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専門獣医師が解説するリスザルのビタミンC欠乏症~ターバンヘッド

 2020/07/15 4 サルの病気 この記事は約 3 分で読めます。 2,864 Views
リスザルのターバンヘッド

頭にコブができた?

リスザルの頭に何かできて大きくなっている?コブができた?こんな病気があるのでしょうか?コブは大きくなりインド人の頭に巻くターバンみたいな外貌になることから、ターバンヘッドと呼ばれる病気があります。

原因は?

ビタミンCの欠乏が原因です。リスザルを始めとする新猿類のサルは体内でのビタミンCの合成能力ができないので、エサには十分なビタミンCが含まれていることが必要です。サル用のペレットにはビタミンCが含まれていますが、ペレットの保管の問題による劣化やサルの偏食なども起こるため、果物や野菜、あるいはサプリメントで摂らせる必要があります。

症状は頭だけなの?

ビタミンCは、血管の構造・機能の保持や骨の形成に重要なコラーゲン合成に深く関与しているため、欠乏すると歯肉、鼻、皮下織、骨膜に出血が起こります(壊血病とも呼ばれています)。サルの種類によってビタミンC欠乏の症状が異なり、アカゲザルでは手足の長い骨、歯や肋骨に症状が見られますが、リスザルでは主に頭に起こり、頭蓋骨の骨膜の下で出血を起こし血腫ができます〔Ratterree et al.1990〕。この骨膜下血腫は巨大化して、頭蓋骨は盛り上がってコブを作りますす。

頭のコブは硬いの?

なぜリスザルは頭に発生するのかは分かっていません。最初は小さなコブなので発見しにくいですが、そのうち大きくなり、目立ってきます。

リスザルのターバンヘッド

触ってみると、コブの一部に骨にような硬い部分が分かります。一部では血液が貯まっています。頭蓋とコブの境界が明瞭ですが、次第に大きくなると頭自身が大きくなります。

リスザルのターバンヘッド

コブ以外の症状はないの?

ビタミンCが欠乏するわけですので、活動が低下して覇気がない、下痢をする、顔色が悪いという症状も起こりますが、顕著には現れません。

リスザルのターバンヘッド

X線で見ると・・・

頭部のX線検査では、コブは内腔の見られる骨増生を起こしています。頭蓋に近い部分は骨増生の白い構造物が強く見られ、頂上部は薄く映っています。他の全身の骨には異常が認められません。

  

治療はどうするの?

とりあえずビタミンCを投与します。

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硬くなったコブは元には戻らないので、増生した骨の除去する外科手術が行われます。

リスザルのターバンヘッド リスザルのターバンヘッド

サルは人のような動作をするので手術後には頭が痛くて抑えています。

 リスザルのターバンヘッド

ポイントはコレ!
・リスザルのビタミンC欠乏症の一症状で頭にコブができる
・エサの偏りや偏食が原因
・頭蓋骨の骨膜の出血で血腫ができてコブになる
・コブの摘出手術が必要になる

参考文献
■Ratterree MS,Didier PJ,Blanchard JL,Clarke MR,Schaeffer D.Vitamin C Deficiency in Captive Nonhuman Primates Fed Commercial Primate Diet.Laboratory animal science 40(2).165-168.1990

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