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ミーアキャットってどんな動物|知らないといけない生態と特徴(Ver.2)

 2020/03/04 1 ミーアキャットの生態・特徴 この記事は約 12 分で読めます。 10,680 Views
ミーアキャット

猫ではないです・・・・

ミーアキャットは猫ではありません。ミーアキャット(Meerkat)は、オランダ語で「湖(meer)の猫(kat)」という意味ですが、湖に生息していません。ミーアキャットは、アフリカ南部のカラハリ砂漠などの乾燥地帯に生息しているマングースの仲間です。なぜミーアキャットと呼ばれているかは諸説があり、どれが本当かは分からないようです。
諸説1
サンスクリット語の「Markata(猿)」から「Meerkat」になったという説があります。オランダ人が初めてミーアキャットを見た時に、一見すると丸い頭をしているので猿のようにも見えてしまい、「Markata(猿)」をオランダ語の綴りに変えて「Meerkat」にしたそうです。
諸説2
古い文献で、ミーアキャット(Meerkat)はMierkatと記載され、アフリカーンス語で「シロアリ (Mier)のマングース (Kat)」の意味になります。アリ塚の上で直立し、シロアリも食べることが由来になっています〔Moira 1994〕。
ミーアキャット

分類・生態

分類

ネコ目(食肉目)マングース科スリカータ属
学名Suricata suricatta
英名:Meerkat、Slender-tailed meerkat、Suricate
別名:スリカータ
亜種:亜種は3亜種に分類されています。昔は4亜種でしたが、一つの亜種は絶滅しています。現在ペットで飼育されているのは Suricata suricatta suricatta と思われるが、それとは異なる亜種とも論争され新しい亜種として研究されています。

亜種 分布 特徴その他
Suricata suricatta suricatta ボツワナ、南アフリカの一部、ナミビアの東部 毛色は地域で異なり、茶色からオレンジ色
Suricata suricatta majoriae ナミビアの西部地域 個個体数は少ない
Suricata suricatta iona アンゴラ南西部(主にイオナ国立公園)
Suricata suricatta major 南アフリカ(ケープタウン) 絶滅種/歯列が他の亜種と比べて異なる?

分布

南アフリカ、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビーク

身体

頭胴長:25~35cm
尾長:17.5〜25cm
体重:0.6~1.0kg(オス0.626~0.797kg、メス0.62~0.969kg〔Moira 1994〕)
毛色
・毛色は生息地によって微妙に異なり、南部では毛色はより暗く、より乾燥した地域では毛色が明るくなります。
ミーアキャット ミーアキャット
・一般的な毛色は、灰色、黄褐色、銀色を帯びた黄茶褐色です。体全体に暗色の横縞が頭と尾を除いて走っており、横縞の数は10本です〔祖谷ら 1991〕。尾は黄色を帯びた黄褐色で、先端が黒色です〔John Rood et al.1986〕。
・顔や喉は灰白色、目の周りは丸く暗色~黒褐色に太く縁どられ、鼻はピンクならびに茶色~黒褐色を帯びていいます。
寿命:野生で5~15年。ペットでの最大寿命は20.6年です〔Macdonald et al.2014〕。

生態

環境
・草原、砂漠など、低木林、林地、石の多い開けた土地に生息しています〔Estes 1991,van Staaden 1994〕。
行動
・社会性の強い動物で、2~30頭ほどの群れを形成し、地下につくったトンネル状の巣穴で生活をしています。群れは複数の巣穴を利用し、巣穴はトンネルと部屋が連なる大規模な構造になっており、それぞれを行き来できます。
・群れは雌雄は同じ比率で、複数の家族単位のペアとその子どもたちから構成されます。群れの仲間で、子供の世話、捕食者を見守るなどの仕事で交代で行う協力的な意識をもっている群れです〔Steiniger et al.2012〕。

ミーアキャット 
・昼行性の肉食動物で、日の出と共に巣穴から出て太陽に向かって尾を支えにして後足で直立し日光浴をします。群れの仲間は仲良く様々なコミュニケーションがとられています。小動物を捕獲する際には小型の鳥を捕える時には、協力して狩りを行にいます。

センチネル行動(Sentinel behavier)
・ミーアキャットは群れの中でエサを食べている時には、通常そのうちの1頭(2頭以上であることはめったにない)が周囲を見渡して、仲間に対して定期的に見張り行動として、鳴き声を発します。鳴き声を発することは、エサを食べている個体に対して、誰が見張りをしているのかの確認や天敵が周囲に近づいてきた警告としての役目をします〔Rauber et al.2018〕。天敵が近づいて危険がせまると、皆で巣穴に逃げ戻ります。
ミーアキャット
食性
・ミーアキャットは主に食虫を食べますが肉食です。小さな脊椎動物、卵、小さな哺乳類および植物や果物も口にします。
・食べているエサのデータを見ると、昆虫82%、クモ7%、ムカデ3%、ヤスデ3%、爬虫類2%、鳥2%で構成されています〔van Staaden 1994〕。
寿命:5~15年〔van Staaden 1994〕(飼育下では12年以上〔Honolulu Zoo 2001,Oakland Zoo 1999〕)

特徴

性格

性格は好奇心旺盛で、昔は人に馴れていない個体が多かったですが、近年はとても慣れる性格の個体が多くなっていますサソリをも食べてしまうくらい気性が荒い面もありますが、仲間を思う気持ち、馴れた人に対する甘えなど愛情深い面も備わっています。

習性

ミーアキャットは多くの野生での行動や習性が、ペットで飼育をしていても数多く残っています。巣穴を掘る行動も習性の一つです。

ミーアキャットの魅力は「立つ仕草」が印象的です。多くの人がミーアキャットと言ったらこの立って遠くを眺める姿が有名です。この行動をとる理由は2つあります。1つ目は、巣穴の周囲を警戒するためです(センチネル行動)。2つ目は日光浴として、太陽に向かって体を暖める習性のの名残りです。生息地は夜の冷え込みが厳しく、巣穴で眠っている間に体温が低下するため、日の出とともに巣穴から出て、太陽に向かって立ち、お腹を温めます。

飼い主と一緒に寝るという行動も、群れで生活していた名残りです。
ミーアキャット
ミーアキャットは音と匂いで常にコミュニケーションをとっています。基本的に大きな声をあげることはありませんが、約20〜30種類の鳴き声があります。かまってほしい時は「クークー」、遊んで興奮している時は「クックック」、「ウィウィ」、威嚇の時は、「シュー」、「シャー」などという声を絶え間なく鳴いています。この声は実際の所、とても複雑で、天敵からの防御、子の世話、巣穴を掘る共同作業、日光浴、寄り添い、攻撃性など、多くの状況で12種類の鳴き声の組み合わせを記録した報告があります〔Townsend et al.2011,Collier et al.017〕。

 

マーキング(Marking:におい付け)で、縄張りと家族性を主張します。ミーアキャットの臭腺は頬と肛門にあります。

身体

体は細長い円筒状で、手足は相対的に短いです。尾は細く、先細りになっています。

体臭は特有の麝香臭を放ち、臭腺(肛門腺)、頬と肛門付近に分布する分泌腺、身体全体に分布する皮脂腺が体臭の原因です。特にオスは臭腺が発達しています〔祖谷ら 1991〕。また、便、尿、唾液を使って縄張りを主張します。頬の臭腺は一般的に群れの仲間とコミュニケーションで使われ、肛門腺は様々なマーキングに使われます。

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顔も鼻に向かって先細りになり、額が丸くなっています。鼻は幼体は明るいピンク色ですが、成熟するとメスはピンク色を保ち、オスは強く黒色に変色する傾向があります。

匂いで認識する習性があるため、強力な嗅覚を持っています。仲間や他のミーアキャットを特定したり、地下にいる獲物を嗅ぎ分けたり、交尾の際のメスの受け入れを判断したりします。

背中の毛は短いですが、尾の基部は約2cmと長く柔らかい毛で被われています。お腹はまばらに短い体毛で被われています〔祖谷ら 1991〕。

尾は直立する時にバランスを取りますが、他にも興奮や警戒の際の自己主張すでは、高くまっすぐに立てたりします〔Van Staaden MJ.2014〕。

目の周りは丸く暗色~黒褐色に太く縁どられたマーキングはサングラスのような機能があり、太陽のまぶしさをそらして周囲をはっきりと見ることができます。他にも縁どられた目はよい大きく見せることで、天敵を脅すことができます。

ミーアキャット
巣穴を掘る時に目を保護するため、目を覆うことができる特別な白色の膜(瞬膜)が発達しています。睡眠中は白目を剥いたように見えますが、これは瞬膜がのぞけているのです。

耳は小さくて丸い形をしています。巣穴を掘る時に砂が入らないよう閉じることができます。
乳頭の数は6個(3対)です。
手足は細く、指の数はそれぞれ4本です〔祖谷ら 1991〕。
ミーアキャットの指
巣穴を掘る前足の爪は1.5㎝位と長く、後足の爪の2倍以上の長さになります〔祖谷ら 1991〕。
ミーアキャットの爪
丸い頭が特徴的で、大きな眼窩があるため、眼はやや窪んで見えます。

歯式は3/3 1/1 3/3 2/2 の計 36本です〔Van Staaden MJ.2014〕。
ミーアキャットの歯

繁殖

ミーアキャットは繁殖が難しい動物で、そのために自家繁殖が薦められていません。飼育下での繁殖方法も、確立されていませんので、情報が列記されているものだけをピックアップしました。

性成熟

1歳前後で性成熟しますが〔van Staaden 1994〕、繁殖のメスは体がしっかりさせるために約2年を要します〔Clutton-Brock et al.1999〕。飼育下では、31ヵ月で成熟し、11頭の子を産んだ報告がなされています〔van Staaden 1994〕。

繁殖期

ミーアキャットは年間を通じて繁殖は可能ですが、野生でのカラハリ砂漠の南部では8月から3月までの雨が多く、暖かい時期に繁殖をします〔Estes 1991, van Staaden1994〕。発情期は非常に気性が荒くなります。馴れているのにかむようになったり、オスは、肛門にある臭腺(肛門腺)をあちこちに擦り付けるような行動をとりはじめます。発情期に気性が荒くなったら、かまれると危険なので掃除やエサやりなどでケージ内に手を入れる場合は、厚い手袋などで手を保護して行って下さい。ミーアキャットの噛む力は強いです。

交尾

オスはメスをマウントして、うなじを押さえ込んで交尾をします〔van Staaden 1994〕。
ミーアキャット

妊娠

妊娠期間は約11週で〔van Staaden 1994〕、メスは年に1回、2~4頭の子を産みます〔Estes 1991〕。

子育て

新生子は耳と目が閉じた赤子として生まれます。耳は約10日齢で開き、目は10~14日で開きます。離乳は49~63日齢です。
ミーアキャット
オスや若いミーアキャットは群れの中で育子を助け、遊び方やエサの探しかたなどを教えます。群れの他の個体も共同で子育てや若い個体を守り、エサを供給するなど世話をします〔van Staaden 1994〕。
ミーアキャット
参考文献
■Collier K,Townsend SW,Manser MB.Call concatenation in wild meerkats.<i>Animal Behaviour</i>134.257–269.2017</cite></span>
■Estes R.The behavior guide to African mammals.Berkeley: University of California Press.1991
■Honolulu Zoo,Date unknown.”Meerkat” (On-line). Accessed December 3, 2001 at http://www.honoluluzoo.org/meerkat.htm
■John Rood W.Chris Wozencraft 「スリカータ」古屋義男訳『動物大百科 1 食肉類』今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、東京.p167.1986
■Macdonald DW.Suricata suricatta Meerkat (Suricate). In Mammals of Africa.V–Carnivores, Pangolins, Kingdon J,Happold D,Hoffmann M,Butynski T,Happold M,Kalina J.eds.Equids and Rhinoceroses. Bloomsbury. p347–352.2014
■Moira J.van Staaden,”Suricata suricatta,”Mammalian Species483, American Society of Mammalogists.p1-8.1994
■Oakland Zoo,Date Unknown.”Animals A-Z: Meerkat” (On-line). Accessed December 3,2001 at tt>http://www.oaklandzoo.org/atoz/azmeerkat.html
■Rauber R,Manser MB.Experience of the signaller explains the use of social versus personal information in the context of sentinel behaviour in meerkats.Scientific Reports 8, Article number11506.2018
■Steiniger S,Hunter AJS.A scaled line-based kernel density estimator for the retrieval of utilization distributions and home ranges from GPS movement tracks.Ecological Informatics13.1–8.2012
■Townsend SW,Zöttl M,Manser MB.All clear?Meerkats attend to contextual information in close calls to coordinate vigilance.<i>Behavioral Ecology and Sociobiology65(10).927–1934.2011
■van Staaden M.Suricata suricata.Mammalian Species483.1-8.1994
■4祖谷勝紀・伊東員義 「ジャコウネコ科の分類」『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』今泉吉典監修、東京動物園協会.p78-118.1991

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