プレーリードッグ・ジリスの呼吸が変・・・ 専門獣医師が解説する歯牙腫
前歯の根っこのしこりが歯牙腫(しがしゅ)!
歯牙腫は歯の根っこの組織が腫瘍のように丸く増殖する病気です。英語名でオドントーマ(Odontoma)とも呼ばれています。人や犬などの歯牙腫とは病態が異なるために、仮性歯牙腫と呼ばれることもあります。
なぜなるの?
プレーリードッグの前歯は常生歯で、生涯伸び続けます。歯の根っこの先端には空間かあり、歯を伸ばす細胞が埋まっています。
根っこの細胞が失活して、腫瘍のように丸いコブのように増殖をします。
細胞が失活する原因は、金網ケージをかんだり、前歯が折れることなどで、根っこに刺激が加わることが考えられます。
どんな症状?
上顎の前歯のコブは、鼻の通り道(鼻腔)の真下にあるので、鼻炎を起こしたり、呼吸がしずらくなります。下顎の前歯のコブは、顎のあたりに位置しますので、口が開けずらくなります。初期症状は、くしゃみ、ヒュウヒュウという呼吸音、鼻水、鼻を気にする症状がみられ、次第に呼吸がしずらくなり、食欲が落ちて痩せてきます。
ひどくなると、呼吸困難になり、お腹にガスがたまり、衰弱して死亡します。
プレーリードッグは呼吸のほとんどを鼻で行われますので、歯牙腫のしこりが鼻腔を塞ぐことにより、開口呼吸や呼吸困難などの呼吸器症状がみられます。
検査は?
歯牙腫はレントゲン検査やCT検査で前歯の不正や折損の確認、歯根部の腫瘤の確認により診断します。
歯根の小さい腫瘤
治療は?
完治させるのは外科的に歯根に腫瘤ができた歯を抜歯するしかないです。内科治療はあくまでも進行を遅くするだけです。内科治療は、抗生剤や抗炎症剤の投与、ネブライジングなどを行います。しかし、内科的治療は鼻炎の治療や全身状態、食欲、呼吸状態などの改善を目的にしています。抜歯は全身麻酔で行われ、コブを完全に摘出できれば完治が期待できます。しかし、歯が弱っていると途中で歯が折れます。コブが周りの骨と癒着がひどいと抜けないこともあります。その判断はCT検査になります。
抜歯が失敗に終わったり、抜けない場合は、鼻の上部の骨に穴を開け、別の気道を確保する方法があります。しかし、鼻腔が変形したり、狭まくなっていると、穴を開けても呼吸状態は変わりません。この判断はCT検査になります。
一度あけた穴はふさがらないのですが、皮膚は自然にふさがってくるのど、定期的に穴を広げる処置も必要になります。
・英語でオドントーマとも呼ばれている
・食べずらくなるだけでなく、鼻水がでたり、苦しくなる
・完治は手術しかない
まとめ
歯牙腫は金網ケージを噛ることが原因で、前歯の根っこの細胞に異常がみられ、しこりになります。治療は大変なので、とにかくケージを噛らせないようにしましょう。