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爬虫類のクリプトスポリジウム(Ver.2)|レオパとヘビの飼い主さん必見!

3 ヒョウモントカゲモドキの病気 この記事は約 7 分で読めます。 15,072 Views
ヒョウモントカゲモドキ

いま話題のクリプトについての検査と治療について

●クリプトスポリジウムとは聞いたことがありそうで、詳しくは知らないでしょう?寄生虫による病気なんです。

クリプトスポリジウムとは?

●クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)とは原虫と呼ばれる寄生虫の仲間です。人を含む哺乳類から爬虫類、魚類にまで広く寄生することが知られています。少なくとも57種の爬虫類で報告されていますが〔O’Donoghue 1995〕、特にヒョウモントカゲモドキでのクリプトスポリジウムの寄生による食欲不振や下痢を起こし死亡することが話題になっていますが、他にもヘビにも胃炎が起こります〔黒木ら2002〕。爬虫類に寄生するクリプトスポリジウムは以下の2種類が有名です〔Fayer et al.2000,Xiao et al.2000〕。

種類 感染動物
C.serpentis ヘビ・トカゲ
C.saurophilum トカゲに寄生、まれにヘビ

●この2種以外に複数のクリプトスポリジウムの存在が報告されています 〔Upton 1989〕。しかし、いまだ寄生する種類やどの爬虫類に発生するのかなどまだ分からないことも多いです〔da Silva et al.2014〕。
●クリプトスポリジウムと診断された幅広い爬虫類を考えると、ほとんどのヘビやトカゲの種類が感染する可能性が高いです。年齢や性別の差におけるクリプトスポリジウムの感染率は知られていません。なお、一個体に複数の種類のクリプトスポリジウムが寄生することもあります〔黒木ら2002〕。
●動物の胃や腸の粘膜にクリプトスポリジウムは寄生し、胃炎や腸炎を引き起こします。爬虫類では、最終的に衰弱して死亡することが多いです。しかし、寄生してもしばらくは無症状であったり、症状が見られると急死することもあれば、数年間にわたり慢性的に経過を示すこともあります。
●糞から感染するため、同居している爬虫類にも感染しますが、元の個体にも再感染することもありえます。

●基本的に爬虫類に寄生するクリプトスポリジウムは、人に感染することはないようです。しかし、エイズなどの免疫不全症などの患者からは爬虫類に寄生するクリプトスポリジウムが見つかっている例もありますので、油断ができません。

ヘビの胃炎

●ヘビに感染すると胃炎が起こり、食欲不振、吐き戻し、下痢や軟便、体重減少が見られます。胃の寄生により炎症がおこり、胃が肥厚するのが特徴です。
●クリプトスポリジウムの保有率は低いものではなく、保有率は11.98%〔da Silva et al.2014〕,35%〔P. Díaz a S 2013〕という報告があります。

ヒョウモントカゲモドキの腸炎

●ヒョウモントカゲモドキに感染すると、主に小腸に寄生し、食欲不振、下痢や軟便、体重減少などの非特異的な症状が見られます。脂肪のついた尾が細くなってくるのでよく分かります。中には突然死することもあります〔五箇ら2009‐2010〕。

●展示施設で飼育されているトカゲ類(野生の日本在来のトカゲが多い)のクリプトスポリジウム保有率は約11.0%、ペットの外来のトカゲでは66.7%と、これは面白い報告です。ペットのトカゲは海外から輸入されたものが多くて感染率が高く、展示施設のトカゲは日本在来のトカゲ個体が多く、感染が低いのです。海外から輸入された人気のあるトカゲの方が感染が蔓延しています〔五箇ら2009‐2010〕。

●クリプトスポリジウムの感染実験の報告があり、ヒョウモントカゲモドキ、オビトカゲモドキ、ニホンヤモリ、ヒラオヤモリ、オキナワキノ ボリトカゲ、アオカナヘビに感染をさせて症状を観察しました。その結果、ヒョウモントカゲモドキは感染後40週に死亡する個体が見られ、鹿児島県徳之島固有種であるオビトカゲモドキでは病状の経過が早くて5週で死亡しました。それ以外のトカゲ類では、死亡せずに、感染後12週ではクリプトスポリジウムの寄生率が減少し、病変が軽減していたそうです。つまり、トカゲの種類によって、寄生率と病変に相違があったということです〔五箇ら2009‐2010〕。
●ヒョウモントカゲモドキのトカゲモドキ科、ヤモリ科、アガマ科、オオトカゲ科、カナヘビ科、イグアナ科、カメレオン科などの種類にも感染します。それがどの程度症状するのか予想がつきません。

どうやって診断するの?

●クリトスポリジウムと同じ症状を起こす病気との鑑別することから始めます。低温飼育、不適切なエサの大きさ、ストレス、および異物による消化管閉塞などもよく見られます。
●糞便検査でオーシスト(原虫の生活環におけるステージの1つ)を発見することで分かることもありますが、検査を行っても1度では発見できないケースが多いです。数回検査を行っても見つからないことも珍しくはないです。
●胃洗浄液や内視鏡による胃や腸の組織を採取する検査もありますが、検査自体が動物への負担が大きいで、お勧めできません。
●確実な診断は、吐いた吐物や糞を用いた遺伝子(PCR)検査をお勧めします。動物への負担もなく、一回の検査で診断ができます。

治療はできるの?

●有効な薬は無いので、爬虫類の感染では完治することはないといわれています。しかし、パロモマイシンという薬がある程度は効果的で、症状が改善したヒョウモントカゲもいます。
●感染してしまうと完治する薬がないので、予防が大切です。クリプトスポリジウムは各種消毒薬に抵抗性もあり、消毒が効きません。あえて言えば熱湯消毒と乾燥に弱いです。爬虫類の糞の掃除は頻回に行って下さい。ケージ、エサを与えるピンセット、エサ入れや水入れ、シェルターなどの器具はすべて熱湯消毒をしましょう。水での感染が強いのでケージなどは熱湯消毒の後によく乾燥させて下さい。
●新しい爬虫類を購入した際は、今までいた爬虫類に感染する恐れがあります。接触させる前にクリプトスポリジウムが寄生しているか、遺伝子検査をすることも必要かもしれません。

参考文献
■da Silva DC,Paiva PR,Nakamura AA,Homem CG,de Souza MS,Grego KF,Meireles MV.The detection of Cryptosporidium serpentis in snake fecal samples by real-time PCR.Vet.Parasitol204.134-138.2014
■Fayer R.Morgan U,Upton SJ.Epidemiology of Cryptosporidium:transmission, detection and identification.Int.J.Parasitol30.1305-1322.2000
■O’Donoghue PJ.Cryptosporidium and cryptosporidiosis in man and animals.Int.J.Parasitol25.139-195.1995
■P. Díaz a S. Rota b B. Marchesi b C. López a R. Panadero a G. Fernández a P. Díez-Baños a P. Morrondo a G. et al.Cryptosporidium in pet snakes from Italy: Molecular characterization and zoonotic implications.VeterinaryParasitology197(1‐2).68‐73.2013
■Upton SJ,McAllister CT,Freed PS,Barnard SM.Cryptosporidium spp. in wild and captive reptiles. J Wildl Dis25.20-30.1989
■Xiao L,Morgan UM,Fayer R,Thompson RC,Lal AA.Cryptosporidium systematics and implications for public health.Parasitol.Today16.287-292.2000
■黒木俊郎,宇根有美,遠藤卓郎.爬虫類のクリプトスポリジウム感染.野生動物医学会誌l8(1).27-34.2002
■五箇公一,宇根有美.侵入種生態リスクの評価手法と対策に関する研究(2)随伴侵入生物の生態影響に関する研究.F-3-103-127.環境問題対応型研究領域.生態系保全と再生(第4分科会).環境研究総合推進費.環境省.2009-2010

 

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