爬虫類・両生類の脱皮

脱皮とは?
爬虫類は体表からの水分蒸散による乾燥を防ぐため、皮膚の表面に硬い鱗を持っています。鱗は摩擦や衝撃などの刺激から身を守る役目もあり、ケラチンを多く含み、死滅した細胞が厚い角質を形成しています。この鱗は成長に伴って、周期的に新しい角質層が下に作られ、外側の古い鱗が剥がれて脱落するのが脱皮です。
どれくらいの間隔で脱皮するの?
脱皮の頻度は、種類、気温や湿度、栄養状態、成長などによって異なり、一概に脱皮頻度はこのくらいが普通ということは言えません。
幼体か?成体か?
新陳代謝の激しい幼体の期間は脱皮の頻度が高く、成体になると脱皮の間隔が長くなります。
夏と冬?
爬虫類は夏になると気温が高くなり、新陳代謝が高くなるので脱皮の頻度が高くなります。
種類で違う?
あえて言うならばヒョウモントカゲモドキとフトアゴヒゲトカゲは2〜3週間に1回、ナミヘビは1〜3ヵ月に1回くらいだと思います。ヘビやヤモリの仲間は、比較的決まった頻度で脱皮することが多いです。幼体時のヘビも2週間に1回の割合で脱皮する傾向にありますが、一方、パイソンの成体などの大型のヘビは1年に1回しか脱皮しないようなこともあります。
どうやって脱皮するの?
脱皮、いわゆる新しい鱗ならびに皮膚の増生は、カメの場合はじりじりと継続的に行われますが、両生類やトカゲ、ヘビの場合は休止している時期と一気に増生する時期があります。脱皮の方法はケージの中の木や石、シェルターなどに体を擦りつけて古い鱗を剥がします。
カメ
カメとヘビは時間をかけて体の部分ごとにバラバラに脱皮します(部分脱皮)。特にカメの脱皮は知らず知らずに目立たなく行われ、甲羅も皮膚の一部なので、古い甲板がポロリと剥がれ落ちます。水ガメでは水槽の水底に古い甲板が沈んで発見されます。
トカゲ
トカゲの脱皮の明確な前兆がありません。小型種は、ヤモリやヘビのように全身脱皮に近いですが、アガマ(フトアゴヒゲトカゲ)やイグアナ、カメレオンの仲間は、全身の皮が浮いてポロポロと細かい断片になって古い皮が剥がれ落ちます(部分脱皮)。
ヘビ
ヘビは口の部分から古い皮が剥がれ、脱皮した殻は靴下を裏返して脱いだように、裏返りながら剥がれて全身の皮が一繋がりに剥がれます(全身脱皮)。ヘビの抜け殻として有名ですね。
ヤモリもトカゲよりはヘビに近い脱皮をします。多くのヤモリは、まず全身にうっすらと膜を被ったような感じになり、つやもなくなります。その膜の所々に亀裂が入り、脱皮の皮が浮き上がってきます。ヤモリは、それを口を使って引っ張ったりしてどんどん取り去っていきます。古い皮は食べてしまうヤモリもいます。
両生類
両生類は、脱皮した皮は食べてしまうのが普通です。特にカエルは、四肢をを使って全身をこすって剥がします。水生の有尾類の場合は、脱皮途中で水に流されてしまって食べることができずに、いつまでも、脱皮した皮がふわふわと水中を漂っていることも多いです。
脱皮の際の体の変化
多くの爬虫類は脱皮の直前には、皮膚や鱗は色がくすんで乾いた感じになり、薄い皮が浮いて見えてきますので、脱皮直前には白っぽくなります。脱皮前のヘビは、エサを食べなくなり、隠れるか安全な場所に移動するようになります。トカゲやカメは脱皮の時には食欲が無くなることはまれです。
ヘビは目も脱皮する?
ヘビやヤモリなど、まぶたのない種類は、汚れや乾燥から守るため瞳の表面に薄い皮(皮膚)があり、アイキャップ(Eye cap)やスペタル(Spectacle)といいます。脱皮の際にアイキャップも脱皮します。ヘビの脱皮不全でアイキャップが遺残することもあります(アイキャップ遺残)。
脱皮のとっかかりを与えよう
脱皮の際に古い鱗や皮をひかっける物があった方が行いやすいです。爬虫類は体をこすりつけるので、ケージの中に岩やレンガ、流木などを設置していると引っかかって剥けやすくなります。
素焼きのシェルター(ウェットシェルター)は、体を擦り付けるのにも利用でき、保湿効果もあるので有用されています。