1. TOP
  2. 爬虫類・両生類の冬眠とクーリング

爬虫類・両生類の冬眠とクーリング

冬眠

冬眠はさせるべきか?

●多くの爬虫類と両生類にとって冬になるとエサもなくなります。そして、外気温動物であるため、11月くらいになると気温が下がり、活動量も少なくなります。
●冬は冬眠して代謝を低下させて、エネルギーの消費を抑える手段をとる種類がいます。具体的には消化・運動・呼吸などの機能を抑制し、暖かくなる春に冬眠から覚醒して活動を再開します。冬眠中の体重減少は通常10%以下〔Derickson 1976〕で、ほとんどエサをとらないにも関わらず、代謝が低下しているので、消耗が最小限に抑えられています。

●冬眠は温帯から寒帯地域に生息している種類でのみ行われ、熱帯産の爬虫類や両生類は冬眠しません。多くの爬虫類や両生類は陸場で冬眠しますが、イシガメ、クサガメ、アカミミガメなどの水ガメは陸場以外に水中でも冬眠します。
●毎年冬眠させている個体は長生きするといわれており、また繁殖を行うためには冬眠をさせることで、よく春に発情が起こりやすいという考えから、本来よりも短い時間で人工的に冬眠させることがなされています。これをクーリング(Cooling)と呼ばれています。

●飼育下で冬眠させるのは実際には簡単でなく、死んでしまうリスクがあることを考えて下さい。健康に飼育するためには冬眠が必ずしも必要というわけではありませんので、年中暖かな環境(至適環境温域での飼育)で、動物にとって安全で快適な生活をさせるか、リスクを承知で冬眠をさせるかの選択になります。冬眠を成功させるには、動物の条件と飼い主の知識が必要になります。

冬眠の方法

●冬眠させるには、冬眠前に行うこと、冬眠中の温度と湿度管理、冬眠あけに行うことの3つの知識が必要です。

冬眠前に行うこと

エサを与えるのをやめる

●冬眠前には消化管を空にしておく必要があります。消化管内にエサが残っていると、腐敗して致死的な腸炎を起こす可能性があります。少なくとも冬眠に入る数日~2週間前から徐々に低温環境に慣らしながら、自然にエサの量を減らしていき、最後は与えないようにします。水もしっかり飲ませて、オシッコもたくさんさせてください。消化管と同様に膀胱内も空にしないといけません。
●エサを与えるのをやめる時期は、気温が10~15℃になる11月上旬を目安にします。

ホットスポットを消す

●エサを与えるのをやめたら、徐々に温度を下げていきます。爬虫類ではケージのスポットライトを消して、体温を上げる場所をなくしてください。ケージの中の温度が5~6℃は下がると思います。
●ホットスポットを消して、温環境に動物を慣らしために5日間くらい様子を観察してみてください。

ヒーターを撤去する

●次にヒーターなどを撤去して、さらにまた5日間くらい様子を観察して見て下さい。動物はかなり動かなくなってきているはずです。動物がいつものように動いているようであれば、ケージをおく場所を廊下や玄関など少し寒い場所に移動してください。窓際は暖かくなるので避けましょう。

冬眠場所へ移す

●10℃以下の場所にケージを置いて5日ほどすると、冬眠に入るはずです。この状態になったら、あらかじめ考えていた冬眠場所に移してあげましょう。

陸場での冬眠

●土の中で冬眠させる場合は、プラケースや水槽などに少し湿らせた水ゴケやヤシガラをたっぷり入れて下さい。自から土の中に入っていくはずです。冬眠中は、時々霧吹きなどで土を濡らして、乾燥しないようにしてあげて下さい。
カメ冬眠 カメ冬眠 カメ冬眠

水場での冬眠

●水ガメは水中でも冬眠します。水をはった水槽の中にカメを入れてください。もしも水面が凍った時にカメも凍らないように、水面とカメの距離は20~30㎝くらい保つような水深にして下さい。水深を深くすると水中の温度変化も少ないです。カメは水中で土に潜るようにして冬眠します。水の底に水コケや落ち葉、必要に応じてシェルターを入れてあげます 。
●冬眠中は水温が変動しやすい玄関などを避け、水温が安定する物置や廊下などの暗い場所に水槽を置き、水が減ったら足して管理します。

冬眠中の管理

●冬眠中は温度を確認し、5~10℃を保ちましょう。冬眠場所が15℃以上になると、食欲がないのにも関わらず代謝が高くなり、エネルギーを消費して体力が低下します。逆に5℃以下になると低温すぎて死亡するリスクが高まります。
●冬眠中は土に霜が降りたり乾燥しすぎたりしないよう、必ず定期的に温度の確認や霧吹きなどをして、湿らせて管理してください。さらに冬眠しているケージを段ボールなどに入れると上手く温度を5~10℃に安定させられます。

冬眠明けに行うこと

●通常11月頃から冬眠に入り、翌年3~4 月に覚醒します。寒い場所にケージをおいて冬眠させても、気温が上がってくると動物は活動を始めます。
●いきなりホットスポットやヒーターをつけるのではなく、冬眠に入る前に行っていたことと反対のことをします。最終にケージを暖かい部屋に移動して下さい。ヒーターをつけてもよいです。3~5日くらい様子を観察し、まずは水を与えてみましょう。
●爬虫類ならば次にホットスポットを設けて下さい。いつもと同じ動きをしているようであれば安心です。冬眠明けはしばらくはエサを食べませんが、少しず食べるエサの量が増えてくるはずです。最終は消化のよいものを与えて下さい。

冬眠させる動物の条件

●飼育下で冬眠させる場合は、夏に十分な栄養を与えることが重要で、栄養状態の悪かったり、体が小さい場合は冬眠を見合わせた方がよいです。慎重に身体検査を行い、健康個体のみを冬眠させます。
●冬眠中の動物は 1~2週間ごとに健康確認を行い、明らかに10%以上の体重低下がある時は、冬眠を中止したほうがよいでしょう。

各動物の冬眠

リクガメ

●冬眠は陸場で冬眠させます。

水ガメ

●冬眠は水中と陸場で冬眠させる方法があります。やりやすい方で冬眠させるとよいでしょう。

トカゲ・ヘビ

●トカゲはカメと同じ冬眠温度でよいですが、 ヘビの冬眠は10~18℃が適しており、ケージは 温度が一定な物置や廊下などの暗い場所に置くとよいです。

ニホンアマガエル・シュレーゲルアオガエル

●水槽に湿らせた水ゴケを入れる と、自ら適当な場所に潜って冬眠します。

アカハライモリ

●陸場に湿らした水ゴケをいれる と、自ら適当な場所に潜って冬眠します。

クーリング(Cooling 冬化処理)

●冬眠中は活動や代謝が低下して越冬しますが、冬眠明けに生殖腺が刺激されて、繁殖を促す作用があります。特に季節繁殖動物は繁殖期があり、自然下では冬に温度が下がった後に始まることが多いです。そのために飼育下でも、冬に疑似させることが繁殖を誘発させます。本来冬眠をする動物を冬眠をさせないことで、ホルモンのバランスが崩れて、繁殖障害や寿命に影響を与えるという考えがあります。
●一部の繁殖を目的とする飼育者は、冬眠ほどの長い期間でなく、冬に短期間のみの低温飼育をさせるだけでもよいといわれています。
●クーリングは繁殖をさせるのに、絶対に必要な行為というわけではありません。一時的とはいえ、低温状態で飼育することは体調を崩す可能性があります。
●クーリングの方法や温度は色々な方法が書物に書かれていますが、正確な方法はありません。人為的に行う処置なのでそれぞれの成功例が書かれているのです。

表:冬眠の有無

種類 冬眠する種類 冬眠しない種類
爬虫類 カメ目 水生ガメ 二ホンイシガメ ミナミイシガメ(ヤエヤマイシガメ)
クサガメ
ミシシッピアカミミガメ
リクガメ トルコギリシャリクガメ アラブギリシャリクガメ
ヒガシヘルマンリクガメ ニシヘルマンクガメ
インドホシガメ
ビルマホシガメ
有鱗目 トカゲ ヒョウモントカゲモドキ
フトアゴヒゲトカゲ
グリーンイグアナ
カメレオン
ヘビ アオダイショウ
コーンスネーク(南部生息体は冬眠しない)
カリフォルニアキングスネーク
ミルクスネーク
両生類 イモリ・サンショウウオ アカハライモリ シリケンイモリ
ハナダイモリ
ファイアサラマンダー(地域個体による)
タイガーサラマンダー(地域個体による)
オビタイガーサラマンダー(地域個体による)
カエル ニホンアマガエル アカメアマガエル
シュレーゲルアオガエル イエアメガエル
ツノガエル

参考文献

■ Derickson WK.Lipid storage and utilization in reptiles. Amer.Zool16.711–723.1976