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専門獣医師が解説するドブネズミとファンシーラットの違い

 2021/10/26 5 マウス・ファンシーラットのQ&A この記事は約 4 分で読めます。 10,428 Views

亜種?別種?同種?

ペット化されたラットがファンシーラットですが、野生種であるドブネズミとはラットを含めて別の亜種でもなく同じに扱われています。しかしながら、野生のドブネズミとファンシーラットは明確な相違がいくつか存在します。

ファンシーラットはカラーが豊富

野生のドブネズミの毛色の大半は暗褐色(アグーチ)で、突然変異で変色した個体もいますが稀です。

ファンシーラットはホワイトやクリームなど何十種も存在し、ハスキーなどの模様も含めるとバリエーションは100種以上になります。

ファンシーラットは穏やかで何でも受け入れる

ドブネズミは野生動物なので警戒心が強いです。新しいエサにもすぐには受け入れず、光や音にも敏感に反応します。自然界では天敵となる猫などの捕食動物が多いこと、長い歴史の中で人が害獣であるドブネズミを根絶しようとする試みによって影響を受けたことがその理由です〔Inglis et al.1996,Barnett et al.1956,Barnett 2001,Taylor et al.1989〕。

ファンシーラットは穏やかで行動もおとなしく、飼い主に威嚇したり怒ってかみつくことも少ないです。光と音に対する反応も小さく、ドブネズミのように驚いたりしません。新しいエサに対してドブネズミほど慎重でなく、素直に受け入れます〔Modlinska et al.2016〕。

ファンシーラットは繁殖が簡単

ファンシーラットはドブネズミよりも早期に繁殖が可能で、より容易に交配もします〔Barnett 2002〕。

ファンシーラットはケンカの仕方も違う

ファンシーラットのケンカはドブネズミとは異なります。ドブネズミはケンカに負けると相手から逃げ出すが、ラットは腹を見せるかボクシングのような威嚇の姿勢をとります〔Blanchard 1977〕。

ファンシーラットは体が小さくて可愛い

ファンシーラットはドブネズミと比べて体と顔は小さく、耳は大きくて、尾が長い特徴があります。

ファンシーラットは寿命が長い

ドブネズミの平均寿命が1年に満たないのに対し、ファンシーラットは2~3年の寿命です。ペットでは捕食者から保護されて、食糧、水、隠れ家、そして医療措置を得やすいことが理由です。

ファンシーラットの内臓が小さい

ファンシーラットはドブネズミよりも、脳、心臓、肝臓、腎臓、副腎が小さいです〔Barnett 2002〕。

参考文献
■Barnett S.Anthony.Naming and Taming.The Story of Rats:Their Impact on Us,and Our Impact on Them.Australia:Allen.Unwin.p21–23.2002
■Barnett SA.Behavior components in the feeding of wild and laboratory rats.Behavior9:24‐42.1956
■Barnett SA.The story of rats.Their impact on us, and our impact on them. Crows Nest:Allen & Unwin.2001
Blanchard R,Carolineblanchard D.Aggressive behavior in the rat.Behavioral Biology21(2):197‐224.1977
■Blanchard R,Carolineblanchard D.Aggressive behavior in the rat.Behavioral Biology21(2):197‐224.1977
■Inglis IR,Shepherd DS,Smith P,Haynes PJ,Bull DS,Cowan DP, et al.Foraging behaviour of wild rats (Rattus Norvegicus) towards new food and bait containers.Appl Anim Behav Sci47:175‐190.1996
■Taylor RH,Thomas BW.Eradication of Norway Rats (Rattus Norvegicus) from Hawea Island,Fiordland,using Brodifacoum.New Zeal J Ecol12:23‐32.1989
■Modlinska K,Stryjek R.Food Neophobia in Wild Rats (Rattus norvegicus) Inhabiting a Changeable Environment‐A Field Study. PLoS ONE 11(6):2016

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