専門獣医師が解説するジュウシマツの雌雄鑑別と繁殖〔Ver.2〕巣引きは簡単!
雌雄鑑別
ジュウシマツはオスもメスも同じ色や模様をしていますので、雌雄鑑別が難しいです。一般的には3~4ヵ月齢の性成熟後に、性格、行動や鳴き声で鑑別できるようになります。
オス
美しく澄んだ「ピーピー」と鳴きますが、幼若鳥では小さく鳴きますので注意して下さい。また発情したオスは求愛で、「ピコポコピコポコ」「ププピ~」と鳴きながら(求愛ソング)、尾羽を上げてお腹の羽毛を膨らませ、止まり木の上で軽く飛び跳ねる行動を繰り返します(求愛ダンス)。
メス
メスはオスよりも低い声で「ジュリー」と鳴きます。
繁殖(巣引き)
鳥を繁殖させることは巣引きと呼ばれています。ジュウシマツの繁殖は容易で、雌雄の相性が合えばすぐに発情して交尾をします。ジュウシマツの繁殖は一年中可能ですが、春と秋、3〜4月か9〜10月が最も適しています。
性成熟
性成熟は3~4ヵ月齢です。オスは性的な成熟を迎えると精子が作れるようになります。メスは卵が産めるようになります。
発情
上述したようなオスとメスで発情兆候が見られます。発情させるために、栄養価の高い繁殖期用のペレットやシードに切り替えます。産卵に備えてビタミンやカルシウムなども十分に補給して下さい。
交配
交配はまずはお見合いからです。基本的にオスとメス1羽ずつ同じケージに入れますが、相性が悪ければすぐに喧嘩が始まります。メスとオスのケージを隣同士に置いて、相性を確認してから一緒にするとよいでしょう。発情したオスはメスに対して盛んに求愛行動を示し、交尾をせまります。メスはオスを気に入ると、尾を上げて交尾を許容します(シャチホコポーズ)。交尾はオスがメスの背中の上に乗って、お尻をこすり合わせて精子を注入します。相性が悪い場合はペアの組み合わせに変えて下さい。
産卵
交尾後にメスのケージに巣箱を用意をします。巣材にするために、ワラ、牧草、シュロ、紙などを与えて下さい。自ら営巣を始めます。カナリア用の巣箱あるいは壺巣を用意するとよいでしょう。巣の中に入っている時間が長くなると、産卵の兆候の始まりです。メスは1日中巣にこもり(巣ごもり)、糞と餌を食べる時にしか出てきませんので、1日数回しか顔を見せてくれません。オスは基本的に巣箱の中にこもらず、本来の仕事はエサを抱卵中のメスに届けたり、巣箱の前で見張りをします。母鳥は神経質になっています。巣箱の中を覗いたり、ケージを移動させるのは最低限にして下さい。刺激すると抱卵をやめてしまいます。なお、産卵した卵を人工孵化で孵卵させる方法もあります。
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雛・子育て
孵化が始まると、雛の鳴き声が聞こえるようになります。雛は未熟な状態の赤子で、目も耳も開いておらず、体温調節もできません。母鳥が上手に雛に餌を与えます。雛は孵化後に数日で目が開き、羽も生えてきます。全身の羽が生えそろったら、雛でなく幼鳥と呼ばれます。巣から雛が出てくるようになり、この状態を巣立ちといいます。自ら餌を食べるようになることを一人餌(ひとりえ)といいます。一人餌になったら、別のケージに移してあげましょう。
表:繁殖知識
性成熟 | 3‐4ヵ月齢 |
発情 | 季節繁殖(2-7月) |
繁殖回数 | 1-3回/年 |
産卵数 | 4-7個(連日に産卵) |
抱卵 | 約14日 |
巣立ち | 22-25日齢 |
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参考文献
■Cameron M.Cockatoos.CSIRO Publishing.Australia.2007
■Gill FB.Ornithology,3rd ed.W.H.Freeman and Company.New York.2007
■David Alderton.You &your pet bird.Dorling Kindersley.London.1992