足裏がはげています!専門獣医師が解説するウサギの足底皮膚炎〔Ver.2〕
目次
足底皮膚炎?ソアホック?
足底皮膚炎(そくていひふえん)はウサギにとって一般的な皮膚炎で、足底潰瘍(そくていかいよう)とも呼ばれます。足裏でもかかと(飛節:ひせつ)に発生しやすく、皮膚がずるむけ(糜爛:びらん)になるため、昔は飛節びらんとも呼ばれていました。炎症が重篤なると疼痛も見られ、英語ではソアホック(Sore hock:痛い足)と言います。ウサギは多くの他の哺乳類と異なり、足首関節から下を床に着けて全体重を支えています。野生のウサギは地面で生活をし、自然の中で随時行動することで、足裏にかかる圧力は随時変化します。しかし、ペットのウサギは、日頃からケージの平坦で硬い床の上で過ごしていますので、加齢とともに足裏やかかとの毛が薄くなり、皮膚が硬くなってくることが多いです。
なんでなるの?
ウサギの足裏には肉球がありません。そのため、皮膚に直接的に地面や床が接触し、床との軽度の摩擦でも毛が擦れて、薄くなったり、抜けやすくなります。ウサギの皮膚は弱いので炎症が起こりやすい状態になります。
原因は以下のように多くの要因が考えられますが、大抵は複数の原因が絡んで発生します。
- 硬い床
- 水や尿などの湿気
- 肥満
- 運動不足
- 足裏の毛が薄い
- スタンピング
- 老化
- 長い爪
下のイラストを見て下さい。上のイラストは正常ですが、下のイラストのように爪が長くなり、床が硬いと必然的に体重がかかとに負荷がかかります。
硬い床
ケージの床の素材が硬いと必然的に足裏との摩擦および刺激が強くなります。例えば、金網や平坦な木製の床板(フローリング)が代表的です。床が平らだと、移動する際に足裏の同じ場所がいつもあたります。
水や尿などの湿気
水がこぼれたり、尿で床材が湿っていてると不衛生になり、皮膚が浸軟しやすくなり、炎症を起こす原因になります。
肥満・運動不足
肥満になると足裏に負担がかかります。運動しないと、いつも同じ姿勢でいるため、足裏の同じ個所に負担がかかります。足裏の皮膚は床面の圧迫を受け、血行の循環不全を招き、皮膚が薄くなり、皮膚が壊死していきます(虚血性壊死)。
足裏の被毛が薄い
生まれつき足裏の被毛が薄いウサギがいます(上毛と下毛が同じ長さで細い毛質のレッキスやミニレッキスが好発種と言われていますが、毛が密に生えているので必ずしも好発するとは言えません)。足裏の被毛がクッションの代わりを果たしているので、薄いと足底皮膚炎になりやすいには確かです。足裏の被毛がしっかり生えていると、足底皮膚炎は進行しません。
スタンピング
床をバンバンと後肢でたたくスタンピングを多く行うウサギだと、足裏に炎症を起こしやすくなります。
老化
年をとったウサギはをあまり動かず、同じ姿勢で足裏を床についている時間が必然的に増えます。老化で後肢の関節の変形ならびに関節炎が起こると、姿勢の異常が見られ、片足に負重がかかったり、かかとに体重をかけて座るようになります。
長い爪
後肢の爪が長いと、重心が後ろにかかって、かかとに体重がかかるような姿勢になります。
症状は?
初期には後肢の足裏の薄毛や脱毛だけで、慢性的になると皮膚が硬くなってきます(タコ)。進行すると皮膚が赤くなり、炎症が起こります。
炎症が続くとカサブタができたり、皮膚に潰瘍が見られます。かさぶたが割れて出血します。
かかとの先端だけが赤く腫れることもあります。このようなウサギは完全に体重を後ろにかけているのでしょう。
炎症に比例して痛みが出てきます。ウサギは足をかばうような歩行をし、落ち着きがなくみえるかもしれません。じっとしている時も、片方に体重をかけたり、前肢に体重をかけることもあるので、前肢にも炎症が起こったり、異常な姿勢をとります。
慢性的に炎症が続くと、足裏が円形に変形してきます。ここまでくると治ることはありません。
皮膚だけの炎症にとどまらず、皮膚の下の深部組織や骨・関節まで炎症が及び、膿がたまります。
自宅でやる予防は?
まずはウサギの飼育環境を見直して、応急処置をしてみましょう!
床敷を変える
フットレスト床板あるいは休足マットという名称で販売されている足底皮膚炎対策のプラスチック製の床板に変えて下さい。床板に沢山の孔を空けて、足裏への負重を軽減する目的で作られました。プラスチック製なので、ウサギの体重がかかると、板が軽く反るので、足裏の負担もやや軽くなります。
- 休足マットに変える!
まずは床板を変えるならコレ!
足底に優しい!どのケージにもピッタリ!
水や尿対策
ウサギがケージの中で動いていると、飲み水の皿を蹴飛ばしてしまうのでボトルタイプに変え、床材が尿で濡れっぱなしにならないように、頻繁に交換したり、掃除をして下さい。
- 給水器のチェック!
- ケージを頻繁に掃除する!
柔らかい床材にする
ケージの床や散歩をしている部屋の床材はどのようなものですか?足裏に負担のかからない床材にしてあげましょう。タオルなどのクッション製の製品が理想ですが、かみ癖のあるウサギでは使えません。
- タオルを敷く?
ダイエットや運動
体重が増加することは、足にかかるため、減量させて下さい。ペレットやおやつの与えすぎに注意して下さい。運動させることで、足裏に長い時間負重をかけることもなくなります。部屋の中で遊ばせる時間を増やしましょう。もちろんフローリングではなく、専用のマットを敷いて下さい。
- ダイエット?
- 部屋んぽで運動させて!
スタンピングをさせない
スタンピングはストレスなどの要求不満のためにすることが多いので、なるべくストレスフリーの環境を提供してあげましょう。
- ストレスフリー!
長い爪を切って
後肢の爪が長すぎると、かかとに負重がかかるので、爪が長すぎないかチェックして下さい。
- 爪を切って!
包帯(バンテージ)をする
バンテージは巻いてもウサギが嫌がって外してしまうこともあります。ウサギは体に巻かれる物を嫌い、ストレスになりますので、個体によってできないウサギもいます。どうしてもバンテージをしないといけないウサギではエリザエスカラーをつけることもあります。
足首の上まで巻かないと外れてしまいます・・・
自分で外してしまうウサギはあきらめるか、エリザベスカラーをするしかありません。
かかとだけの皮膚炎の方には化粧パフフットガード(お手製)などをパットにしてバンテージをするとよいでしょう。
かかとにガードをつけて巻くので膨らんでいます。
自宅でバンデージするならコレ・・・
この包帯は伸縮性があり、手で切れて使いやすいです。安物とは違います。
子犬用の靴下がサイズ的に丁度よい場合もあります・・・
低反発マットを使う
人用の低反発のバスマットは衝撃を吸収するだけでなく、トイレに失敗してもすぐに尿を吸収してくれるので、足裏が汚れることがありません。しかし、かじり癖のあるウサギには使えません。
複数枚購入して毎日洗濯してあげましょう。
まず気軽使うにはコレ!
徹底的に足裏への負担を減らすにはコレ!
実はコレが一番のお勧め!マイクロファイバーすげ~
炎症を止める
足裏に炎症が起きているようであれば、薬が必要です。病院できちんと診察をしてから投薬するべきです。しかしその前に少し薬を使ってみるならばコレが良いです。なめても安心!
炎症の時はコレつけて!マイクロシンAHWスキンケア!
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・ウサギの現代病?
・正直な所、原因は多すぎて特定できない
・足裏の保護毛がある段階では進行しない
・抱っこして足の裏をチェックして!
JCRA(ジャクラ)って?何なの?ウサギ検定とは?
ウサギを幸せに長生きさせたい方は、一般社団法人 日本コンパニオンラビット協会(JCRA:ジャクラ)に入会しましょう!
まとめ
足底皮膚炎はうまく付き合っていかなければなりません。一番よい対策があるのではなく、ウサギの性格や状態によって、その方法がストレスなくできるのかによります。一つ一つ試してみて下さい。