1. TOP
  2. 3 ウサギの病気
  3. 目の中の膿?~専門獣医師が解説するウサギの虹彩膿瘍

目の中の膿?~専門獣医師が解説するウサギの虹彩膿瘍

 2021/04/14 3 ウサギの病気 この記事は約 3 分で読めます。 5,350 Views

どんな病気?

虹彩、毛様体、脈絡膜から構成される眼球の中間層にある血管が豊富な部分がぶどう膜です。ぶどう膜炎に限った特異的な目の症状は少なく、全体的な目の異常として現れます。多くは全身の感染症や体の病気が原因で免疫が関与して発生します。ウサギではパスツレラ菌(Pasteurella multocida)の細菌とエンセファリトゾーン(微胞子虫:Encephalitozoon cuniculi)の寄生虫の感染でぶどう膜炎が起こることが有名です。特にエンセファリトゾーンによる感染が問題となり、虹彩の充血や血管の新生が見られる虹彩炎が起こり、次第に虹彩膿瘍が形成されます。その膿が目の中の膿として発見されます。

ウサギの目の仕組みを一度読んで勉強してみて!

症状は?

エンセファリトゾーンは目に見えないくらいの小さい寄生虫で、脳、腎臓、目の水晶体に寄生します。罹患したウサギの多くは無症状ですが、発症すると斜頸などの神経疾患、またはぶどう膜炎が起こることが知られています。ほとんどの目の症状は若いウサギで発生し〔Wolfer et al.1993〕。ぶどう膜炎の初期ではほどんど症状が見られず、虹彩膿瘍が大きくなっても末期まで無症状であることも多いです。

最初は・・・

最初は虹彩にわずかな白い点があるくらいで、血管も目立ちません。

ウサギ虹彩膿瘍

次第に・・・

膿瘍は明確になり、血管の増生もひどくなっていきます。

ウサギ虹彩膿瘍

最後は・・・

虹彩炎の癒着により白内障も併発し、虹彩膿瘍が大きくなると緑内障も起こります。

 

診断は?

エンセファリトゾーンの診断は血液検査での抗体測定で判断します。ぶどう膜炎の治療は抗炎症剤の点眼を行います。

ウサギのエンセファリトゾーンの解説はコチラ!

治療は?

抗炎症剤の点眼薬を投与しますが、2~3か月、いやそれ以上の長期で治療効果をみていきます。その間に白内障や緑内障になるウサギもいます。緑内障になり眼球拡張が進行した場合は眼球を外科的に摘出するか(眼球摘出手術)、義眼を挿入します(義眼挿入手術)。エンセファリトゾーンが検査で陽性であったウサギには、駆虫薬の内服投与を行います。下の写真は膿瘍は無くなりましたが、虹彩の変形と白内障は後遺症として残っています。

ウサギを医学的に勉強するならこの本!

 

ウサギの医学
価格:28600円(税込、送料別)[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]
楽天で購入!

ウサギの病気や治療のことも知りたい方は、これを読んで下さい!ウサギ診察獣医師のバイブルです!

JCRA(ジャクラ)って?ウサギ検定受けませんか?

ウサギを幸せに長生きさせたい方は、一般社団法人 日本コンパニオンラビット協会(JCRA)に入会て、ウサギ検定を受験しましょう!

入会はコチラ!

参考文献

■Wolfer J,Grahn B,Wilcock B,Percy D.Phacoclastic uveitis in the rabbit.Prog Vet Comp Ophthalmol3.92-97.1993

\ SNSでシェアしよう! /

ウサギ情報室|専門獣医師による飼育と病気の解説の注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ウサギ情報室|専門獣医師による飼育と病気の解説の人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

関連記事

  • 専門獣医師が解説するウサギの子宮疾患〔Ver.3〕赤いオシッコに注意!

  • 専門獣医師が解説するウサギのパスツレラ症~ウサギで有名な病気~

  • 専門獣医師が解説するウサギの熱中症〔Ver.2〕暑さに弱いので万全な対策は?

  • 専門獣医師が解説するウサギの眼疾患~症状による鑑別

  • 専門獣医師が解説するウサギの皮膚糸状菌症〔Ver.3〕~人にもうつるので注意!

  • 専門獣医師が解説するウサギの胃のうっ滞・毛球症〔Ver.3〕完璧な予防対策は?