小鳥の足が弱い?力が入らない?足をあげている?・・・|脚弱

目次
足が弱いとは?
●小鳥の症状で、「足が弱くなった」、「力が入らない」、「足をあげている」、「止まり木に止まれない」など・・・よく聞くます。その原因は何かというと沢山あり過ぎて、特定の原因が正確に見つかることは少ないかもしれません。
●足だけの病気や全身の病気で足が弱くなることもありあます。麻痺や運動失調、痛み、体型の異常で起こります。
足の痛みはあるのか?
●足を触って鳥が嫌がりませんか?痛いと暴れたり、鳴いたりします。
●しきりに足を止まり木から上げ下げをするようになり、動かすとキッキッキッと鳴くようになります。痛いと元気もなくなります。
●足の麻痺の確認は、鳥が人の指をつかむ力を感じて判断します。
レントゲン検査で何が分かるのか?
●レントゲン検査により、骨折や脱臼、関節の変形などを確認します。
足だけの病気っぽい
外傷
●飼い主が誤って踏む、鳥自身が落下したり、ケージの金網やおもちゃなどに足を挟むといった事故により、外傷、骨折、脱臼、捻挫などが起こります。これらはどちらかと言えば、風切羽を切っている(クリッピング)鳥に多く見られ、当然飛んだり、逃げたりする能力が落ちているからだと思います。他にもネコなどに襲わたり、同居鳥とのケンカでも起こります。基本的には外傷によるものは痛いです。
骨折
●骨折だと足が変な方向に向いていることがあります。触ることが可能であれば、骨折部位がゴリゴリという感覚があります。折れている骨の周囲の筋肉に内出血が見られることがあります。
●レントゲン検査で骨折している箇所が容易に分かります。
●若鳥やくる病だと骨が柔らかいために、完全な骨折ではなく、若木骨折と言ってぐにゃっと曲がって折れていることもあります。
●安静(ケージレスト)にて骨が治癒するのを待ちますが、鳥は痛みがなくなってくると動きまわり、骨が多少ズレてくっつきますが、大きな問題にはなりません。ギブス固定も行えますが、鳥は体に包帯などを巻かれるのを嫌い、つついて外してしまいます。ピンを入れるニング手術をすることもあります。
脱臼
●関節が外れてしまう脱臼は、骨折よりも少ないです。レントゲン検査でも分かりにくいです。股関節の脱臼では足が外転し、膝関節の脱臼では膝を曲げられず伸ばした状態になっています。
●可能であれば脱臼した骨を戻します。難しい場合は安静(ケージレスト)にて、脱臼した周囲のじん帯や筋肉の修復されるのを待ちます。足は変位した状態で固定されます。
●脱臼も骨折も痛みがある場合は鎮痛剤を与えますが、鳥は痛みがなくなると足を使ってしまいあます。治癒が遅くなるため、使わないこともあります。
趾瘤症
●足の裏の赤みや腫れがある状態を趾瘤症(しゅりゅうしょう)と言います。
●初期はわずかに赤くなっていますが、痛みもなく無症状です。進行するにつれ徐々に痛がってきますが、硬くなりタコになって落ちついていることもあります。
●悪化する場合は、徐々に炎症が進行して腫れがひどくなり、足裏が変形します。
●原因は、肥満による体重増加によって足底の負荷、細過ぎまたは太過ぎの不適切な止まり木、エサ箱の縁に止まっているなどによる偏った足底への負荷、床が硬いなどです。ビタミンAが欠乏すると皮膚が弱くなり、悪化させます。
●全ての鳥類に発生しますが、飼い鳥ではインコ・オウム類、ウズラ、ニワトリ、アヒルに多く見られます。
●趾瘤症を起こす根本的な原因を通常の生活の中で改善する必要があります。肥満の鳥はダイエットが必要で、適切な食事への改善もして下さい。止まり木や床環境の改善を行います。止まり木にも工夫をして足底への負荷を軽減する方法もとることがあります。ウズラ、ニワトリ、アヒルなどでは、プラスチックやフローリング、コンクリートなどの硬い場所を歩かせないようにし、人工芝や低反発スポンジを敷いて足底への負荷を軽減します。治療には抗生物質、鎮痛剤を用います。
関節炎
●関節炎と言うと加齢で起こるイメージですが、鳥では発情による多骨性過骨症を繰り返し起こすことによって、膝や足根関節に骨棘(トゲ状の突起)が出来たり、関節包への石灰沈着を起こします。関節炎によって疼痛を示すこともありますが、神経の圧迫での麻痺が起こることもあります。慢性発情を呈すメスに多く発生します。
●肩関節に関節炎が起こると飛ぶことができなくなります。
●レントゲン検査にて変形性関節炎を確認しますが、微妙な病変は分からないことも多いです。
●変形した関節を元に戻すことは不可能です。原因である慢性発情を抑制し、進行を抑えることを治療方針とします。疼痛がある場合には、鎮痛剤を与えたり、関節のサプリメントも使用します。
痛風
●痛風になると足の指や足根関節に腫脹があり、黄白色の膿みたいな塊ができます(関節痛風)。関節も赤くなって腫れ、疼痛が見られます。進行が速いことが多いです。多くは趾が開いた状態で固まり、疼痛も伴い歩行異常、起立困難がみられるようになります。
●痛風の場合、血液検査で尿酸値の上昇が見られますが、必ずしも上昇するとは限りません。高尿酸血症によって血液中に溶け切れなかった尿酸塩が結晶化して、足の関節内や皮下にたまって、結節を形成します。
●尿酸が高くなる原因はビタミンA欠乏症による腎臓の細胞の変性による尿酸排泄に障害が起こるからです。関節痛風はオウム・インコ類に発生し、特に高齢のセキセイインコに多いです。ブンチョウ、カナリヤなどのフィンチでは高尿酸血症はみられますが、足の関節痛風は見られず、内臓に尿酸が沈着することが多いです(内臓痛風)。
●完治は難しく、高尿酸血症の薬を与えますが、痛みがある時は鎮痛剤を用います。
多発性神経炎(脚気)
●足が麻痺したり、上げる姿勢が見られ、感覚神経麻痺および神経炎による痛みによって起こります。よく、止まり木からの落下後や飛んだ後の着地後など、足に衝撃が加わった後に発現することが多いので、飼い主は足をねんざしたと思ってしまいます。脚弱以外にも翼を下げたり、呼吸が速くなることがあります。[/caption]
●ビタミンB1不足によって起こりますが、幼若鳥に多く発生します。ヒナは市販アワ玉にお湯で湯がいてさし餌していることが多いですが、これが原因なのです。アワだけでは必要な蛋白質とビタミンやミネラルを補うことはできず、また炭水化物やが多い種子のため、ビタミンB1の消費が増大して枯渇してしまいます。アワ玉に高品質なビタミンミエ・ミネラル剤を加えたり、パウダーフードやふやかしたペレットを使用していると予防になります。
●ビタミンBを投与し、エサも栄養の偏りがないペレットに切り替えます。ペレットを食べてくれない時はビタミン・ミネラル剤のサプリメントを使用します。
脚弱ビタミンならコレ!ネクトンBコンプレックス
足が弱い鳥のために脚弱の鳥はビタミンBをメインとした欠乏で起こります。ネクトンBコンプレックスは、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ニコチン酸アミド、パントテン酸、ビタミンB6(ピリドキシン)、葉酸などのビタミンBの複合体が調合され、粉タイプの甘いサプリメントに仕上げました。他にも季節の変わり目、環境の変化、繁殖や病弱の時にもビタミンB群は消耗されるので必需品です。
開張脚(ペローシス)
●両側または片足の足が開いて伸びてしまう状態で、開張脚とも呼ばれています。ニワトリやアヒルで類似したペローシスと呼ばれる病気(栄養不足による、腱はずれによって開脚する)から、同じくペローシスと呼ばれています。
●原因ははっきりと分かっていませんが、遺伝性疾患と考えられています。多くの鳥で発生しますが、オウム・インコのヒナに好発します。
●大腿骨が内側に回転し、その下の足が外側に回転することで足が開きます。ひどくなると、膝や足根関節の脱臼が起こります。
●胸で体重を支えて成長するため、胸の変形も起こり、呼吸が速くなります。
●成長期であるヒナや幼鳥であれば、テーピング固定にて矯正を行いますが、完治は難しいです。すでに若鳥にまで成長し、骨の成長が終わっている場合矯正できません。
趾曲り
●足の指のみが内側に湾曲した状態で、グ―とした感じです。ビタミンB2不足が原因と言われ、先天性奇形であるとの報告もあります。
●多くの鳥に発生し、目立つ異常ではないため、幼鳥時には気づかないです。指も短く、足全体が矮小なことが多いことから握力が弱く、止まり木から落ちやすくなります。
●特異的な治療法はありません。止まり木に伸縮テープを巻いて足底の保護を行います。
全身の病気
●全身の病気で足が弱く見えることがあります。くる病・骨軟化症、脊椎変形/骨折、内耳炎、腫瘍、中毒など多岐に渡ります。足だけでないので、元気や食欲、そして他の部位にも障害が見られます。
くる病・骨軟化症
●くる病と骨軟化症は、全身の骨の変形で、全ての鳥に見られ、足や背骨が変形する病気です。
●カルシウムが少ないエサを与えられたり、産卵中にカルシウムが枯渇することで発生します。血中のカルシウム濃度が低下することで、神経の伝達や筋肉の収縮の障害が起こるために、全身がぐたーと脱力します。特に足の麻痺によって立ち上がれなくなり、脚弱になります。
●血液のカルシウム濃度の測定を行う必要がありますが、状態が悪いため血液検査はできないことが多いです。
●治療はカルシウム剤を投与します
くる病
●幼若鳥に発生するのがくる病です。栄養のバランスが崩れた種子が主食であるとことが原因です。足や翼の骨が曲がり、客弱や翼の挙上や下垂、肋骨の変形による胸の変形が起こります。
●レントゲン写真では、全身の骨が薄いので綺麗にうつりません。
●成長期で発見した場合は、栄養を改善した食餌療法で改善することができます。
骨軟化症
●成鳥で起こる慢性的な産卵が原因となるのが、骨軟化症です。足や翼の骨、背骨が変形します。
●レントゲン写真では骨が曲がってうつりだされています。下の写真では腰骨のあたりが曲がっているのが分かります。
腫瘍による麻痺
●腎臓や精巣の腫瘍は、近くにある坐骨神経を圧迫して、足の麻痺が起こります。主にセキセイインコにみられますが、まれにラブバードにもみられることがあります。
●レントゲン検査や超音波検査で腫瘍を確認します。治療法は摘出手術術ですが、リスクの高いです。
脚弱の鳥のケアー
●ケージの中で止まり木やブランコに乗っても、ケージの床に落ちることあります。止まり木を取り払ったらケージの側面に張りついて辛そうにします。ケージの中では動けずにいて移動するときはきつそうに羽をバタバタさせてバランスをとっています。
下に落ちることを考えて柔らかいマットを敷く
●下に鳥が落ちても怪我しないように、かつ糞やオシッコが落ちるので掃除がしやすいものとは・・・ぶちゃけて、ティッシュやキッチンぺーパーを何枚も敷いておくのがベストです。掃除も簡単にできて値段も安いです。
止まり木を太いクッション包帯で巻く
●弱い力で止まり木をつかむので、止まり木にクッションを巻くと、鳥にとって少しの力で止まれます。爪もひっかかりにくいものがあるんです!
粘着性包帯テープならこれ!
迷彩色で鳥も自然に止まってくれます!
座りやすい止まり木が良い
●止まり木をつかむ力が弱いので、つかまなくてもよい休む場所を用意してあげましょう。巣箱だと発情するのも心配だし・・・ならば以下のフラットの木製の止まり木がお勧めです!
脚弱用の止まり木ならコレ!
木製で爪も削れて、鳥も安心して止まれます!
移動が上手くできないので、エサ入れを鳥に近くに設置する
●エサが食べられやすいように、いつも鳥が止まっている止まり木や踊り場の近くに設置して下さい。エサ入れにはエサは満杯に入れておかないと鳥はエサが食べにくくなります。
ビタミン、カルシシウムなどの栄養のバランスをよくする
●栄養のバランスが悪くて起こる脚弱が多いです。普段の主食が種子の場合、野菜なども好き嫌いがある場合は、サプリメントを与えましょう。
まとめ
脚弱は色々な原因で起こりますので、動物病院できちんと診察を受けましょう。早期に対応すれば治るものもあれば、治らないものもあります。治らなくても、正しいケアーをすれば寿命を全うできます。