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オシッコの色が変???専門獣医師が解説するウサギの有色尿

 2024/02/03 4 ウサギのQ&A この記事は約 5 分で読めます。 468 Views

ウサギの特有な尿

ウサギの尿は、透明から、薄黄色・赤褐色などの色がついて、さらに白濁しているなど、様々な性状をしています。一見しただけではどれが正常でどれが異常なのか、判断が難しいです。

正常でも赤い?

一般的に赤い尿は血尿を意味し、尿結石卵巣・子宮疾患を優先して考えがちですが、ウサギでは正常のことも多くあります。ウサギの尿色は、生理的な色素がついた有色尿で、カルシウム血症が含まれた白濁したカルシウム尿が特徴です〔Buss et al.1984〕。特に餌の内容物や代謝の問題により尿色は変化し、これは健常なウサギでもよく見られます。色素はカロチンあるいはポルフィリンやビリルビンの誘導体などと言われています〔Norris et al.2001〕。ただし、餌も変えずに突然に尿色や性状に変化が見られ、かつ、多飲多尿、尿漏れ(尿失禁)、排尿回数などの異常もあれば、病気の可能性が高いです。食欲や飲水量、活動性、排便量などの全身の他の状態も観察し、病気の兆候に注意して下さい。下記にそれぞれの尿色の解説をしますので、ウサギのトイレ容器の中の尿をもう一度観察して下さい。

ウサギトイレ

無色透明

ウサギが十分に水分を摂取していることを示し、特に性成熟前の幼体の尿は無色透明です。

薄黄色透明

薄黄色透明な尿はウサギの標準的な尿色で、おそらく最もよく見られます。多少の濁りはカルシウムの結晶のためですが、透明であると水分が十分に補給されていると判断できます。

白濁

白濁した尿は、ウサギの尿に含まれるカルシウム結晶が多い状態を示し、脱水したウサギでも見られやすいです。

薄茶白濁

膀胱内でのカルシウム結晶によるスラッジ(カルシウム砂状の沈殿物)が蓄積している可能性が高いです。時間が経った尿にザラザラしたカルシウム結晶が確認されます。スラッジは膀胱内壁を刺激して痛みや炎症を伴う膀胱炎の原因になります。 スラッジは尿の粘度も高くするため、ウサギの陰部やお尻の被毛が、尿で汚れやすくなります。

 ウサギのカルシウム尿

オレンジ色

オレンジ色の尿は健常体のウサギが特定の餌を食べることで見られます。特にβカロテンが多いニンジンやカボチャを大量に摂取するとオレンジ色の尿色になり、 これらの野菜の給餌を中止すると数日、場合によっては 3~4週間で通常の色に戻ります。 βカロチン以外でも、ブロッコリー、タンポポ、松やモミの葉などの特定の植物に含まれる植物色素でも色がつきます。

ウサギに与える野菜の詳細な解説はコチラ!

赤褐色

赤色が強い褐色の尿色でも、ウサギでは正常な場合があります。 その原因となるのはポルフィリン色素が含まれる理由は、詳細なことが分かっていません。ただし、突然の寒さや特定の抗生物質の服用など、一見無関係な原因で赤褐色の尿をするウサギもいます。もちろん病的な出血が起こり、尿に交じって赤褐色をしていることもありますので、注意して下さい。

血液付着尿(ブラッドスポット)

排尿の終わりに出血が起こり、均一な透明な赤色ではなく、尿全体に広がる血液の斑点のように見えたり、血餅が尿に混じっていることもあります。特に鮮血が混じった尿では卵巣・子宮疾患が一番に疑われます。

 ウサギ陰部からの出血

ウサギの卵巣・子宮疾患の詳細な解説はコチラ!

尿検査

生理的な赤色尿と病的な血尿を肉眼で鑑別することは不可能です。まずは尿検査を行いますが、動物病院で採尿するか、自宅での尿サンプルを持参して行います。病院では膀胱を用手で圧迫して排尿させるか、オスでは尿道にカテーテルを挿入して新鮮な尿を採取します。

しかし、必ずしも膀胱に尿が溜まっているとは限らず、抵抗して採尿ができないウサギも多いです。自宅でした尿サンプルでの検査は、新鮮でないと検査の信用性が低下します。冷蔵しながら30分以内で検査することが理想で、糞が付着していると潜血反応などが間違って陽性になります。一般的にトイレ容器にシーツや砂を敷かずに尿を採取しますが、

最悪はペットシーツに染みた尿やウサギの陰部周囲の毛についているごく少量の尿から、潜血反応だけを確認します。病的な血尿の可能性が高い場合は、卵巣・子宮疾患尿結石や膀胱炎・腎炎などが疑われますので、X線検査や超音波検査や血液検査を行って鑑別します。

予防

いずれの病気にせよ、尿の異常から初期発見・初期治療をすることが重要です。特に避妊をしていないメスの血尿は、子宮からの出血の可能性が大半を占めます。子宮疾患は子宮内膜症よりも悪性の腺癌が多いとも報告があります。進行して重症にならないと、食欲や活動性に変化が現れにくいため、発見が遅れがちになります。尿検査はウサギにとって負担が少ないので、普段から尿をしっかりと観察して、異常の発見に努めてあげましょう。

参考文献

■Buss SL,Bourdeau JE.Calcium balanace in laboratory rabbits.Miner Electrolyte Metab.10(2).p127-132.1984
■Norris SA,Pettifor JM,Gray DA,Buffenstein R.Calcium Metabolism and bone mass in female rabbits during skeletal maturation:Effects of dietary calcium intake.Bone 29(1).p62-69.2001

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