専門獣医師が解説する爬虫類の床敷
ケージの下に敷くものは何がよい?
「爬虫類のケージに敷く床材は何を使っていますか?」床敷の役目とはケージの中で、足が滑るのを防ぎ、かつ見た目もよくしたいです。機能的なことだけを考えがちですが、生息地の湿気も床敷で調整できるし、そして穴掘りなどの習性を満たすことも考慮し、さらに安全なものでなければいけません。
- 足が滑らない/歩きやすい
- 見た目がよい
- 湿度調整
- 穴掘り
- 安全性
- コストパフォーマンス
まずは足が滑らないようにしないと床敷の役割を果たしません。一般的には約3〜5cmの厚みになるように敷きますが、大きなケージや巣穴のように潜る習性のあるものでは膨大な床敷の量が必要となり、コストパフォーマンスが悪くなります。生体の種類によって床敷の材質で湿気も作らないといけません。一部の爬虫類は床敷を食べて誤飲の危険性はありますので、注意しないといけません。日頃のお手入れも、糞やオシッコが付いた部分の床敷を取り除き、汚れ具合によって、定期的に交換しないと、臭いが気になります。最近は床敷が素材でなく、マットタイプの床敷も販売されています。
床敷の臭い対策ならコレを撒いて!
床敷に混ぜる消臭砂!天然のゼオライトという砂は悪臭となる有害物質を吸着してくれます。ケージや水槽の糞やオシッコをする場所のヤシガラや床砂に混ぜてみて下さい。さらに配合されている3種類のバクテリアが、有害物質を分解するという徹底的な効果が期待されます。一度使うと手放せないです。一度使ってみて下さい。
選び方
種類ならびに生態毎に分けて解説します。
ヒョウモントカゲモドキ・フトアゴヒゲトカゲ・リクガメのための乾燥系の床敷
乾燥した環境を再現するなら、砂系、植物系、セラミック、紙系の床敷が使われます。
- 砂系
- 植物系(バークチップ、クルミの殻)
- セラミック
- 紙系(キッチンペーパー、ティッシュ)
砂系
細かい乾燥した床砂がよく使われており、生息地をイメージさせてレイアウト的に見た目も優れています。商品として販売されているものは、砂の粒の大きさは様々です。見た目だけでなく、バスキングライトやパネルヒーターで保温していると砂自体も暖まり、温まった砂の上にいる生体も暖まります。また、穴を掘る習性のあるヒョウモントカゲモドキやヨツユビリクガメなどは、床砂をかくことで習性が満たされてストレスが減る効果があります。
床砂の欠点は、粉塵として目に入って角膜潰瘍や角膜炎が起こる可能性と、エサと一緒に誤飲した際に、消化管閉塞の可能性があることです。爬虫類や両生類はエサ容器からエサをきちんと食べるとは限らず、特に生き餌などは容器から逃げ出すので、必然的に床砂と一緒に口にします。砂は少量であれば自然に糞と一緒に排泄されますが、運悪く胃や腸につまってしまうことがあります。多くの床砂商品は排泄されやすい形状にするなどの策を取っています。下の写真はヒョウモントカゲモドキの床砂の誤飲のレントゲン写真です。砂はレントゲンにうつるために明確に診断できます。
下の写真はウーパールーパーの床石の誤飲のレントゲン写真です。エサを吸い込んで食べるので、床石を一緒に誤飲しやすいのです。
(砂系)カミハタ ナミブサンド
レイアウト重視ならコレ!アフリカのナミブ砂漠の砂で、赤い砂漠とも呼ばれています。雰囲気もバッチリで、ムードをより深めます。天然の砂漠は長い時間の風化によって砂の角がとれて丸くなっており、誤飲しても胃腸を傷つけることはなく排泄します。2.0kgのサイズだけになります。
(砂系)ジェックス デザートソイル
臭い対策砂ならコレ!天然の赤土から作られた多数の小さな孔が開いた砂です。この多孔性の砂は糞やオシッコのアンモニアも吸着し、砂は排泄物とともに固まるので掃除も楽です。そのまま使えば乾燥系、散水すれば砂が水分を含んで保湿系として使えるので、便利な床砂です。800g、2kg、4kg、10kgと沢山のサイズがあります。
(砂系)ニッソー WPホワイトサンド
インスタ映えならコレ!とにかく綺麗にみせたいならコレを使って下さい。砂漠のような白くサラサラの天然砂で、ガラスの原料にも使用されているオーストラリア産超高純度珪砂を使用しています。誤飲しやすいと思われがちですが、細かい砂だけに排泄しやすいです。
植物系
植物系ではクルミの殻を砕いて床砂に似せた商品や赤松や黒松などの松の樹皮を細かくしたバークチップが使われます。クルミの殻を砕いて床砂に似せた商品は、見た目はまるで砂そっくりにできています。素材がクルミの殻を砕いたものなので、誤飲しても安全であるため人気があります。
(クルミの殻)カミハタ デザートブレンド クラシック
食べても安全な砂?ならコレ!植物のクルミから出来ているので、燃やせるごみとして破棄できます。クルミの殻は細かくて、砂よりも軽く、サラサラしています。砂と間違えて購入する人が多い位です。2.2kgと4.4kgのサイズが販売されています。
バークチップは一つ一つの欠片の大きさが異なるので、爬虫類にとって歩きやすい大きさの製品を選んであげて下さい。
(バークチップ)ポゴナクラブ バークチップ
大きなリクガメ向け!歩きやすい!小さくもなく大きくもない大きさなので歩きやすい松の樹皮のバークチップです。松の香りがストレスを和らげます。4㎏と8㎏の商品があります。
セラミック系
最近はセラミックサンドと呼ばれるセラミックを焼いて作った砂も流通しており、消臭や有害物質も吸着する作用があります。セラミックサンドは潰すと砕けるように作られており、生体が誤飲しても排泄しやすくなっています。
(セラミック)ジグラ アギト レプタイルサンド アラメ
温かい!誤飲しても排泄する!かっこよい!セラミック床敷!フトアゴヒゲトカゲとヒョウモントカゲモドキの飼い主さんコレ使って下さい。乾燥系のセラミックの床砂で、軽くて濡れても固まりにくくなっており、円柱状の砂の形は誤飲しても、排泄しやすくなっています。粗目(アラメ)と細目(ホソメ)との2つのタイプがあります。
紙系
見た目を気にしなければ、キッチンペーパーやペットシーツなどの紙系の床材が選ばれます。粉塵もないので目のトラブルを避ける目的で使用されることもあります。
ヘビなどの保湿系の床敷
熱帯や亜熱帯に生息している爬虫類には、土砂系や植物系の保質力の高い床敷がお薦めです。保湿系の床敷のデメリットは カビや虫が発生しやすいので、 定期的に交換することを心掛けて下さい。
- 土砂系(赤土、黒土)
- 植物系(ヤシガラ土、水ゴケ)
(土系)ジェックス テラリウムソイル
ワイルド感満載だぜ!見た目だけではありません。土壌にいるバチルス菌が生きたまま配合された黒ボク土です。バチルス菌は食べかすや糞のアンモニアまで分解して、ケージの中の衛生状態をよくしてくれます。黒ボク土は通水性ならびに保水性にも優れ、テラリウムの植物まで丈夫に育ちます。2kgと4kgのサイズがあります。
植物系ではヤシガラ土、ウッドチップなどよく使われます。散水する量で保湿の程度を変えることができます。保湿力をとにかく求めるなら水ゴケがベストです。水ゴケは水でふやかしてから使います。ケージの床全体に敷くだけでなく、シェルター内だけの局所的に湿度を上げたい時にも使われます。
(植物系)ジクラ 万能ヤシガラマット
臭い対策ならコレ!天然ヤシガラ100%で、アンモニアを吸着し、脱臭に優れています。ふやかして使用する圧縮タイプなのでコンパクトで、ストック場所もかさばらりません。4㎏と8㎏のサイズがあります。
(植物系)アイリスオーヤマ 水苔 最高級水苔 AA+
脱皮対策ならコレがベスト!保水性・排水性に優れた水苔です。脱皮不全が怖い飼い主さんなら有名な商品ですよね。水でもどしてからお使いください。床敷の一部に置いてもよし、シェルターの中だけに入れてもよしです。
乾燥でも保湿でも使える床敷
乾燥でもなく、やや湿った位の地域にいる爬虫類には何を使ったらよいのでしょうか?季節によって半乾燥や湿潤した環境を作らないといけないこともあるし、表面は乾いているけれど掘ると湿っているという状況などでも困ってしまいます。このような時にはヤシガラ土やウッドチップなら状況に合わせて全体を湿らせて使ったり、深い所は湿らせることもできます。必要に応じて霧吹きや散水して保湿の具合を変えることができます。
(ウッドチップ)ポゴナクラブパームマット
とりあえずならコレからスタート!天然ヤシのチップで、乾燥系から高湿度を好む生体まで幅広く使えます。吸臭・脱臭力が強く、衛生的に使えます。4㎏と8㎏のサイズがあります。
マットタイプ床敷
床材でなく、マットタイプの床敷もあります。ケージの大きさに合わせて切って使用できます。そのままマットだけの使用の他にも他の床材と併用もできます。
dooti ココナッツマット 80×40cm
ココナツ繊維マット!どちらかというと乾燥系の床敷として使ってください。見た目もよく、耐久性があります。繊維で作られているので、吸湿性、防湿性、防カビ性を持ちあわせています。糞やオシッコで汚れたら繰り返して使用できるのがよいですね。
ANION テラリウムマット 57×42cm
人工線維のマット!ゼオライド入りの人工繊維で作られているので、とにかく耐久性は保証します。2ヵ月は持ちます!吸湿性、防湿性、防カビ性はもちろんのこと、抗菌と防虫効果まであります。糞やオシッコで汚れたら繰り返して使用できます。
まとめ
爬虫類の床敷は足場になるだけでなく、温度や湿度管理にも影響し、穴をほるような自然の行動を生み出します。もちろん限られたケージ内の衛生管理のために掃除も楽にできるものが理想です。病気にさせずに健康にするために、床敷選びも大切なので、しっかりと選んであげましょう。