専門獣医師が解説する爬虫類・両生類のシェルター
隠れ家のこと!
シェルターとは動物の隠れ家であり、その中に入ることで安心します。普段は穴の中や石の下などで寝て、活動する時に穴から出てきます。シェルターが必要な種類は、爬虫類では地上性のヤモリ、トカゲ、ヘビ、両生類ではイモリには不可欠です。
ヒョウモントカゲモドキなどの地上性の小型のヤモリは木の枝や岩場の隙間で隠れたり、リクガメも野性では地面に穴を掘って潜る種類もいます。
シェルターはプラスチックや段ボール、木の箱、素焼きの鉢、紙の筒などで作ることができますが、専用のシェルターも多数販売されています。風合いのある岩石をリアルに模した擬岩シェルターはテラリウムの飼育などに適しています。
アクアリウムやテラリウムでは石や枝、植物のレイアウトで、隠れるスペースができ、シェルター的な役割をします。
安全な隠れ家がないと、動物がストレスを感じて拒食するようになることもあります。シェルターの大きさは広いよりも狭い方が適しており、特にヘビなどは体が何かに接触しているほうが安心するそうです。しかし、流木や自然石を使って凝ったレイアウトすると、怪我を負う危険性もあるので注意して下さい。
体が隠れる空間だけを作るのではなく、樹上性のトカゲやヘビ、ヤモリ、カエルなどは木や枝に登ってとまることで落ち着くようです。流木や植物、石を使ってレイアウトすると登ってとまる以外に、隙間に身を寄せることだけでも安心します。
シェルターの役割は安心を与えるだけでなく、複数飼育では必要以上の個体間の干渉を避けることもできます。
シェルターの役割
隠れ家として重要なシュエルターですが、他にも紫外線の過剰な照射から体を守ったり、脱皮のひっかかりや保湿、産卵場所になることもあります。
- 隠れ家
- 保温
- 紫外線から守る
- 脱皮のひっかり
- 保湿
- 産卵
保温と紫外線対策?
爬虫類や両生類は環境の温度管理が重要です。しかし、人が適切と思って設定しても、本当にその温度がベストなのかは分かりません。動物自ら移動して、保温の目的でシェルターに入ったり、反対に暑すぎて日陰となる逃げ場にもなります。昼行性の動物では紫外線ライトを普段使っていますが、これが過照明となるとストレスになります。そのような時にも、やはり日陰が必要となります。
脱皮対策としても必要?
爬虫類は脱皮の際に体を物に擦りつけて少しずつ古い鱗や皮を剥いでいきます。ケージの中に岩、レンガ、流木などを設置し、脱皮しやすくさせて下さい。シェルターがそのような役目をするものであれば、一石二鳥です。保湿できるシェルターだとさらに脱皮を促進します。
脱皮不全対策を考えるならウエットシェルターとモイストロックをお薦めします。どちらもシェルターですが、天井に水をためることができるので、飲水もできるし、保湿対策もばっちりです。また二つのシェルターとも表面がザラザラしているので脱皮のひっかかりになります。それぞれの商品は大・中・小サイズがあるので、体の大きさに合わせて選んで下さい。
ウエットシェルター
ウエットシェルターは素焼きの製品なので、シェルターの壁の外側と内側からも水露が出てきます。つまりケージ内もシェルター内も全体的保湿されるのが特徴です。天井の水を貯める部分は深くできており、十分な水を貯めることができます。素焼きの製品は十分に水を含むので、掃除をしないとシェルターにカビが生えることがあります。白色を帯びてきたり、緑色や茶色の点々としたものが見られたら、それはカビでしょう。熱湯消毒やカビに効果のある殺菌剤を使って定期的に綺麗にし、最後に天日干しをして乾燥させて下さい。
湿度なら任せて!ウエットシェルター!
モイストロック
モイストロックは爬虫類専用のシェルターとして岩のような自然に近いデザインをした見た目がよい陶製の商品です。ウエットシェルターは商品の外側も内側も水露がでて保湿をするのに対し、モイストロックはシェルター内だけを高湿度に保ちます。またカビが生えにくい素材を使用しています。シェルターの底面にカバーが付いているので、シェルターの下の床敷が濡れなくて衛生的に使えます。しかし、シェルター内の汚れを掃除するのが面倒です。天井の水を貯める窪みが浅いので、爬虫類が登って水がこぼれることがあります。
かっこよいレイアウトならモイストロック!
保湿するの?
シェルター内は適度な湿度でないと、動物自身が乾燥することもあります。両生類や多湿系のヘビなどは、タッパーの中に少量の水や湿った水ゴケを入れておきます。素焼きのウェットシェルターは屋根の部分が水呑みと兼用になっており、水を入れるとシェルター全体に水が染み込んで適度な湿度を保つのにも役立ちます。
まとめ
シェルターなんて不要と思いがちですが、隠れる場所は精神的にも、体温調節にも役に立ちます。各動物にあったシェルター考えて下さい。