1. TOP
  2. 専門獣医師が解説する爬虫類の紫外線ライト

専門獣医師が解説する爬虫類の紫外線ライト

爬虫類への紫外線とは?

昼行性の爬虫類は太陽光を浴びて体の調整が行われます。特に保温効果と骨・甲羅の硬質化という重要な役割を太陽光は担い、飼育する際には、保温のためのバスキングライト、骨や甲羅の形成のための紫外線ライトが必要になります。ただしクレステッドゲッコー含む夜行性ヤモリやヘビなどは体内でビタミンD3をUV-Bなしで合成できますので、基本的には紫外線は不要になります。紫外線は人の目には見えませんので、バスキングライトのように暖かくないので、なかなか実感しません。

まずは光についてコレを読んでみて!

紫外線ライトって?

爬虫類に必要な紫外線を照射できるライトは装は、灯蛍光タイプと電球タイプがあります。後者は一般的には通常の電球ソケットに取り付けて使用します。万力式やクリップ式のソケットが利用できるので、設置の自由度が増えます。

ライトのタイプは2つ!

爬虫類用の紫外線ライトは、蛍光灯タイプとソケットタイプの2つのタイプがあります。

蛍光灯タイプ

蛍光管タイプは熱帯魚用のスタンドライトに取り付けて使用するので、スタンドライトと水槽は決まったサイズの商品になります。購入前に水槽のサイズを確認しなければなりません。

紫外線ライト

従来からは細長い蛍光灯タイプが使われ、ライトスタンドに取り付けて使用されてきました。水槽の上に乗せて使用し、全体にUV-Bが照射されるようにします。

水槽以外にも飼育用のケージの天井に取り付けて使用され、水槽やケージ全体に紫外線を照射できるのが特徴です。

紫外線ライト

ソケットタイプ

蛍光管を折り曲げてコンパクトにしたスパイラル型とかボール型と呼ばれることもありますが、ここではソケットタイプと呼ぶことにします。どちらも電球ソケットに取り付けて使用します。万力式やクリップ式のソケットが利用できるので、設置の自由度が増えます。

紫外線ライト

小型のケージや水槽以外の自作のケージに取り付けられることが特徴です。しかし、照射範囲が限定的になってしまうので、ケージの両端にライトを2つ取り付けたりと、よく考えて設置しましょう。

紫外線ライト

使い方

紫外線ライトは保温効果はないので火傷の恐れはありません。一般的に紫外線ライトはバスキングライトと併用して、朝から夕方まで点灯するようにします。可視光も出ていますので、夜間は消灯します。そして紫外線ライトは設置する条件と寿命がありますので注意して下さい。

シェルターやタイマー

紫外線が極端に強すぎても悪影響を及ぼしますので、爬虫類が生息している場所を考えて距離を調節したり、タイマーと連動させて照射時間を調整しないといけませんません。また、爬虫類が自ら移動できて、暗い場所に移動できるようにシェルターも用意しましょう。

ガラス超しはダメ

紫外線の特徴として、物に反射したり、吸収もされやすく、特にUV-Bの領域の光は、窓ガラスで96%以上吸収されてしまいますので、効果が減退します。紫観賞魚のように水槽のガラス蓋の上にライトを乗せても意味がありません。直接光があたるように設置して下さい。

ライトだけ頼らないで!

「紫外線もどのくらいの強度のUV-Bをどのくらいの距離で、何時間あてればよいのか?」という明確な指標はありません。紫外線ライトは、あくまでも補助的なライトで、太陽光に勝るものはないです。夏や秋など温度が維持できる時期には、直射日光浴や甲羅干しもさせてあげましょう。窓際にケージや水槽を置いて浴びさせても、紫外線はガラスによって吸収されるので、その時は網戸にして下さい。

太陽光

ライトの交換は最低1年毎

紫外線ライトは、時間の経過とともにUV-Bの発生量が落ちてくるため、半年~1年程度で交換する必要があります。可視光は普通に放射されていても、UV-Bは出ていない可能性があります。

選び方

ライトのタイプはどっち?

爬虫類用の紫外線ライトは、蛍光灯タイプとソケットタイプの2つがありますので、ケージのタイプや生体の大きさなどで好きな方をお選びください。

ワット数って?

蛍光灯タイプは、「15型(15W)」「20型(20W)」「30型(30W)」「32型(32W)」「40型(40W)」などの規格に分かれ、取り付けるスタンドライトと使用する水槽のサイズも、それに応じて設計されています。使用する水槽に応じて、紫外線ライトのワット数は決まります。基本的には15Wが45cm水槽用、20Wが60cm水槽用、30Wと32Wが90cm水槽用になります。電球型タイプも様々なワット数の製品があります。明るさは通常の蛍光灯ライトとほぼ同じなので、上記の目安を参考に選んで下さい。

UV-Bは何%がよいの?

爬虫類用ライトは、UV-Bの強さが「2.0」「5.0」「10.0」のように数字で表記され、光の中でのUV-Bが占める割合を%で表したものです。数値が大きいほど、紫外線が強いと思って下さい。爬虫類の生態を考えると、砂漠と熱帯雨林では紫外線の強さは異なりますので、各爬虫類に生息地に適したライトを選ぶ必要があります。アガマやリクガメなど砂漠やサバンナのような特に紫外線の強い乾燥地帯に住んでいるものは強いものを、昼行性ヤモリや水ガメには中程度のものを、熱帯雨林の森や林床などあまり日の当たらない場所に住んでいるものには弱い紫外線ライトを使用します。ただし、同じ爬虫類であっても、季節や成長期などで通常以上に紫外線が必要なこともありますので、どのライトを使ったらよいのか一定の基準が決められないのです。

紫外線ライト

リクガメとイグアナにはコレ!
リクガメやイグアナは比較的に紫外線要求量が多く、不足すると甲羅が柔らかくなる代謝性骨疾患が好発するため、5.0~10.0%のライトを使用して下さい。強すぎる場合に備えて、シェルターや樹木など、退避できる場所も設けましょう。

UVが強いと暗い光になるって?

紫外線には明るさが足りない欠点もあり、強い紫外線ライトほど明るさは落ちます。暗く見えるために瞳孔が開き、水晶体や網膜が紫外線の影響を受けることが懸念されています。つまり可視光の色のバランスが悪く、ライトによっては可視光ライトも用意する必要もあります。仮にUV-Bのみを強く出すライトだとしても、色が自然の光とは異なると爬虫類が落ち着かない可能性があります。2灯式の取り付け器具を使い、1本は可視光が明るい蛍光灯を設置することが推奨されています。近年の爬虫類用紫外線ライトは色も自然の光と近くしており、UV-Aの光もしっかりと含まれたライトもあります。紫外線ライトはしっかりとした知識を持って選ばないといけません。

紫外線が強すぎると・・・

高強度または不適切な波長の紫外線への曝露は、爬虫類に重大な罹患さらには死亡率と関連している可能性があります。ボールニシキヘビ とアオタントカゲ では、活動性と食欲の低下、脱皮不全、潰瘍性角膜炎と結膜炎(ニシキヘビ)、体重減少(トカゲ)などが見られました。しかし、ライトの照明を改善することで、臨床症状は軽減または解消されました〔Gardiner et al.2009〕。

メタハライドランプを使えば!

太陽光に近いメタルハライドランプ(略してメタハラと呼ばれています)というライトも販売され、UV-Bの紫外線と赤外線も出ているため、ホットスポットの役割も担っています。昔は価格が少し高いことが欠点でしたが、価格的にも求めやすくなってきました。上手く使うと一石二鳥になります。しかし、熱効果のあるバスキングライトよりは熱が弱いので、高い温度のホットスポットを必要とする種類では、季節によってバスキングライトが必要になります。

メタハライドランプはライト以外にも安定器がないと稼働しないので、ランプをだけではないので、商品自体が大きいことが欠点でした。最近は安定器が内蔵されたライトが作られるようになりました。メタルハライドランプは一般的な照明器具よりも高価ですが、少しづつ値段が下がってきました。省電力で寿命が長いのも特徴です。

メタハラライト

ポイントはコレ!
・昼行性の種類には紫外線が必須
・骨代謝に重要な波長はUVB
・ガラス越しの紫外線は効果なし
・紫外線ライトは蛍光灯と電球型タイプがある
・紫外線ライトは1年毎に交換するべき
・バスキングライトと紫外線ライトの両方を備えたメタハラライト

お薦め商品

第7位 DADYPET 爬虫類ライトスタンドUVB ランプ付き

 

小ガメ向けのカバーとクリップスタンドとライトのセット商品!角度調節・回転可能なクリップライトならどんな小さくても変わったケージにでも取り付けられます。25Wランプが2個も付いているので大変お得です。ライトは防滴仕様なので、特に水ガメの子亀の飼育にはこれを使って下さい。

第6位 ビバリアスパイラルUVB フォレスト 26W

ギリシャリクガメ、ヘルマン、ヨツユビ、ホシガメ、カメレオン向け強い紫外線ではなく、森や林にいるようなリクガメやカメレオンに使います。自然に近い明るさを再現するナチュラルライトとの併用が良いです。

専用のソケットならコレ!

第5位 ビバリア スパイラルUVB デザート 26W 

 

フトアゴ、ケズメリクガメ向け!強い紫外線で、熱帯、サバンナや砂漠にいるようなトカゲやケヅメリクガメなどにピッタリなライトです。このライト?紫外線の量が多いにもかかわらず、お値段はリーズナブルです。ずばり・・・お得。

 

専用のソケットならコレ!

4位 カミハタ ネオUVBレプタイルランプ 18W

 

電気代を気にする方はコレ!他のライトよりも消費電力が約30%も削減された省エネタイプです。毎日使用するライトなので電気代も馬鹿になりません。30%節約して、もっとよいエサなどにお金を使って下さい。

専用のソケットならコレ!

3位 ズーメッド レプティサン10.0UVB 26W

 

太陽光に近い自然なライト!ズーメッド社は爬虫類飼育施設も持ち、世界で初めて爬虫類UVBライトを開発した信頼がおけるメーカーです。自然の太陽光に近いのが特徴で、屋外で日光浴ができない爬虫類に使って下さい。15W,20W,40Wのライトがあります。

専用のソケットならコレ!

第2位 ズーメド レプティサン10.0 UVB T5 HO ハイアウトプットリニアランプ 24W

 

まさにケヅメリクガメ用?第3位のレプティサン10.0UVBよりも細い蛍光灯で、約2倍明るいです。UV-Bも10%あるので、乾燥した砂漠などに住んでいるケヅメリクガメなどに適しています。細い特殊な蛍光灯なので、レプティサンT5H0テラリウムフードおよびレプティサンLED UVBテラリウムフードに取り付けて使用下さい。

1位 ゼンスイ ソーラーラプターUVマーキュリーランプ(安定器内臓UVランプ)

 

マジで一押しメタハラライト!メタハラの欠点を全てクリアーにしました。定器機が内臓されて一体化されており、熱効果はやや強化した反射鏡により保温効果も十分です。80Wと100Wの商品があります。値段以上の高性能のライトです。

まとめ

爬虫類用の紫外線ライトはタイプ選び、ワット数などで悩んでしまいます。ずばり、悩んだ場合は電球タイプ、水槽の大きさが決まっていたら蛍光灯タイプを選んでおくとよいです。

参考文献

■Gardiner DW,Baines FM,Pandher K.Photodermatitis and photokeratoconjunctivitis in a ball python (Python regius) and a blue-tongue skink (Tiliqua spp.). J Zoo Wildl Med40(4):757-766.2009