専門獣医師が解説する爬虫類・両生類の至適環境温度域(POTZ)
適温とは何℃?
爬虫類・両生類は自ら体温を作り出せない外気温動物です。外気温や水温などに体温が影響を受けて、体温調節のために日光などの外部の熱エネルギーを利用します。体温を外部の環境によって調節し、適切な体温になると活発に活動できるようになり、エサを食べて消化をし、生活に必要な行動は体温に依存します。
適切な体温(至適体温)に維持するには環境温度の設定が大切です。動物が至適体温を維持するための環境温度を飼育環境温度をPOTZ(Preferred Optimum Tempetature Zone:至適環境温度域)に設定しなければなりません。POTZは動物の種類によって異なります。
同じ部屋の中でも、日中や夜間、窓際などでも温度変化を生じるために、ペットでの飼育では外気温を温度計で測定し、サーモスタットで管理することが理想です。
温度勾配
POTZ内で上限の高い温度域と低い温度域の温度勾配もたせることで、動物自身が移動して、体温を調節できる環境作りをします。体温が上がりすぎると、自ら下げることができないので、温度勾配が大切なのです。
温度を上げるための熱源としては、太陽光が最も理想です。屋内飼育では水槽やケージ内に赤外線が含まれた白熱電球(バスキングライト)を設置し、一領域に部分的に照射して高温域(ホットスポット:Hot spot)を設けます。そして、自ら体温を下げることができないため、ホットスポットより温度が低い、日陰、シェルター、水場などに移動して体温の上昇を防ぐような温度勾配が理想になります。
野生でも昼夜の温度差が生じるため、バスキングライトは夜間は消して、昼間よりも低い温度に設定して下さい。陸生~半水生の昼行性のカメやトカゲのPOTZは高く、温度勾配も作ります。しかし夜行性のヤモリやヘビのPOTZは低く、温度勾配もあまり必要でないです。一方、両生類は野生でも涼しい環境を好み、爬虫類ほど活動に体温を必要としません。POTZは爬虫類よりも低く、ほとんどの種類で緩やかな保温あるいは冷やす必要性があります。昼夜で多少の温度差をつける程度で、多くの種類はかなりの耐寒性を持ち、気温がある程度低くても活動できます。
・代謝に適した外気温が至適環境温度域で、動物の種類によって異なる
・種類によっては温度勾配ならびにホットスポットをつくる
・爬虫類の至適環境温度域は温かく、両生類はやや涼しい環境を好む
爬虫類の勉強するならこの本!
楽天で購入!
家庭に一冊!