カリフォルニアキングスネークってどんなヘビ?専門獣医師が解説する知らないといけない生態と特徴〔Ver.2〕
カリキンと呼んで!
カリフォルニアキングスネークはアメリカ西部に分布するコモンキングスネーク(Lampropeltis getula)の一亜種で、カリフォルニア州を中心に生息しています。名前が長いため、カリキンと略された呼称で呼ばれ、他の亜種とともに人気があります。コモンキングスネークの学名のLampropeltisはギリシャ語の「光輝く覆い」という意味で、光沢のある輝きを持った鱗をしています。他のヘビまで食べてしまうことが多いため、ヘビの王様という意味でキングスネークと命名されました。特に、様々な毒蛇も食べることから、キングスネークと呼ばれていますが、自らは毒をもっていません。また、全ての毒に対して免疫を持っているわけではありません。
分類と生態
分類
有鱗目ナミヘビ科キングヘビ属
学名:Lampropeltis getula californiae
英名:California kingsnake
分布
アメリカ合衆国(アリゾナ州、オレゴン州、カリフォルニア州、ネバダ州、ユタ州)、メキシコ(バハ・カリフォルニア州、バハ・カリフォルニア・スル州)
生態
環境:平地から山地にかけての森林、農地など、その生息域は多岐に渡ります。
活動
・半樹上性のヘビで、時に木に登ったりもします。
・昼行性のヘビで、主に昼間に活動しますが、暑い時期には夜行性になる傾向があります。冬は冬眠して越冬します。
食性:動物食で、小型哺乳類、鳥類やその卵、小型の爬虫類や両生類などを食べています。
寿命:10~15年
身体
最大全長:150cm
特徴
性質
一般的に物怖じもしなく、余り活発ではないです。コーンスネークよりも多少気があらい面があります。
身体
品種や地域によって様々な色や模様をしています。褐色の体色に、横縞か縦縞が入っており、縦縞のタイプをストライプ(Stripe)、横縞のタイプをバンデッド(Banded)と呼ばれています。そして、縞の色が黄色をコースタル( Coastal)、白色をデザートと呼びます。つまり、黄色の横縞をしているものをコースタル・バンデッドと呼ばれているのです。瞳孔は円形で、目は黒目です。体鱗列数は23か25、腹板はオスで213~250枚、メスで213~255枚、尾下板はオスで46~63枚、メスで44~57枚です。
品種
現在流通しているカリフォルニアキングスネークは品種改良したCB(繁殖)個体が多数流通しています。体色や模様により、様々なバリエーションがいます。バンデッド(横縞)、ストライプ(縦縞)のタイプから、多くの品種が作られ、バンデッドとストライプの中間タイプ(アベラント、クレイジー)、ストライプが途切れたもの(ブロークンストライプ)や斑紋タイプ(ブロッチ)などがいます。色彩のバリエーションは、コースタル(黒褐色/黄色)のストライプで明色部が広く黄色みが強いものをハイイエロー、黒色が少なければバナナ、デザートで白色の模様が太いものをハイホワイト、白色と黒色の割合が同じものを50/50(フィフティーフィフティー)と呼ばれます。リバースストライプは地色と縦縞が逆になっています。そして、メラニステイック、ハイポメラニスティック、アルビノ、ラベンダー、スノー、ゴーストなどの色素変異も知られています。代表的な品種を紹介します。
デザート・バンデット
横縞模様をバンデット、模様が白色のものをデザートと呼びます。
コースタル・バンデット
横縞模様のバンデットで、模様が黄色のものをコースタルと呼びます。
デザート・ストライプ
横縞模様をストライプ、模様が白色のものをデザートと呼びます。
コースタル・アベラント
黄色の縞模様もコースタルで、横縞のバンデットと縦縞のストライプの中間をアベラントあるいはクレイジーと呼ばれています。
ハイイエロー・バナナ
コースタルで黄色の領域が広いものをハイイエロー、さらに黒褐色が少ないものをバナナと呼びます。
コースタル・チョコレート
黒色色素が沈着した黒化(メラニステック)で、全身が黒褐色~茶褐色になります。基本的に模様があませんが、少し残ることがあります。
アルビノ・コースタル・ストライプ
白色のアルビノで、コースタルの黄色の斑紋が縦縞のストライプに入ってます。
50/50デザート
黒褐色と白色が同じ割合で配合されているものをフィフティーフィフティー(50/50)、あるいはB&W(ブラック&ホワイト)とも呼ばれています。
近似種
コモンキングスネークには多数の亜種があり、自然下でも亜種間の雑種個体が多く見られ、亜種の定義も流動的です。カリフォルニアキングスネーク以外の亜種を紹介します。
フロリダキングスネーク L.g.floridana
黒褐色や茶色の体色に黄色の斑紋が入り、体側がオレンジや赤に染まることがあります。
黒色色素が消失したアルビノもいます。
トウブキングスネーク(イースタンキングスネーク) L.g.getula
コモンキングスネークの最大亜種です。体色は黒色で、白色の細い帯模様が鎖状に入ります。
シモフリキングスネーク(スペックルドキングスネーク) L.g.holbrooki
体色は黒色で、和名の通り全身に白い霜降り状の斑点が入ります。
メキシコクロキングスネーク(カスミキングスネーク) L.g.niger
体色は黒色で、白色の斑点が散在的に入ります。
クロキングスネーク(ブラックキングスネーク) L. g. nigrita
幼蛇は明色の横縞が入りますが、成体は全身が黒色になります。
サバクキングスネーク(デザートキングスネーク) L.g.splendida
頭部は黒色で、体側面に淡黄色や黄色の斑紋が入ります。
ブロッチキングスネーク(ゴイニーキングスネーク) L.g.goini
フロリダキングスネークとトウブキングスネークの亜種間の雑種です。個体により、フロリダキングスネークとトウブキングスネークの特徴が強く見られ、またそれらの中間型などがいます。
サウスフロリダキングスネーク(ブルックスキングスネーク) L.g.brooski
フロリダキングスネークの南部の個体群は別種として扱われます。基本的にフロリダキングは体表の鱗の付け根が明色で全体的に黄色みが強いため、他亜種に比べバンド模様が不鮮明で明るい体色をしています。ブルックスタイプは、さらにバンドが不鮮明で、明るい体色にオレンジ色を帯びているのが特徴です。
・カリフォルニアキングスネークはコモンキングスネークの一亜種
・名前が長いためカリキンと略されてる
・他のヘビまで食べるのでキングスネーク
・体色や模様により様々なバリエーションがいる
・分類的に近い近似種も多い
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参考文献
■ Bartlett RD,Markel R.Kingsnakes and Milksnakes.Barron’s Educational Services.2005