あるいは週に1回程度の飼育者が多いです。しかし、便秘や膀胱結石、脱皮不全のある場合は、週に数回の温浴を勧めています。
温浴は必ずしないといけないのか?
●温浴をさせるべきか否かは、飼育者の間でも賛否が分かれます。
温浴のメリット・肯定派の意見
●温浴の時に水を飲むと、便秘や結石の予防になります。Drツルも治療の一環として勧めることがあります。
●エサからしか水分をとらないフトアゴヒゲトカゲなどでは、温浴が必要になります。
便秘している場合はぜひ温浴を!
●温浴で体が暖まり、代謝が活発にることで体調を整えられます。食欲もあがる個体が多いです。
●甲羅や皮膚、総排泄孔(肛門)の汚れを落とし、体が綺麗になります。エサを食べる際に食べかすなどが口の周りについてしまったり、糞を踏んづけてしまって体にこびりついてしまう場合には、温浴の際に綺麗にしてあげてください。
●脱皮が苦手な個体では、温浴で古い鱗がふやけさせて、脱皮を促進します。脱皮不全がよく起こる場合には積極的に温浴が勧められています。
脱皮不全の場合はぜひ温浴を!
●温浴時に排泄の習慣がつけられ、掃除の手間が省けます。
●冬眠前には、消化管や膀胱内を空にしないと腐敗するため、温浴が必要になります。
温浴のデメリット・否定派の意見
●水容器から水を飲んでいるならば、必ずしも温浴に頼る必要はないです。
●温浴によって、強制的に体温を上げて、食欲や排泄を促すというのは、自然下ではありえないことなので、動物に対してストレスの原因になります。
●温浴時に排泄を促す個体では、長時間や毎日の温浴をしてしまうと、未消化のままの糞が出ることがあります。
●温浴時の排泄は水が汚れ、排泄後に水を飲んでしう可能性があるので、衛生上よくないです。
●温浴そのものの手間がかかるので、面倒です。
●お湯の温度が高いと火傷をおったり、水深が深くておぼれる事故があります。