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専門獣医師が解説する鳥のリンパ組織~リンパ節がない

 2023/12/05 1 ブンチョウの生態と特徴 この記事は約 4 分で読めます。 531 Views

 リンパ節はないからね!

鳥類の免疫は他の動物と同様に、 B 細胞、T 細胞、および体液性免疫を持っています〔Jenkins et al.2007〕。一次リンパ組織には、Bリンパ球を司る鳥類特有の器官であるファブリキウス嚢(Bursa of Fabricius)と頸部にあるTリンパ球を司る胸腺があります。ファブリキウス嚢は排泄腔の内壁背位にある小嚢で、洋梨状の盲嚢を作り、雛の時よく発達し、加齢とともに次第に退縮します〔加藤1976, Glick et al.1956〕。二次リンパ組織には脾臓、骨髄、粘膜関連リンパ組織(食道および幽門扁桃、パイエル板、盲腸扁桃、メッケル憩室)、頭部関連リンパ組織(ハーダー腺、涙腺、喉頭または鼻咽頭)などです。

丸い脾臓

鳥類の脾臓の形状は種によって異なり、基本は球形ですが、ハトでは楕円形、水鳥ではピラミッド形です。 脾臓の質量は、季節、今後の移動、ストレスレベル、寄生虫の量などに応じて、過形成を起こし、も大きく異なります。なお、脾臓は血液の濾過、赤血球と抗原の破壊も行いますが、 鳥類では赤血球の貯蔵や赤血球生成において重要な役割を果たしていません。

分葉した胸腺

鳥の胸腺は首の両側、迷走神経および内頸静脈と平行に位置します。胸腺は7~8の小葉に分かれており、脂肪に埋め込まれており、胸腺葉は若い年齢で最大の大きさになり、加齢とともに退縮するが、その程度は種類によって大きく異なります〔Chen et al.1990〕。これらの一次および二次リンパ器官に加えて、血液供給と連絡し、鳥の体全体にリンパ液を輸送するリンパ管系もあります。鳥類の免疫機能には、免疫反応の成熟と多様性の点で哺乳類のものとは異なります〔Cooper et al.1966,Mobini 2012〕。

参考文献
■Chen CL,Bucy RP,Cooper MD.T cell differentiation in birds.Semin Immunol2(1):79-86.1990
■Cooper MD,Raymond DA,Peterson RD,South MA,Good RA.The functions of the thymus system and the bursa system in the chicken.The Journal of Experimental Medicine123(1):75–102.1996
■Chen CL,Bucy RP,Cooper MD.T cell differentiation in birds.Semin Immunol2(1):79-86.1990
■Glick B,Chang TS,Jaap RG.The bursa of Fabricius and antibody production on the domestic fowl.Poult Sci35:224-225.1956
■Mobini B.Histological and histochemical studies on the Harderian gland in native chickens.Veterinarni Medicina57(8):404-409.2012
■Jenkins KA,Bean AG,Lowenthal JW.Avian genomics and the innate immune response to viruses.Cytogenet.Genome Res117(1-4):207-12.2007
■加藤嘉太郎.増補改版 家畜比較解剖図説上巻.養賢堂.東京:p230,248,250.1976

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