ペットのヘビの分類と知らないといけない知識

ヘビの分類
●日本で主に流通し飼育されるヘビはナミヘビ科の無毒種や弱毒種、そしてボア科やニシキヘビ科の小型~中型種がメインです。
●日本ではコブラ科、クサリヘビ科、ナミヘビ科とボア科、ニシキヘビ科の一部の種類は動物愛護管理法の特定動物に指定されているため、飼育には地方自治体の許可が必要になっていましたが、法改定により、2021年6月1日からペットとして特定動物は飼育ができなくなりました。
表 特定動物のヘビの種類
分類 | 種名 |
ニシキヘビ科 | アメジストニシキヘビ |
オーストラリアヤブニシキヘビ | |
インドニシキヘビ | |
アミメニシキヘビ | |
アフリカニシキヘビ | |
ボア科 | ボアコンストリクター |
オオアナコンダ | |
ナミヘビ科 | ブームスラング属全種 |
ヤマカガシ属全種 | |
タキュメニス属全種 | |
アフリカツルヘビ属全種 | |
コブラ科 | コブラ科全種 |
クサリヘビ科 | クサリヘビ科全種 |
ナミヘビ
●全長50cm~2mの小型~中型のヘビで、全世界に1500種以上が分布しています。環境に応じて様々な形態をしており、地上性、樹上性、水性と環境に合わせて適応しています。
●ナミヘビ科にも有毒種がおり、ヤマカガシが有名です。別科の毒蛇と違って、本科の有毒種の毒牙は奥歯にあるため後牙類とも呼ばれています。
●繁殖形態は主に卵生だが、寒冷地や水中に生息する種等では卵胎生の種もいます。
●ペットとしても沢山の種類が飼育され、北アメリカに生息するコーンスネーク、コモンキングヘビの亜種であるカリフォルニアキングスネーク、ミルクスネークはCB(繁殖)個体が多く流通しています。これらの種類はペットスネークと呼ばれ、品種改良が行われ、野生から捕獲せずとも累代繁殖した子孫のみになります。日本固有種のアオダイショウも人気です。
●ナミヘビのなかには「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(特定外来生物法)により特定外来生物に指定されている種類もいます。
ボア・ニシキヘビ
●いわゆる大蛇と呼ばれる仲間ですが、ペットで飼育されている種類はそれほどでもありません。
●ボアとニシキヘビは分類が異なり、子供を産むのがボア(卵胎生)、卵を産むのがニシキヘビ(卵生)です。
ボア
●ボアは南北アメリカ大陸に分布しています(例外はスナボア属)。
●エメラルドツリーボアやボアコンストリクター,コロンビアレインボーボア,キューバボア,そしてアナコンダなどが分類されます。昔はボアコンストリクターは人気でしたが、現在はペットでの飼育ができなくなりました。
ニシキヘビ
●ニシキヘビはパイソンとも呼ばれ、ボアの生息地以外の、アフリカ大陸 オーストラリア大陸 東南アジア ユーラシア大陸南部に分布しています。
●9mにもなる最大種であるオオアナコンダが有名ですが(飼育には動物愛護法により特定動物に指定されているため,地方自治体の許可が必要)、ペットではボールパイソン、カーペットパイソン、オリーブパイソンなどが人気があります。
知らないといけない知識
ヘビは他の爬虫類と異なる体の特徴を沢山持っています。ヘビは本来地中で生きるように進化してきたため潜るために胴体が長く、目も透明な膜でカバーされ、耳の孔もなく、皮膚で感覚を担っているそうです。
長い胴体
●首、体(胸と腹)が細長くなっています。体と尾の間にお尻の孔(総排出孔)があり、その孔から先が尾になります。胃、肝臓、腎臓も細長い特徴があります。
丸のみするアゴ
●ヘビは顎を外して獲物を丸のみするといわれています。実際には顎の関節が2つあり、開口角度を大きく取ることができます。さらに下顎は左右2つの独立した骨からなり、この下顎の骨は伸びる靭帯でつながっています。上顎の骨も頭骨に固定していないので、丸のみの時に必要に応じて前後に動かすこともできます。
●歯も喉の奥に向かって反り返って生えています。獲物をくわえながら顎を動かすことにより少しずつ奥に呑みこむことがでます。
まばたきしない目
●ヘビはまぶたが無く、まばたきもしませんので、目は開いたままになっています。代わりに鱗が変化した透明な膜が目の表面を覆っています。
耳がない?
●ヘビの耳は退化しています。鼓膜が見られず、音を聞く構造は皮膚の中に埋もれています。聴覚は優れているわけでなく、変わりに皮膚感覚を発達させました。
皮膚が敏感
●聴覚が弱い変わりに皮膚から伝わる地面の振動などは敏感に感じます。地面から伝わる人やネズミの歩く振動音は皮膚で感じています。特に下顎は効果的に振動を感じるそうです。
匂いを口で感じる
●ヘビの口の奥の上部にヤコブソン器官(鋤鼻器官 Jacobson’s organ)と言われる匂いを感じる嗅覚器官があります。ヘビには長い舌があり、舌をチョロチョロと出している印象があありますよね?空気中の匂いを舌先でとらえ、ヤコブソン器官に送り判断しています。
●ヘビがネズミを捕まえる時、交尾期で異性を探す時などに使われます。
ピット器官
●ヘビには、視覚や聴覚以外にピット器官と呼ばれるものがあります。
●ニシキヘビ科の多くの種類とクサリヘビ亜科のヘビの目と唇にある鱗(上唇板、下唇鱗)や鼻孔の間にある一対の窪みがあり、これが赤外線感知器官であるピット器官です。ここには多くの神経や毛細血管が集まっていて、わずかの熱(赤外線)を感じ取る事ができます。ヘビに熱い電球やお湯を入れたゴム球を近づけると飛びつき咬みつきますのが、ピット器官で熱を感知します
●ピット器官からは赤外線センサーがあるため、温度から獲物や外敵を認識することができます。その精度は数十cm離れたものの温度変化を0.1℃単位で知ることができるようです。
エサを食べると代謝が上がる
●ヘビはエサを丸のみした後に、心臓や肝臓、腎臓といった内臓の機能をあげ、代謝率を通常の10倍にまで増加させます。
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