ウーパールーパーってどんな動物?専門獣医師が解説するする知らないといけない生態と特徴〔Ver.2〕
アホロートルって?
ウーパールーパーの学術的にはアホロートルと呼ばれているメキシコサンショウウオ(メキシコサラマンダー)です。アホ?間抜けな顔をしているからアホ?と言う名前がついたのでしょうか?
・Axolotlという言葉は15~16世紀のメキシコのアステカ文明で表記されていたもので、Altは水、Xolotlは犬を意味し、水に住んでいる犬という意味になります。神として崇拝の対象となっていました。
原種は絶滅危惧種としてワシントン条約のCITESⅡ掲載種となり、海外への輸出が禁止されています。日本で流通しているものは全て国内でCB(繁殖)個体です。日本では1985年に日清焼そばUFOのコマーシャルにで、宇宙からやってきた「ウーパールーパー(現地語で、愛の使者という意味)」と呼ばれるキャラクターに使われたことがありました。色はアルビノで、ポップなキャラクターソング(ウーパー・ダンシング)とともに大流行し、一世風靡をしました。これがウーパールーパーの始まりで、このブームのためにアホロートルやメキシコサンショウウオとしてではなく、ウーパールーパーという名前が有名になりました。当時のキャラクターが白色であったため、ウーパールーパーは白いのがノーマルという印象が強くなっています(原種は黒系統の斑模様です)。
www.6262.co.jp/blog/2017/07/-1985-ufo-ufocm.html
アホロートルもしくはメキシコサンショウウオ(メキシコサラマンダー)と呼ぶ方が好ましいですが、本稿では本種をウーパールーパーと呼ぶことにします。
分類・生態
分類
両生類有尾目トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属
学名:Ambystoma mexicanum
英名:Axolotl(Mexican mole salamander,Mexican walking fish)
別名:ウーパールーパー
分布
メキシコのソチミルコ湖およびその周辺
現在のソチミルコ湖は土地開発や埋め立てなどによりほぼ残っておらず、湖とは呼べなくなるほど小さくなり、用水路のようになっています。以前はメキシコ盆地内のスムパンゴ湖やチャルコ湖・テスココ湖にも生息していましたが、やはり埋め立てにより生息地が消滅しています。数世紀にわたる開発や水質汚染、さらに外来魚も持ち込まれ、生息数も激減しています。メキシコ政府は1992年に、残されたメキシコサラマンダーを守るためにソチミルコを自然保護区とし、周囲の一帯もユネスコの世界遺産やラムサール条約登録湿地にしています。
生態
環境
・ソチミルコ湖はメキシコ盆地南部にあり、平均標高は約2,200mです。最も暑い時期で最高26℃、最低10℃、寒い時期には最低5℃にまで下がり、冷たい湖です。
行動
・夜行性で、昼は岩の隙間や倒木の下などに隠れて、夜に活動します。
・両生類の幼生は鰓を持ち、鰓呼吸をしています。変態をすることで四肢が生えて、鰓を消失し、肺や皮膚による呼吸を行います。しかし、メキシコサラマンダーは鰓を持ったまま幼生の外貌で性成熟を迎え繁殖が可能となります。このような現象をネオテニー(幼形成熟)と呼ばれています。
食性
・肉食性で、水中の子魚、昆虫、甲殻類(小エビ)、ミミズなどを食べています。
・活発に動き回って補食するのではなく、環境にとけ込んで待ち伏せして、目の前を通った獲物を一口で飲み込みます。
寿命:平均寿命は10~15年、野生では5~8年です。
身体
全長:10~25cm(オスの方が大きくなります)
体重:50~200g
性格
温和で大人しいですが、餌と間違ってかみつくことはあります。
特徴
メキシコサラマンダーは驚異的な再生能力を持ち、手足や尾、エラのみならず損傷した臓器までも再生します。このことから採取され、実験動物として長く研究されています。
円筒の胴体
胴体は円筒状で、大きな尾を持っています。尾には上下に薄い背びれと腹びれがあり、左右に振って水中を泳ぎます。
外鰓
左右に3本ずつ外鰓(がいさい)と呼ばれる鰓を持っています。エラは水中で生活する動物が、水中の酸素を取りこみ、体内の二酸化炭素を排出して呼吸を行うためのものです。魚に見られるエラは内鰓(ないさい)と呼ばれ、体外へ突出する樹枝状や羽状などの鰓を外鰓と呼びます。
胴体の縦筋
皮膚の表面が滑らかな個体が多いですが、粒状の突起がある個体もおり、脇腹には12本の肋条と呼ばれる縦溝が見られます。
歯
口には明確な歯はありませんが、口の中の口蓋の上顎中央部に並ぶ歯を持ち(口蓋歯や鋤口蓋骨歯列と呼ばれている)、逆U字に並んでいます。両生類の有尾類では種類の鑑別に使われます。
指
短い四肢には指があり、前肢の指は4本、後肢の趾は5本です。指は扁平で先端が尖り、わすかな爪を持ち、水かきはあまり発達していません。
・サンショウウオが幼形成熟(ネオテニー)したものがアホロートル
・現地のメキシコのソチミル湖では絶滅に近い
・ソチミルコ湖は冷たい湖
・胴は円筒状、大きな尾、背びれと腹びれがあり、水中を遊泳する
・左右に3本ずつ外鰓がある
・夜行性
・肉食性で、水中の子魚、昆虫、小エビ、ミミズなどを食べる
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