ウサギの鼻にカサブタができてしまいました・・・|ウサギ梅毒(Ver.2)
性病の可能性が高い?
●鼻に炎症を伴なったカサブタができていますが、性病であるウサギ梅毒(トレポネーマ:Treponema paraluis-cuniculiという細菌による感染)の可能性が高いです。人の性病である梅毒と同じ菌ではありません。しかし、ずばり性病なので生殖器に感染していますが、そこからの分泌物にも細菌が潜んでおり、ウサギが生殖器を舐めることで、鼻をはじめ唇にも炎症が広がるのです。
●メスであれば陰部にも炎症が見られ、赤く腫れあがっています。
●オスであればペニスにも炎症があるか必ず確認して下さい。
●時に生殖器には炎症が見られずに、鼻や唇にだけ炎症が起こることもあります。
●2~3ヵ月齢未満の幼体で好発しますが、感染後3~6週間までは発症せず、また不顕性感染に移行することも多いのが特徴です〔Cunlif-Beamer et al. 1981〕。不適切な環境や免疫低下は発症させる要因となり、梅毒はなぜか寒い時期に発症することが多いです。
●基本的に食欲や元気などの一般状態には影響せず、かゆみもありません〔Paul-Murphy 1997〕。感染したメスは流産や不妊を引き起こし、子宮内膜炎などの原因となる可能性があります。
とこでうつったの?
●主に交尾感染でうつりますが、幼体は母ウサギとの接触や産道の中で感染します。
●感染しているウサギ同士での病変部への接触でもうつりますが、ウサギ梅毒は人にはうつりませんので安心して下さい。
血液検査で診断!
●梅毒の場合は特別な抗生物質を投与するため、必ず検査を受けましょう。
●本菌は細菌培養が難かしく、確定診断は皮膚生検(一部切り取る)によって採取したサンプルの特殊な染色などで菌の存在を明確にします。この方法はウサギが痛がり、面倒なので血液検査で簡易診断ができます。
●人の梅毒と血清学的に類似するため、人用の梅毒の検査で使うRPR(Rapid Plasma Reagin Test:カルジオライピンーレシチン抗原を吸着させた炭素粒子と、患者血清とを混和してできる凝集塊の有無を肉眼で観察する)法による検査キットで診断します〔Paul-Murphy 1997〕。しかし、この検査では発症して5~6週間経過しないと陽性反応が得られないこともあるので、あくまでも簡易検査です。
梅毒に効く薬を長めに飲ませます!
●特効薬はペニシリンですが、ウサギでは抗生物質による腸炎の危険性を伴うため、クロラムフェニコールという抗生物質が使用されている〔Paul-Murphy 1997〕。治療後に炎症はおさまりますが、薬は必ず1~2ヵ月は続けることが大切です。しっかりと続けないと再発しやすく、炎症が治ってすぐに薬をやめると、再発するウサギが多いので注意してください。
●1~2ヵ月後に再検査を行い、陰性になってから薬をやめましょう。
・人の梅毒とは親戚の細菌だが、違う細菌
・人にはうつらないが、ウサギにはうつる
・生殖器には異常がなく、顔だけに皮膚病が起こることもある
・血液検査で診断し、効果のある薬を1~2ヵ月飲ませる
・改善しても血液検査で陰性になったことを確認してから薬をやめる
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参考文献
■Cunliffe-Beamer TL,Fox RR.Veneral spirochetosis of rabbits.Description and diagnosis.Lab Anim Sci 311.366-371.1981
■Paul-Murphy J.Reproductive and Urogenital Disorder.Rabbit.In Ferrets,Rabbits,and Rodents Clinical Medicine and Surgery.Hillyer EV, Quesenberry KE.eds.WB Saunders Company.Philadelphia.202-211.1987