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フェレットのインスリノーマ|お付き合いする病気!

 2019/04/29 3 フェレットの病気 この記事は約 6 分で読めます。 65 Views
フェレットインスリノーマ

えっ治らないの?

●インスリノーマは血糖値が低くなる病気です。犬や猫に比べてフェレットのインスリノーマの発生率は高いことが有名です。しかし、インスリノーマなんて聞きなれない病名ですよね。

なぜなるの?

●膵臓のβ細胞の過形成(細胞の増殖)や腫瘍化が原因で低血糖が起こります。腫瘍は環境要因と遺伝要因が組み合わさって発症します。炭水化物が多いエサが指摘され、そして腫瘍を引き起こす遺伝要因がフェレットでは潜在していると考えられています(多発性内分泌腫瘍症:MEN Multiple Endocrine Neoplasia type)〔Chen 2008,Miller et al.2014〕。
●人でも多発性内分泌腫瘍症では、ホルモンを分泌する副甲状腺、膵臓、脳下垂体、副腎などに腫瘍ができます。一つだけの臓器でなく複数の異常があらわれてくることが多いです。フェレットでもインスリノーマと副腎腫瘍などが併発しているのは、多発性内分泌腫瘍症が関与しているからでしょう。

原因はエサと遺伝・・・

どんな病気なの?

●5~6歳以降にみられ、病状も個体差があり、数ヵ月にわたり無症状あるいは慢性経過をとるフェレットも少なくないです〔Chen 2008,Chen 2010,Weiss et al.1998〕。なお、多くの腫瘍は良性ですが、まれに悪性になることがあります。
●初期の低血糖は無症状ですが、以下のような症状が次第にみられてきます〔Chen 2008,Chen 2010,Weiss et al.1998〕。

  • なんとなく元気がない
  • ボーとする
  • 寝ている時間が増える
  • 後足のふらつき
  • ヨダレ
  • 体重減少
  • 意識レベルの低下
  • 痙攣発作

●最初に症状が現れるのは異常行動です。なんとなく元気がなかったり、数分間動きを止めてボーと宙を見つめたり、泡を吹いたり、口の中に何か入っている感じで前足で口の周辺をかいたりします。後足のふらつきもよく起こります。しかし、この行動は短時間しかおこらずに、数分後には元に戻りますが、行動の異常の発現は次第に短くなります。軽症例では数ヵ月に1回くらいなので気づきません〔Buchanan et al.2003〕。
●進行性の病気なので、生涯にわたり付き合っていきます。症状が進行すると、さらに元気がなくなり、寝ている時間が増えて、衰弱して痩せてきます。
フェレット

老体のフェレットと同じような状態なので気がつかない・・・

●これらの症状は、血糖値が低くなる朝の寝起きや運動後にみられることが多いです。

低血糖は朝の寝起きや運動後に注意!

●重度の低血糖になると低酸素に起因する脳障害を起こし、脳が正常に働かなくなり、痙攣発作や昏睡などの神経症状がみられます。
フェレットインスリノーマ

どうやって診断するの?

●インスリノーマは特異的な症状と血液検査で低血糖の確認をします。
●膵臓に発生した腫瘍の多くは数mmのサイズなので、レントゲン検査や超音波検査ではみつかりません。詳細はCT検査になります。

治療は?

●完治させる方法の一つとして外科手術があげられますが、複数に腫瘍が発生している場合は、完治は難しいです。また、頻繁にエサを与えて血糖値を上げる方法や低血糖を最小限にするために投薬をして、進行を遅くする方法をとることもあります。

  • 頻繁にエサを与える(強制給餌:きょうせいきゅうじ)
  • 内服薬で血糖値を維持させる
  • 外科手術

強制給餌

●高タンパクの食材をなるべく頻回に与え、状態によってはシリンジなどを用いて強制的に与えます。フェレット用の流動食が販売されているので、粉状の製品をふやかして与えます。特に寝起きや運動後にはなるべく行ってください。
フェレット強制給餌 フェレット強制給餌  フェレット強制給餌

流動食とシリンジはコチラ!

 

 

ふやかしてシリンジで口に入れて!

●注意して欲しいことは、血糖値が低いので甘い糖類を与えると血糖値が上がると思いがちですが、多量に与えると急激な血糖値の上昇を起こし、リバウンドにより、かえってインスリン分泌を促します。日常生活の中での投与は避けてください。
●強制給餌でも低血糖症状が頻繁にみられる時は、内服薬の投与を併用して行ってください。

内服薬投与

●内科治療の目標は低血糖から起こる症状を緩和することであり、血糖値を常に正常にすることではありません。いくつかの薬があるので、それぞれの副作用を考慮して、獣医師と相談してから投与してください。

外科手術

●大きな痙攣発作が起こるフェレットには有効かもしれません。
●外科手術を行うならばCT検査をすることをお薦めします。腫瘍は目にみえないほど小さいこともあり、また複数に発生している場合は、全部が摘出できません。せっかく麻酔をかけて、あまり摘出できなかったということもあります。大きな腫瘍である場合は、それを摘出することで痙攣発作がおさまることが多いです。

フェレットインスリノーマ

参考文献
■Chen S.Pancreatic endocrinopathies in ferrets,Vet Clin North Am Exot Anim Pract11.107-123.2008
■Chen S.Advanced diagnostic approaches and current medical management of insulinomas and adrenocortical disease in ferrets (Mustela putorius furo).Vet Clin North Am Exot Anim Pract13.439-452.2010
■Miller CL,Marini RP,Fox JG.Diseases of the endocrine system.In Biology and Diseases of the Ferret.3rd.Fox JG,Marini RP eds.John Wiley.NY.p377–399.2014
■Weiss CA,Williams BH,Scott MY.Insulinoma in the ferret.clinical findings and treatment comparion of 66 cases, J Am Anim Hosp Assoc34.471-475.1998

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