専門獣医師が解説するリスザルの脂肪腫
脂肪の塊
脂肪腫とは皮下や筋肉にできる脂肪のかたまりで、良性の腫瘍です。リスザルでは、脂肪腫がとてつもなく大きくなったり、全身に沢山できることがあります。脂肪腫の診断は、しこりの一部を外科的に切り取って病理検査をしなければなりません。良性の脂肪種でなく、悪性の腫瘍の可能性もあります〔Joseph et al.2009〕。病理検査をするには全身麻酔が必要になります。
なんで出来るの?
脂肪腫の発生原因はよく判っていません。肥満のサルにできやすいとも言われていますが、痩せているサルにも発生しています。
どうなるの?
脂肪腫は柔らかく、初期は1cm位の大きさで発見されますが、10cm以上の大きさになることもあります。背中や首、肩、お腹に発生する場合が多いです。皮膚の上から触ると分かります。ゴムのように柔らかい感触が特徴ですが、時間が経つと硬くなっていることもあります。通常は痛みやかゆみを感じることはなく、ゆっくりと成長して大きくなります。一度出現すると、自然になくなって消えることはないです。時にサルは違和感を感じて、引っ掻いたり、かんだりして、炎症や出血を起こることがあります。
治療や予防は?
脂肪腫の治療や予防、進行を防ぐ方法は特にないです。治療が必要となる時はのは、見かけが気になったり、あまりに大きくなってきた場合、化膿したり痛みを感じたり、日常生活に支障をきたす場所には部分的に手術で取り除きます。
・良性の脂肪腫であることを病理検査で診断はつけることが大切
・多くは無症状
・時に違和感により引っ掻いたりすることがある
・予防や治療はない
参考文献
■Joseph A.Bernstein and Peter J. Didier.Nonhuman primate dermatology: a literature review.Vet Dermatol20(3).145–156.2009