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フェレットのお迎え症候群はコロナウイルスとヘリコバクターが関与?

 2018/10/24 3 フェレットの病気 この記事は約 7 分で読めます。 1,254 Views

お迎え症候群とは?

●新しいフェレットを自宅にお迎えする際に、先に飼っていた(先住)フェレットにストレスを与え、食欲不振、嘔吐、軟便や下痢などの体調不良を起こすことをお迎え症候群と呼ばれています。先住と新しいフェレットの両方に発症することもあります。
フェレット下痢

原因は何ですか?

●原因は、新しいフェレットをお迎えしたことでの環境の変化、飼い主が新しいフェレットを可愛がることへのストレスなどの精神的な原因とされていました。
フェレット幼体
●お迎え症候群の予防は、エサや掃除などの世話を先住のフェレットから行う、お互いの毛布などを交換して匂いを覚えさせるなどの策が練られていましたが、あまり効果がありませんでした。
●精神的な原因でなく、グリーンウイルス(コロナウイルス)の感染であるという説と、先住のフェレットがもともと持っていたヘリコバクター菌のストレスによる発症という説もあります。

お迎え症候群はストレス?コロナウイルス?ヘリコバクター菌?

コロナウイルス

●フェレットには腸コロナウイルスと全身性コロナウイルスという2 種類が知られています〔Murray et al.2010〕。日本で検査した79頭のフェレットのうち44頭(55.7%)に腸コロナと全身性コロナウイルスが検出され、日本でもかなり蔓延していると思われます〔Terada et al.2014〕。

あなたのフェレットもコロナのキャリアかも?

●腸に感染する腸コロナウイルスは、明るい緑色の下痢がみられ、昔からグリーンウイルスとも呼ばれています。緑色の下痢をするため、グリーンウィルスと呼ばれていますが、緑色の下痢は他の病気でも起こります。
●非常に感染力が強く、同居のフェレットにすぐに感染します。流行性カタル性腸炎またはECE(Epizootic Catarrhal Enteritis:動物間粘液性腸炎)とも呼ばれています。動物間流行性(Epizootic)という用語は、施設中の全動物に急速に伝染して行くことを意味し、カタル性(Catarrha)は粘液を意味し、腸炎(Enteritis)とは腸の炎症を意味しています。
●1~2日と短い潜伏期間で、感染力は強く、高い発病率ですが、死亡率は低いです。
●下痢は数日で落ち着くこともありますが、長く続くことが多いです。下痢と同時に嘔吐が見られることもあり、嘔吐が治まってもその後に食欲不振こります〔Wege et al.1982,Williams et al.2000〕。
●一方では無症状のままキャリアになることもあります。キャリアになると体の調子が悪くなったり、新しい環境や新しい同居個体とのストレスなどにさらされると発病します。生後3ヶ月未満の幼体はでウイルスを仲介しやすいと言われています〔Wege et al.1982,Williams et al.2000〕。
●1994年頃、アメリカでのフェレットショーなどを通じて急速に広まり、有名になりました。現在、日本でも蔓延しています。
●気をつけなければならないことは、フェレット同士で感染していくということです。フェレット同士の接触以外にも、飼い主の衣服を媒介して感染したりします。
緑色便

お迎え=グリーンウイルス?=腸コロナ?=軽い下痢

●腸コロナウイルスの感染は、糞の遺伝子検査でわかります。糞から行う検査なので、全くフェレットには負担がかかりません。
●コロナウイルスで怖いのが、全身性コロナウイルスです。若いフェレットに多くみられ、2~36ヵ月齢(平均11ヵ月齢)で発症します。症状は食欲低下、体重減少、下痢、お腹の中のしこり、後足の麻痺、神経症状などです。進行性の病気で、23例中7例が死亡、15例が安楽死、1例が不明と予後不良という報告もあります〔Michael  et al.2008,Autieri et al.2015〕。
フェレット衰弱

全身性コロナ=死亡?

●腸コロナウイルスの一部は、なんとフェレットの体内で突然変異を起こし、怖い全身性コロナウイルスに変わりることがあるので恐れられています。反対のことを言えば、腸コロナウイルスが陽性であれば全身性コロナウイルスに変位する前に、どうにか抑えることが理想になります。

腸コロナウイルスが全身性コロナウイルスに変身!

ヘリコバクター

●ヘリコバクターという細菌は、人の胃潰瘍や胃癌などの原因の1つとされるヘリコバクター・ピロリ菌が有名です。このピロリ菌の親戚のヘリコバクター菌(Helicobactre mustelae)がいます〔Fox et al. 1990〕。フェレットに胃癌や消化管のリンパ腫へも移行することも報告されています〔Fox et ak.1997〕。
●ヘリコバクターは糞から経口感染するため、母親のフェレットがキャリアであれば、幼体の時から感染している可能性が高いです。
●人と同じように感染していても、通常は無症状です。ストレスを受けると胃炎/胃潰瘍を発症させる原因になります。新しいフェレットを迎えると環境の変化によるストレスで発症してもおかしくはないです。
●症状は嘔吐ですが、フェレットは食道が長いので、エサや胃液が口から逆流せずに、エサを食べずに口をムニャムニャさせるだけの症状も多いです。胃炎/胃潰瘍になるとメレナ(黒色のタール状の軟便)になります。
メレナ
●フェレットの嘔吐の原因に、ヘリコバクター以外にも消化管内異物も多いので鑑別が必要になります。
●ヘリコバクターも糞の遺伝子検査でわかります。糞からの検査なので、全くフェレットには負担がかかりません。

参考文献
■Autieri CR,Miller CL,Scott K,Kilgore A,Papscoe VA,Garner MM, Haupt JL, Bakthavatchalu V,Muthupalani S,Fox JG.Systemic Coronaviral Disease in 5 Ferrets.Comp Med65(6).508-16.2015
■Fox JG.Gastric disease in ferrets: effects of Helicobacter mustelae, nitrosamines and reconstructive gastric surgery.Eur J Gastroenterol Hepatol6(1).S57-65.1994
■Michael M,Garner K,Ramsell N,Morera C,Juan-Sallés J,Jiménez M.Ardiaca.Clinicopathologic features of a systemic coronavirus-associated disease resembling feline infectious peritonitis in the domestic ferret (Mustela putorius).Vet Pathol45(2).236-246.2008
■Murray J,Kiupel M,Maes RK.Ferret coronavirus-associated diseases.Vet Clin North Am Exot Anim Pract13(3).543-60.2010
■Terada Y,Minami S,Noguchi K, Mahmoud HY,Shimoda H,Mochizuki M,Une Y,Maeda K.Genetic characterization of coronaviruses from domestic ferrets,Japan.Emerg Infect Dis20(2).284-287.2014
◼️Wege H,Siddell S,V.ter Meulen.The biology and pathogenesis of coronaviruses.Curr.Top. Microbiol.Immunol99.p165-200.1982
◼️Williams BH,Kiupel M,WestKH,Raymond JT,Grant CK,GlickmanLT.Coronavirus-associated epizootic catarrhal enteritis in ferrets.J.Am.Vet.Med.Assoc217 (4).p526-530.2000

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