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専門獣医師が解説する哺乳類・鳥類・爬虫類の野菜の餌

野菜は線維質&ビタミン&水分!

野菜は草食動物以外にも繊維質とビタミン補給のために多くの動物の食材として与えられています。水分も多く含まれているため、積極的に飲水をしないような動物にも適しています。しかし、多く与えすぎと軟便・下痢が起こすこともあり、種類や個体によって与える量や割合は使い分けましょう。一般的には緑黄色野菜が良いとされ、カロチンを多く含む野菜です。野菜に抗酸化、免疫向上、解毒作用などの機能もあります。なお、野菜は新鮮な状態で与えないとしなびやすく、動物が食べないこともあります。

選び方

それぞれの野菜には一長一短があります。目的を考えて与えましょう。しかし動物にも好みがあるので、どの野菜を好んでたべるのか全く予想がつきません。

一般的に与えてよい緑黄色野菜は?

緑黄色野菜は色のついたβカロチンを豊富に含む野菜です。緑黄色野菜以外の野菜を淡色野菜と言いますが、色によって区別しているのではありません。1回に食べる量や与える回数の多い色の濃い野菜も含まれます。


表:βカロチン当量の多い野菜

野菜 βカロチン当量(μg/100g可食部)
シソ 11000
モロヘイヤ 10000
ニンジン 8600
パセリ 7400
アシタバ 5300
ヨモギ 5300
春菊 4500
ホウレンソウ 4200
カボチャ 4000
ダイコンの葉 3900
コマツナ 3100
ケール 2900
リーフレタス 2300
サラダ菜 2200
チンゲン菜 2000
ニンジンの葉 1700
水菜 1300
ブロッコリー 810
芽キャベツ 710
サヤエンドウ 560
青ピーマン 400
キュウリ 330
レタス 240
ハクサイ 99
キャベツ 50
セロリ 44

カロチンってどんな効果があるの?

カロチンとはカボチャ、トマト、ニンジンなどに含まれる黄、オレンジ、赤などの色素のことです。カロチンを分類すると、αカロチン、βカロチン、γカロチン、クリプトキサンチンなどがあります。カロチンは動物の体内に取り込まれてからビタミンAに変換して作用します。ビタミンA作用をするカロチンの中で、最も高い活性があるのがβカロチンで、これを代表として表したのがβ-カロチン当量というものです。αカロチン、クリプトキサンチンの活性はβカロチンに比べて劣るため、βカロチン当量=βカロチン(μg)+1/2αカロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μ</g)の式で表されます。ビタミンAは、目や皮膚の粘膜を健康に保ったり、繁殖力や抵抗力を強めたりする働きがあります。

特に呼吸粘膜が弱くて感染を起こす鼻炎およびスナッフル、腸粘膜が弱くて軟便・下痢気味の動物に適しています。繁殖させる動物にはしっかりと与えて下さい。βカロチンは体内でビタミンAに転換してビタミンAが作られます。ビタミンAを直接多く与えると過剰になり副作用が起こりますが、βカロチンはビタミンAが不足している時に 必要とする量だけビタミンAに変換され、ビタミンAが十分に存在する時には ビタミンAに変換されないという性質がありますので、カロチンの過剰投与は、ビタミンA過剰は起こりません。爬虫類ではビタミンA欠乏によって、カメのハーダー腺炎ヒョウモントカゲモドキの目の病気など、多くの特異的な疾病が報告されています。

ヒョウモントカゲモドキの目の病気の解説はコチラ!

水ガメのハーダー腺炎の解説はコチラ!

尿結石に注意したい野菜は?

カルシウムは骨の構築に必要なミネラルで、成長期の動物に適しています。しかし、与えすぎることで尿結石腎不全が心配な成体のウサギやモルモットでは、カルシウムはある程度控えた方がよい場合があります。

表:カルシウムの多い野菜

野菜 カルシウム(mg/100g可食部)
パセリ 290
モロヘイヤ 260
大根の葉 260
ケール 220
水菜 210
ヨモギ 180
コマツナ 170
春菊 120
チンゲンサイ 100
ニンジンの葉 92
サニーレタス 66
アシタバ 65
サラダ菜 56
サラダ菜 56
ホウレンソウ 49
白菜 43
キャベツ 43
セロリ 39
ブロッコリー 38
芽キャベツ 37
サヤエンドウ 36
ニンジン 28
キュウリ 26
レタス 19
カボチャ 15
青ピーマン 11

ウサギの尿結石の解説はコチラ!

モルモットの尿結石の解説はコチラ!

ビタミンCが多い野菜と果物は?

モルモットは体内でビタミンCが合成できないので、エサから与えるか、サプリメントで与えないとビタミンC欠乏症になります。ビタミンCは果物に多いと思いがちですが、野菜にも十分にあります。尿結石、鼻炎や軟便なども心配な飼い主は、ビタミンCと一緒にβカロチンやカルシウムの量も考慮して、選んであげて下さい。モルモットに与える野菜としてはパセリ、ブロッコリー、青ピーマンなどがお勧めになりますが、尿結石が懸念される場合はパセリは避けた方がよいでしょう。また、ビタミンCを破壊するアスコルビナーゼが一部の野菜に含まれていることが問題視されていましたが、現在は影響がないとされています。

野菜 ビタミンC
(mg/100g可食部)
カロチン当量
(μg/100g可食部)
カルシウム
(mg/100g可食部)
果物 ビタミンC
(mg/100g可食部)
カロチン当量
(μg/100g可食部)
カルシウム
(mg/100g可食部)
パセリ 120 7400 240 レモン 100 26 67
ブロッコリー 120 810 38 キウイフルーツ 69 66 33
青ピーマン 76 400 12 イチゴ 62 18 17
大根の葉 49 2300 170 パパイヤ 50 480 20
明日葉 41 5300 540 オレンジ 40 120 21
キャベツ 41 50 43 グレープフルーツ 36 0 15
ホウレンソウ 35 4200 49 パイナップル 35 38 11
チンゲンサイ 24 2000 100 ミカン 32 1000 21
春菊 19 4500 1200 バナナ 16 56 6
白菜 19 99 430 サクランボ 10 98 13
トマト 15 540 7 ブルーベリー 9 55 8
サラダ菜 14 2200 56 8 5 4
キュウリ 14 330 26 リンゴ 6 27 4
ミツバ 8 730 25        

モルモットのビタミンC欠乏症の解説はコチラ!

抗酸化作用のある野菜は?

体内に発生した有害な活性酸素を消去し、体の老化をくいとめる働きをします。呼吸をして酸素を体に取り入れて、呼吸やエネルギーを作り出しますが、酸素の約2%は活性酸素になります。活性酸素は体内に侵入した病原菌と戦う防衛機能の働きをしますが、酸化還元バランスが崩れると体を酸化させます。
・トマト
・ニンジン
・ブロッコリー

免疫力を上げる野菜は?

淡い色の野菜やβグルカンを含むきのこ類に多いです。また、腸の働きが良くなると免疫力が上がります。淡色野菜が多いのが意外ですね。
・レタス
・キュウリ
・ハクサイ

解毒効果がある野菜は?

有害物質が体内に蓄積すると、アレルギー、ホルモン異常、肝不全腎不全腫瘍などの病気になります。解毒とは、これらの有害物質を体外へ排出する働きのことで、デトックスのことです。この解毒の働きを司るのが肝臓で、肝臓の働きを強くする野菜が解毒系野菜になります。また、腸の働きが良くなると、解毒も高まります。免疫力を上げる野菜と同様に淡色野菜が多いです。
・ダイコン
・キャベツ
・レタス

野菜だけどカロリーがあるものは?

野菜を与えたいけど、少しでもカロリーを多く与えたい、あるいはダイエットで少しでもカロリーが少ない野菜を与えたい時に参考にして下さい。

野菜 kcal/100g可食部
カボチャ 91
パセリ 43
ニンジン 39
モロヘイヤ 38
サヤエンドウ 36
カリフラワー 27
キャベツ 23
青ピーマン 22
サニーレタス 16
セロリ 15
白菜 14
コマツナ 14
キュウリ 14
ミツバ 13
レタス 12
チンゲンサイ 9

与えてはいけない野菜は?

中毒成分が含まれたり、栄養素的な問題から、与えてはいけない野菜は以下のようです。
・イモ類
・ジャガイモの芽と皮
・ネギ類
・玉ネギ
・ニラ
・ニンニク
・生の豆
など

ネギ類や玉ネギなどがダメな理由

長ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラなどのネギの仲間は、血を壊すアリルプロピルジスルファイドが含まれて貧血を起します。犬や猫、牛の感受性が高く、サルは用量依存性、鳥はまれです。

キャベツは与えちゃいけない野菜って本当?

キャベツは与えすぎると甲状腺腫(甲状腺が腫れる病気)を起こすと多くの書物に書かれています。甲状腺ホルモンはヨードが原料となりますが、キャベツには、ゴイトロゲンという成分が多く含まれていて、甲状腺へのヨードの取り込みを阻害します。そのため、甲状腺ホルモンの原料が不足し、結果として甲状腺ホルモンそのものが不足し(甲状腺機能低下症)、不足したホルモンを増やすために、甲状腺を刺激するホルモンを分泌し、甲状腺自体が腫れるといわれています。ゴイトロゲンが甲状腺腫を起こした文献は僅かにありますが、多発するものではありません。キャベツにはよい成分がたくさん含まれています。それほど過敏にならなくてもよいと思います。

表:ゴイトロゲンが多いアブラナ科の野菜

芽キャベツ
キャベツ
カリフラワー
ブロッコリー
ケール
カラシナ
カブ
白菜

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野菜のシュウ酸はどうなの?

ホウレンソウに含まれているシュウ酸は、カルシウムと結合してカルシウム酸塩という形になり、カルシウムの吸収を阻害するといわれています。しかし、大量のホウレンソウを食べない限り、体に影響することはありません。よく質問されるのですが、『ウサギの尿結石の予防になるのではないか?』。そこまでの効果は残念ながらありません。

表:シュウ酸が多い野菜は

種類 シュウ酸(mg/100g可食部)
ホウレンソウ 800
キャベツ、レタス、ブロッコリー、カリフラワー花蕾 300
豆苗 220
モロヘイヤ 160
チンゲンサイ 95
コマツナ 50

 

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