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目の中の白いモヤモヤって何?|骨性分離腫

 2022/07/03 4 モルモットのQ&A この記事は約 6 分で読めます。 977 Views

骨性分離腫って?

モルモットの虹彩角(隅角付近)の領域で組織の骨化が起こり、大半が偶発的に発見されます〔Griffith et al.1988,Schaffer et al.1995〕。骨化は前房内の虹彩と角膜の間に不規則な白色の沈着物として確認され、これは毛様体の骨化で、骨性分離腫と呼ばれています。

 

CT検査時に偶発的に骨性分離腫が発見されることもあります。

どんな感じになるの?

毛様体の骨化が起こっても、炎症などの異常は認められません。しかしながら時間の経過とともに、ゆっくりと多発あるいは円弧状に増殖し、角膜周囲を取り囲むような形状に発達します〔Griffith et al.1988〕。片側の眼球にだけ発生することもありますが、多くは時間の経過とともに両側に発生します。骨性分離腫は、骨異形成や異所性骨形成とも呼ばれ、分離腫の骨化には骨細胞が存在しますが、単純な組織の石灰化(異所性石灰化)は無細胞であるのが違いです。モルモットの骨性分離腫は若い個体から老体まで幅広い年齢で発生し、性差もありません〔Williams et al. 2010,Donnelly et al. 2002,Schaffer et al.1995〕。

臨床症状は、微細な沈着では目の不快感や二次的な疾患を引き起こすことはありませんが、進行すると骨化した沈着物に血管新生がみられ、ぶどう膜炎や緑内障が併発することがあります〔Schaffer et al.1995〕。 しかし、ぶどう膜炎や緑内障は必ずしも発生するものではなく、Williamsらの研究によると、骨性分離腫を伴う195頭のモルモットでは、眼圧の上昇は確認されなかったと報告されています。ぶどう膜炎または前房水に炎症産物がフレアーとして発生すると角膜炎が起こりやすくなります〔Williams et al.2007〕。X線検査では、偶角に円弧状の骨性分離腫が明確に確認されます〔Williams et al.2007〕。

原因は分かってるの?

骨性分離腫の原因はよく分かっていません。モルモットは特に異所性石灰化を受けやすい動物で、エサのカルシウム含有量が高いことに関係して、骨性分離腫も同様かもしれません。さらに、アスコルビン酸の関与も指摘されています。毛様体は房水の生産に関わり、血漿アスコルビン酸を濃縮して房水中の濃度を高くする役割をし、房水中のアスコルビン酸は水晶体や角膜へ栄養を供給します。モルモットに投与が必要とされるアスコルビン酸のはカルシウムの吸収を施す作用があるため、毛様体のような豊富な血液供給の存在下で骨形成を促進する可能性があります〔Aghajanian et al.2015.Williams et al. 2012〕。また、Schafferら(1995)の調査では、20頭の眼窩下膿瘍のモルモットの11頭で、骨性分離腫を発見した報告をしており〔Schaffer et al.1995〕、因果関係も論議されています。

モル以外にもあるんだ

骨性分離腫はモルモットでの報告が最も多いですが、同様の眼病変はイヌやヒトを含む他の種でも報告されています〔Lynch GL et al.2007,Brooks et al.1990,Williams et al. 2010,Donnelly et al. 2002,Schaffer et al.1995〕。なお、ヒトでは、主に脈絡膜構造が影響を受けるという点で発生場所が異なっています〔Shields et al.2008〕。

治療は?

骨性分離腫の治療は支持療法のみで、完治する方法はありません

参考文献

■Aghajanian P,Hall S, Wongworawat MD,Mohan S. The roles and mechanisms of actions of vitamin C in bone: new developments.J Bone Miner Res30:1945-1955.2015
■Brooks DE,McCracken MD,Collins BR.Heterotopic bone formation in the ciliary body in guinea pigs. Vet Pathol40.88–90.1990
■Donnelly TM,Brown C,Donnely TM.Heterotopic bone in the eyes of a guinea pig: Osseous choristoma of the ciliary body.Lab Anim31.23–25.2002
■Griffith JW.Sassani JW,Bowman TA,Lung CM:Osseous choristoma of the ciliary body in guinea pigs.Vet Pathol25.100-102.1988
■Lynch GL,Scagliotti RH.Osseous metaplasia in the eye of a dog.Vet Pathol44(2):222-224.2007
■Schaffer EH,Pfleghaar S.Secondary open angle glaucoma from osseous choristoma of the ciliary body in guinea pigs.Tierarztl Prax23.410‐414.1995
■Shields JA,Shields CL.Intraocular Tumors:An Atlas and Textbook.2nd Lippincott Williams &Wilkins.Philadelphia.PA:264.2008
■Williams DL.Laboratory animal ophthalmology.In: Gelatt KN, editor. Veterinary Ophthalmology.4th ed.Blackwell Publ.Oxford:p1356–1359.2007
■Williams DL,Sullivan A.Ocular disease in the guinea pig (Cavia porcellus): A survey of 1000 animals. Vet Ophthalmol13(Suppl):54–62.2010
■Williams DL.The guinea pig eye.In Williams DL ed.Ophthalmology of Exotic Pets.1st ed.Wiley-Blackwell.Oxford.UK:67-69.2012

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