専門獣医師が解説するジュウシマツってどんな鳥?〔Ver.2〕知らないといけない生態と知識
優しくて性格が温和な小鳥
ジュウシマツは野生には存在しない鳥で、南アジアに生息するコシジロキンパラが江戸時代に日本に輸入されて品種改良されて作られた飼鳥です。江戸時代末期に白い羽を持つジュウシマツが誕生し、縁起が良いという理由で、明治~昭和にかけて日本全国で人気が出てきて沢山の数が飼育されました。現在は人気がなくなり、一部の愛好家の間で飼われています。その後、日本のジュウシマツは欧米に渡り、さらに近縁の種との交配も加えて、新たな品種が作出されました。それらの品種は、ヨーロッパジュウシマツと呼ばれています。
分類・生態
オリジナルのコシジロキンパラのデータになります。
分類
スズメ目カエデチョウ科キンパラ属
学名:Lonchura domestica
英名:Bengalese finch
分布
ヒマラヤ、マレーシア、インドネシア、中国南部、台湾
身体
体長:11~12 ㎝
体重:12~15g
羽色:嘴、羽、脚の色は多様です。
趾:三前趾足
生態
行動
・小さな群れをつくり、樹上に巣を作っています。
食性:主に植物の種子を食べる穀食性です。
寿命:3~8年
性格
温和で優しい
ジュウシマツは大変穏和な性格で、複数飼育も可能です。ペットとして飼育されてきたことから、外敵に対する警戒心はありません。他の鳥に攻撃されても、決して自分から攻撃することは滅多にありません。しかし、人に対しても臆病で、外部からの刺激も苦手としている性格をしています。
群れるの好き
攻撃的な性格も無く、同居の仲間のジュウシマツとの揉め事も少ないです。協調性を持って仲良く生活することができますので、一つのケージに十数羽を飼育することもできます。個体同士が仲良く過ごすことができるため、十姉妹という和名になりました。
数羽をまとめて飼育できるので、住宅が狭い日本で人気が高い由縁となっているのかもしれません。
臆病
他の鳥に攻撃されても、決して自分から攻撃することは滅多にありません。しかし、人に対しても臆病で、外部からの刺激も苦手としている性格をしています臆病な性格のために隠れ家にもなるツボ巣をケージに入れるとよいとされています。壺巣はワラを編んで作ったツボ型の巣で、ジュウシマツにとって安心なスペースになります。壺巣をケージに入るとメスが発情して無精卵を産むようになり、卵づまりなどを引き起こす可能性があります。壺巣を入れる際には、十分に考えてから入れるようにしましょう。
特徴
巣引きが簡単
繁殖が容易であるために、他のスズメ目の里親(仮母)にも使用されています(いわゆる托卵のことです)。飼主や飼育環境に馴れる前までは落ち着きがなく、常に怯えているような状態になります。最初から複数での飼育すると怯えることがありません。
ジュウシマツは手乗りというよりも、鑑賞用の鳥です。しかし、手乗りにすることも可能です。
可愛いさえずり
ジュウシマツは、江戸時代から飼育され、その間にさえずりが大きく変化し、野生のコシジロキンパラと比べて、きわめて複雑な歌が歌えるようになりました。普段の鳴き声は「プッ、プッ」「プップップ」「ジュッジュッジュ」というと短い声で、機械音のような鳴き方をします。8種類の音素を持って鳴いているといわれ、その組合せが複雑で、さえずるといわれています。人の言葉と同じように音の並びに規則性があるらしいです〔藤木ら.1997〕。
飛ぶのが下手
ペットとして品種改良されてきたため、ジュウシマツは飛翔能力が弱いです。野生で生きることは難しいでしょう。
水浴び大好き
ジュウシマツは水浴びを大変好みます。水浴び用の水を入れ換えるたびに水浴びをします。
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参考文献
■Cameron M.Cockatoos.CSIRO Publishing.Australia.2007
■Gill FB.Ornithology,3rd ed.W.H.Freeman and Company.New York.2007
■David Alderton.You &your pet bird.Dorling Kindersley.London.1992
■藤木完治他.新しく脳を科学する 動物・鳥・魚・昆虫そして人間の脳研究が面白い.東京教育情報センター.東京.1997