専門獣医師が解説する鳥のPCR検査
PCR検査
鳥の感染症の確定診断には、遺伝子検査であるポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction:PCR)検査が用いられます。 この検査は高感度で、微量の病原体でも検出することができます。オウムの嘴羽毛症候群、セキセイインコのヒナ病、ヘ ルペスウイルス感染症、ボルナウイルス感染症、クラミジア症(オウム病)、アデノウイルス感染症(パ チェコ氏病、オウムの内臓乳頭腫症)、マイコプラズマ病、サルモネラ症、鳥結核症、ヘリコバクター感染症、カンジダ 症、アスペルギルス症、クリプトコッカ ス症などの感染症の鑑別、そして雌雄鑑別も可能です。
検診では何を優先してやるの?
鳥全種ではクラミジア症を検診で行うようにし、オウム目では加えてオウムの嘴羽毛症候群を推奨し、次いでセキセイインコ雛病、鳥結核病、鳥ボルナウイルス病を優先している。なお、フィンチはてオウムの嘴羽毛症候群は行わない。また、呼吸器症がある場合はクラミジア症 (オウム病)、マイコプラズマ病、アスペルギルス症を優先します。嘔吐をするコザクラインコではクリプトコッカ ス症を必ず調べるべきです。
サンプルは?
検体サンプルは検査項目によっても異 なるが、糞便ならびに総排泄腔、後鼻孔や分泌液スワブ、血液、羽毛などを用いる。
一回の検査で確実な結果なの?
サンプリングが正しくない、つまり病変とは程遠い場所からのサンプリングでは陰性になる可能性があります。病原菌がステージによって腸内でなく血液中に存在する場合もあり、後鼻孔では患部に近い場所から採取しないと正確ではありません。羽毛も異常がある羽毛でないと異常が検出できないこともあります。そのため数回の検査が必要にあんることもあります。