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専門獣医師が解説する種子の餌

小鳥の主食?・・・

植物の種子はシード呼ばれ、アワ、ヒエ、キビ、カナリーシード、エゴマ、麻の実などの穀類の種子が混合餌(ミックスシード)として使われています。種子は色々な種類が混合されているので、味のバリエーションがあり、げっ歯類や鳥は喜んで食べてくれます。しかし、ミックスシードでは好きな種子から食べるので、栄養の偏りが起こります。

ミックスシード

ミックスシードの配合は、ヒエ:アワ:キビ=6~7:2:1~2が最適と昔から言われています。これに嗜好の高いカナリーシードが多かったり、少なかったりと配合の割合はそれぞれの考えで変えています。種子の餌は相対的にビタミン・ミネラルが少なく、鳥では脚弱くる病などが起こりやすく、鳥でミックスシードを与えている場合は、野菜、ボレー粉(牡蠣の殻を乾燥してて砕いたもの)やカトルボーン(イカの甲を乾燥させたもの)などの補助餌を与えたり、ビタミンやミネラルのサプリメントの添加を行います。

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種子によってはタンパク質もやや少なく、アミノ酸のバランスも崩れていますので、げっ歯類では栄養性脱毛、鳥では羽毛嘴形成不全が見られ、成長不良を起こします。

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皮つき殻つき

シードには皮つきタイプ(殻つき)と皮むきタイプ(殻なし、むき餌)があります。皮つきならびに殻つきシードは、種子に皮や殻がついた状態で、自然に一番近い形のエサです。栄養が豊富で、水分も適度に含まれています。鳥は皮や殻をむきながら食べるので、ストレス解消にもなります。しかし、食べた後に皮や殻がエサ容器に残るため、エサが減っているかどうか分かりにくくなり、皮や殻が飛び散ることがあります。皮むきタイプならびに殻むきタイプは皮や殻をむいた状態で、飛び散ることがなく、エサが減っているのが一目でわかります。皮や殻が無いので幼鳥やクチバシの異常で硬い物が食べられない鳥への使用をお薦めします。こちらは皮のゴミが出ないので、留守が多い人やシードの皮を取り除くのが大変という人に向いています。しかし、皮つきと比べて栄養価が低く、傷みやすいです。皮むきシードは体調を崩している時などに与えるようにし、普段は皮や殻つきのシードを与えるとよいでしょう。

2つのタイプのシード!

種子は炭水化物が多くてタンパク質が少ないヒエ、アワ、キビ、カナリーシード等とタンパク質が多いが脂肪も多いナタネ、エゴマ、麻の実等の2つのタイプがあります。

炭水化物が多くタンパク質が少ない種子

ミックスシードには基本的に、ヒエ、アワ、キビが配合されており、次いでカナリーシードが入っています。

ヒエ

名前のヒエは冷えに耐える植物の種子に所以しています。基本のミックスシードに常に配合されています。赤ヒエと玄(白)ヒエがあり、味や硬さが微妙に違います。

アワ

アワは、風味が淡いことから命名され、他の雑穀に比べて甘くてクセがないです。赤アワと玄(白)アワがあります。

 

ヒナに与える剥いた状態の粟玉も有名です。粟穂と呼ばれる穂軸に付いている状態の商品も売られています。ほとんどのミックスシードに配合されています。

粟玉  

キビ

キビは見た目の黄色の実が所以です。やや硬くて消化しにくく、胃腸が弱い鳥ではキビつまりと呼ばれる消化管閉塞が起こると言われています。赤キビ、玄(白)キビ、茶キビ、黒キビがあります。

 

カナリーシード

カナリークサヨシの種子で、カナリアのエサに供されてきたことからカナリアフードやカナリーシード呼ばれています。嗜好性が高いためにミックスシードの中でもこれだけ先に沢山食べる鳥が多く、炭水化物(糖質)が多いことでの肥満が問題となっています。

 

青コメ

人が食べる稲を刈り入れた後、稲穂が伸びて再度収穫出来る米が青米になります。特にブンチョウは稲作地域に生息して稲穂を食することから、ライスバード(Rice bird)と呼ばれて、青コメを好物にしています。ブンチョウ用のミックスシードには青コメが配合されている商品が多いです。

   

ソバの実

ソバ粉の元になる蕎麦の実です。成分にポリフェノールの一種であるルチンを含み、血管を強くします。注目されている種子です。

 

エン麦

カラス麦やオーツ麦とも呼ばれている麦です。人ではオートミールとして食べられています。

 

小麦

小麦粉の原材料で、エン麦より硬いです。

 

大麦

小麦よりも硬く、コニュアなどの中型鳥からヨウムなどの大型鳥にお勧めです。大麦はビールの原材料なのは有名ですよね。

 

オーチャードグラス

牧草の種子で、カロリーが低くてヘルシーなシードとして注目されています。日本ではこれまで種子がエサとしてあまり見かけませんでしたが、欧米では小鳥のエサとして、オーツ麦と同様に一般的に利用されています。

トウモロコシ

イギリスではトウモロコシをメイズやメーズと呼ばれ、粒が大きいのでどちらかと言えば大型の鳥に向いてます

 

表:種子の栄養成分表(日本食品標準成分表より:1kg中の含有量)

種類 エネルギー(kcal) 蛋白(%) 脂肪(%) 繊維(%) 炭水化物(%)
ヒエ(皮) 3070 9.9 4.8 8.3 61.3
アワ(皮) 3070 9.9 3.7 7.0 63.5
キビ(皮) 2990 12.7 3.8 9.1 57.1
カナリーシード 3790 11.5 5.6 12.0 65.6
青コメ
ソバの実 3000 10.8 2.8 9.0 61.0
小麦(殻) 3350 13.0 3.0 2.4 66.9
大麦(殻無) 3410 10.6 2.8 1.4 69.4
エン麦(殻無) 3170 13.0 6.2 12.0 65.3
オーチャードグラス(殻無) 13.8 4.3 12.0 60.7
トウモロコシ(生) 3500 8.6 5.0 2.0 68.0

皮:皮つき 殻:殻つき 殻無:殻なし 生:生

これがポイント!
  • カナリーシードが一番にカロリー高いですね!沢山食べれば太るわけです!
  • キビが意外と高蛋白で低カロリー!

表:種子の栄養成分表(日本食品標準成分表より:1kg中の含有量)

種類 Ca  (%) P  (%) VA(IU) VB1(mg) VB2(mg)
ヒエ(皮) 0.33 3.3  0 4.0 1.0
アワ(皮) 0.21 2.4 0 4.0 1.0
キビ(皮) 0.20 2.7 0 4.0 1.0
カナリーシード 0.50 5.5 0
青コメ
ソバの実 0.42 3.0 0 3.2 1.8
小麦(殻) 0.30 3.9 0 4.6 0.9
大麦(殻無) 0.40 3.4 0 6.0 0.9
エン麦(殻無) 0.55 3.2 0 3.0 1.0
オーチャードグラス(殻無) 2.8
トウモロコシ(乾燥) 0.05 2.9 1000 3.0 1.0

皮:皮つき 殻:殻つき 殻無:殻なし 生:生

これがポイント!
  • 穀類はカルシウムが少ない
  • カルシウムとリンの比率が悪い
  • ビタミンAがセロ
  • ビタミンBも少なすぎ

タンパク質も多いが脂肪も多い餌

エゴマ、ナタネ、ニガーシードなどのタンパク質と脂肪が多いシードもあります。黒色を帯びているのでミックスシードの中に配合されていると全体的に暗く見られます。脂肪が多いので嗜好性が高くなり、カロリーも高いです。基礎代謝率が高いフィンチのミックスシードには多く配合され、インコ・オウムでも成長期や繁殖期には多く与えたいのです。しかし、嗜好性が高いので、そればかりを食べてしまい、肥満にもなりますので注意しなければなりません。これがミックスシードの問題点になります。

麻の実やヒマワリなどが多いと種子が大きくなるので、オカメインコ以上の中型インコやかむ力が強いボタンインコ・コザクラインコに適しています。

 

エゴマ

エゴマは殻が柔らかくて風味があり、嗜好性の高いシードです。ナタネと同様に植物性油が多いことが有名で、昔からカナリアの繁殖期によく使われていました。白と茶のエゴマがあり、上質の白エゴマの入手が難しくなってきています。

   

ナタネ

アブラナの種子で、エゴマと同様に植物性油脂が豊富です。昔はエゴマの油が良く使用されてきましたが、江戸時代になって行灯(あんどん)にナタネの油の方が主流になりました。

 エゴマ

ニガーシード

キク科のニガーシードの種子で,黒くてとても細く小さいです。

麻の実

麻の種子で、黒色で丸く、かみつぶすとよい香りと辛みがあり、苧実(おのみ)とも呼ばれています。青色や黒色などがあります。

   

ヒマワリ

ヒマワリは殻があるので中型以上の鳥に適しています。殻のついたものと剥いたものがあります。

サフラワー

ベニバナ(紅花)という植物の種子で、サラダ油に使われています。殻が固いため、殻を割ってある商品が多いです。

 
表:種子の栄養成分表(日本食品標準成分表より:1kg中の含有量)

種類 エネルギー(kcal) 蛋白(%) 脂肪(%) 繊維(%) 糖質(%)
ナタネ 19.0 43.4 10.0
エゴマ 5440 17.7 40.0 14.2 15.2
ニガーシード 20.0 44.0 13.0 25.0
麻の実 4630 29.5 27.9 22.1 9.2
ヒマワリ 6110 19.9 56.4 2.7 14.1
サフラワー 5170 16.2 38.5 34.5

皮:皮つき 殻:殻つき 殻無:殻なし 生:生

これがポイント!
  • 脂肪が半分近くを占める!

表:種子の栄養成分表(日本食品標準成分表より:1kg中の含有量)

種類 Ca(%) P(%) VA(IU) VB1(mg) VB2(mg)
ナタネ
エゴマ 3.9 5.5 0 5.4 2.9
ニガーシード 4.4 6.0
麻の実 1.3 11.0 1100 3.5 1.9
ヒマワリ 9.5 5.4 0 21 2.4
サフラワー 7.8 5000 11.6 2.4

皮:皮つき 殻:殻つき 殻無:殻なし 生:生

これがポイント!
  • カルシウムとビタミンA、Bはまだあるほう?

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げっ歯類でのミックスフード

ミックスフードと呼ばれているペレットや種子が混ざったエサでは、嗜好性が高いものから食べてしまう欠点があります。ペレットを中心に与えている場合は、種子は副食程度にとどめるべきでしょう。

リスではヒマワリ、クルミ やドングリなどの硬い種子の殻を剥く行為は、切歯の伸び過ぎを予防し、ストレスを減らす役目があります。

種子を食べるハムスター、マウス、ラット、シマリスなどにとって、種子のエサを頬袋に入れたり巣内に貯蔵 するという行動は、本能を満たす役目もあります。基本的にペレットを主食にし、餌のメニューに変化をもたせる程度で副食で種子を与えて下さい。特にげっ歯類では、脂肪の多いヒマワリの種子やアーモンドなどの嗜好性の高い種子にのみ興味をそそられて、偏食になる場合があります。
 

これがポイント!
  • ハムスターやシマリスはヒマワリ大好きですが・・・ほどほどに!