骨が折れたらどうしたらよい???専門獣医師が解説する鳥の骨折
原因
骨折は、屋内での放鳥時に、落下やドアに 挟まれたり、人に踏まれるなどの事故で起こります〔Orosz 2002〕。鳥類の皮質骨は非常に緻密で引張強度が高いが、非常に薄くて脆い面もあり、衝撃を受けると簡単に砕けたり砕けます〔Orosz 2002〕。くる病の幼若鳥、産卵期の低カルシウム血症のメスなどの骨折も発生しやすいです。小型種では脛骨と上腕骨の骨折が多いです。
症状
一般的な症状には、飛行不能、翼の下垂、跛行、起立不能などで、烏口骨骨折または胸帯骨折のある鳥は、翼を水平面より上に持ち上げることが不可になり、揚力を発生できなくなります〔Orosz 2002〕。
治療の考え
鳥の骨は繊維質を帯びており、外力に対してハガネのようにしなる性質があり、骨折の場合、骨折端がささくれによって、離断しない傾向にあります。そして、特に幼若鳥あるいは小型のフィンチなどの代謝率の高い鳥では、治癒が早く、3 週間もあれば十分な化骨が期待できます〔Tully 2002〕。このような骨の特徴から、骨折部位や鳥種によって治療法を決定する。骨折患部の安定化のために、ケージレストあるいは包帯、ピンやプレートなどによる固定などが行われます。小型種では主にケージレストまたは包帯、プレートによる外科手術は大型種に選択されますが、小型種でも遠位尺骨または近位脛骨足骨に骨内カテーテルを挿入している報告もあります。鳥類の骨の周囲には軟組織が少なく、翼や脚の骨折では、血管損傷や神経機能の喪失を伴いながら、解放骨折に移行することがあるので注意して下さい〔Orosz 2002〕。
これもやって
骨折の治癒を促進するために、適切なカルシウム代謝を更新させます。日光浴をさせ、鉱物飼料やカルシウムのサプリメントを与えます。1
参考文献
■de Matos R.Calcium metabolism in birds.Vet.Clin.Exot.Anim11:59–82.2008
■Orosz SE.Clinical considerations of the thoracic limb.Vet Clin Exot.Anim5:31–48.2002
■Tully TN Jr.Basic avian bone growth and healing.Vet Clin Exot Anim5:23–30.2002