フェレットの肛門が・・・専門獣医師が解説するフェレットの脱肛
お尻から赤いものが・・・
肛門から赤色をした粘膜や直腸下端の一部が脱出すること脱肛と言います。正常でも排便時の力みで、一時的な脱出がしばしば見られます。
排便後に自然に戻ります。 脱出は習慣となり、元に戻らない状態になったものを、病気としての脱肛と定義しています。
脱肛の原因は?
幼体のフェレットには脱肛が多く見られます。その理由はよく分かっていませんが、次の世ような理由があげられています。
- りきみ過ぎ
- 肛門腺が除去されている
りきみ過ぎ
りきむと腹圧がお尻にかかり、脱肛します。人の妊婦さんが妊婦してお腹の子が大きくなると、痔になりやすいと言われているのと同じです。幼体のフェレットに脱肛が多い理由に、ふやかしたフードを成長するにしたがって固形フードへ切り替えるの時に一時的にお腹を壊しやすいことがあげられます。他にも幼体は腸内細菌が安定しておらず、バランスを崩しやすく、軟便や下痢を起こしやすいです。フェレットの性格にもよりますが、興奮しやすかったり、あるいはケージから脱出しようと頑張って、りきんでしまうこともあります。胃腸に異物が詰まっていたり(消化管閉塞)、膀胱結石や尿道閉塞で尿が出にくい時も腹圧がかかります。
肛門腺が除去されている
フェレットは幼体期に肛門脇にある2つの臭腺を除去する手術を受けています。この臭腺を取り除いたがために、肛門に余裕が作られ、りきんだときなどに脱肛しやすくなるのかもしれません。
脱肛した時の応急対応
軽い脱肛であるならば、自然と治ることもあります。軽いものは軟膏を塗ってあげると元に戻りますが、それだけで治ることは稀です。塗った軟膏をなめないようにするのも難しいです。
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痛みが減ります!
逸脱した粘膜にブドウ糖シロップを塗って(浸透圧の差で腫張した粘膜がしぼむ作用がある)、指や綿棒で押し込む方法が良いといわれていますが、たいていはフェレットが痛がってできません。ひどく脱出した粘膜だど、肛門に締めつけられてさらに悪化します。このような時には動物病院で治療を受けて下さい。
治療は?
脱肛するとフェレットは痛いです。自然に治ることもありますが、早期対応しないと元に戻らなくなるので、動物病院で治療を受けるのがベストです。軽度だと軟膏などを塗って、粘膜の炎症を抑えるようにすると治ることもあります。しかし、薬を塗ってもフェレットがなめてしまうために、塗り薬での治療は長期化することが多いようです。便が硬くならないようにふやかしたフードを与えるなどして、フェレットがりきむ原因も減らすようにして下さい。粘膜がひどく出てしまっている場合には、粘膜を中に入れて肛門を少し縫い合わせる手術を、全身麻酔下で行います(巾着縫合:きんちゃくほうごう)。1~3週間後にこの糸は外します。
まとめ
脱肛も早く発見できれば、それだけフェレットへの負担を少なく治療を行うことができます。例え元に戻っても、一度動物病院で受診して、再発しないように獣医師に相談して下さい。
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