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専門獣医師が解説するヤモリのカルシウムサック

1 ヒョウモントカゲモドキの生態と特徴 この記事は約 4 分で読めます。 294 Views

カルシウム貯蔵

ヤモリの一部の種類では、カルシウムサック(Calcium sac)と呼ばれる、液体の炭酸カルシウムを貯蔵する1 対の嚢を備えています。この嚢は首の下部や頭蓋内に位置する内リンパ嚢(※)で、メスが固い卵殻を産むことに関与しています〔Gardner 1985〕。繁殖期になるとカルシムが蓄積されて、卵殻形成のために使用されるといわれています〔Lamb et al.2017〕。

内リンパ嚢

内リンパとは内耳の中を満たす液体の一つで、内耳の恒常性維持において重要な働きを担っています。この内リンパが含まれている空隙を内リンパ腔と呼ばれ、内リンパ腔と連絡している小さな袋状の嚢が内リンパ嚢になります〔中井ら1984〕。人では難聴や耳鳴りなどのめまい発作を起こすメニエール病の原因として、内リンパ嚢が関与していることが知られています。内耳でつくられた内リンパが、最終的に内リンパ嚢で吸収されて、一定の量が保たれますが、何らかの原因で吸収が正常に行われず内リンパが増加して、症状が発現します(内リンパ水腫)。

X線でくっきり

カルシウムサックはX線で観察するとX線不透明構造物として確認されます。内リンパ嚢とは、内耳から始まる拡張した嚢で、形状も種類によって異なります。

存在意義

このカルシウム嚢はよく分かっておらず、メスの卵のカルシウム関連以外にも、オスを含めた孵化したての幼体にも見られ、骨格のを強化のために使用されるとも言われています〔Henkel et al.1995,Bauer 1989〕。そして、環境ストレスを受けることで、カルシウムの取り込みを妨げることも指摘され、健康状態の指標になるとも言われています〔Brown et al.1991〕。

イモリ全てに見られるの?

カルシム嚢はヤモリの一部の種類(チビヤモリ科〔Sphaerodactylinae〕とヤモリ亜科〔Gekkoninae〕など)以外にもアノールトカゲで見られます〔Etheridge 1959,Bauer 1989〕。

参考文献
■Bauer A.Extracranial Endolymphatic Sacs in Eurydactylodes (Reptilia : Gekkonidae),with Comments on Endolymphatic Function in Lizards.J Herpetol23:172-175.1989
■Brown SG,Osborne LK,Pavao MA.Dominance behavior in asexual gecko,Lepidodactylus lugubris,and its possible relationship to calcium.International Journal of Comparative Psychology4(3):211–220.1990
■Etheridge R.The relationships of the anoles(Reptilia:Sauria:Iguanidae) an interpretation based on skeletal morphology.1959
■Gardner AS.The calcium cycle of female day-geckos (Phelsuma)-shont note.HerpetolJ.1:37-39.1985
■Henkel FW,Schmidt W eds.Amphibien und Reptilien Madagaskars der Maskarenen.Ulmer Eugen Verlag.1995
■Lamb AD,Watkins-colwell GJ,Moore JA et al.Endolymphatic Sac Use and Reproductive Activity in the Lesser Antilles Endemic Gecko Gonatodes antillensis (Gekkota: Sphaerodactylidae). Bull Peabody Museum Nat Hist58:17-29.2017
■中井義明,山根英雄,桝谷治彦.内リンパ管および嚢の構造と機能.耳鼻咽喉科展望27(5):p543-548.1984

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