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メガバクテリアって何?カビ?

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セキセイインコメガバクテリア

メガバクテリアはカビ?

●メガバクテリア(Megabacteria)とは、メガ(Mega):大きい+バクテリア(Bacteria):細菌という意味で、一昔前は巨大な細菌として考えられていました。しかし、後に真菌(カビ)であることが分かり、酵母の一種として分類されるようになりました。
●学名はMacrorhabdus ornithogaster(マクロラブダス・オルニトガスター)であるため、マクロラブダスとも呼ばれます。鳥の胃の中に感染することから、AGY(Avian:鳥、Gastric:胃、Yeast:酵母)とも呼ばれています〔Tomaszewski et al.2003〕。
●一般的に鳥は胃が2つあり、メガバクテリアは腺胃(前の胃)と筋胃(筋の胃)の狭い中間帯にのみ感染し、増殖します。まっすぐな棒状の形をしており、長さ20〜80μm、幅2〜3μm、端は丸くなっています〔Phalen 2014〕。
メガバクテリア
●メガバクテリアに感染して症状が発現すると、嘔吐、食欲不振、便の異常などが見られ痩せてきます。

どこでうつるの?

●同居の鳥の糞との接触、あるいは親鳥がヒナに給餌する際に吐き戻したエサの中のメガバクテリアによって感染ます。

どの鳥で問題になるの?

●感染は、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、オウム目、スズメ目ならびにフィンチを含む広範囲の鳥種で報告されています〔Phalen 2014〕。
●最も問題となるのはセキセイインコで、メガバクテリアに感染すると、多くは発症して死亡することも多いです。

●ルリハインコ属、カナリア、キンカチョウもセキセイ同様の感受性を持っていると思われます。ブンチョウ、ボタンインコ類にも検出されることがありますが、重篤な障害になることは稀です。 またオカメインコの幼鳥に検出される場合、免疫低下や腸内細菌叢の不均衡が疑われますが、難治例は少数です。

うつるとどうなる?

●メガバクテリアは症状や進行の仕方から色々な病状が見らえます。メガバクテリア自体は病原性が弱く、胃に対しては弱い炎症を起こすだけです。症状が発現するには栄養のアンバランス、繁殖や換羽などの体の変化、他の感染症や内臓の病気、輸送や温度変化などのストレスなど鳥の体調(感受性及び免疫状態)が大きく影響します。他に病気があるとその症状を強くします。
●鳥の胃は2つに分かれており、胃酸を分泌する腺胃(前胃)とエサを磨り潰す筋胃(後胃)です。メガバクテリアは腺胃と筋胃の移行部である中間帯に潜んでいます。健康あるいは体力がある鳥では、顕著な症状が現れません(不顕性感染)〔Rossi 2000〕。

まったく無症状

●1歳未満の幼若鳥に不顕性感染が多いです〔平野ら 2019〕。他の病気が少ない年齢で、まだ体力もあるからでしょう。
●無症状でも少し痩せている鳥が多いです。そして、糞にメガバクテリアを持続的あるいは断続的に排出していることも多いので、健康診断においてメガバクテリアが陽性と診断されることも珍しくはありません〔Lanzarot et al.2014〕。糞にメガバクテリアを排出している状態だと、同居や接触した他の鳥へ感染する恐れがあります。
●感染した鳥はどのタイミングで免疫が低下して発病するかは予測ができません。繁殖は体調の変化をもたらし、メガバクテリアが増殖します。オスの求愛によるメスへのエサの口移し、母鳥のヒナへの口移しのエサやりが感染を蔓延させます。
セキセイインコ

症状が発現すると・・・

●メガバクテリアが増殖すると胃炎や胃潰瘍を起こします。嘔吐が見られ、胃潰瘍により便が黒色になります。
●腺胃において胃酸を減少させ、消化不良をもたらします。胃酸が出ないので胃内のpHが上がり、他の病気ならびに感染症を併発しやすくなります〔Rossi 2000, Phalen 2006〕。また、前胃が拡張してエサが停滞することもあります。
●筋胃はエサを磨り潰す作用があります。メガバクテリアの感染で胃の内膜に障害が起こると、エサ磨り潰すことができなくなります。このため、粒がそのまま便に出てくるようになります(完穀便)〔Rossi 2000, Gerlach 2001〕。
●症状は嘔吐、食欲低下、便の異常、体重減少等などです。栄養状態が悪くなり、体温の維持ができずにず、目をつむって羽を膨らませます。活動性も低下して、元気が無くなります。これらの症状は、全ての鳥で必ず見られるわけではなく、一つだけのこともあるし、毎回症状が変わることもあります。

メガバクテリアにかかった鳥の症状

  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 糞の異常
  • 体重減少
  • 元気がない

嘔吐・食欲不振

●胃炎や胃潰瘍が起こり、嘔吐します。吐きちらした吐物により顔汚れます。まれに、吐血を起こすこともあります。
セキセイインコ嘔吐
●食欲は低下して、エサとなる種子は殻を剥くだけで、飲み込まないこともあります。

便の異常

●病態により未消化便、軟便・下痢、黒色便などが見られます。

未消化便

●エサの種子粒が磨り潰されずに半摩りのまま便に排出されます。完全に粒が消化されずに排出される場合、完穀便(かんこくべん)とも言われます。

軟便・下痢

●糞塊が形を保っていない軟便になることが多く、肛門周囲や尾羽に糞が付着します。水様性の下痢になることもあります。

黒色便

●胃潰瘍から出た血液は、時間の経過とともに黒色になります。それが糞の色を黒くするので黒色便になります。
インコ黒色便

体重減少

●メガバクテリアの詳細が明らかになっていない昔は、Going light(どんどん痩せていく)、Thin bird disease(やせ細る鳥の病気)と呼ばれていました〔Baker 1985〕。嘔吐や軟便・下痢を起こすので、当然痩せてきます。特に胸筋が細くなり、胸を触ると尖った状態になっています(キール・スコア)。
インコ痩せている

元気がない

●元気が無く、目をつむって体の羽を膨らませて、寝てばかりになります。

症状の現れる速さにも違いが・・・

●メガバクテリアによる症状は、急性型、亜急性型、慢性型に分類されることもあります。

急性型

●急性型はセキセイインコのみに報告されています。突如ぐったりして 羽を膨らませ、1~2日以内に死亡します〔Phalen et al.2002〕。
●急死の原因は 腺胃からの過度の吐血による失血死、重度の胃潰瘍による胃穿孔(いせんこう:胃に穴が開く)が考えられす〔Gerlach 2001〕。

亜急性型

●1才未満の幼若鳥に多く見られます。嘔吐、食欲不振、便の異常、元気がない等の症状が単独であるいは複数併発して見られます。

慢性型

●多くは1歳以上の成鳥に見られ、いわゆる Going lightと呼ばれる、どんどん痩せて行く状態になっています。来院する時点で症状が出てからすでに数ヵ月経過していることもあります〔Baker 1985〕。
●食欲はありますが、胃の障害により栄養を吸収できないために痩せています。慢性型になると、治療によりメガバクテリアがいなくなっても胃の障害が元に戻らず、薬に対する反応も悪くなり、予後不良です〔Gerlach 2001,Baker 1985〕。

検査は?

●顕微鏡による糞便検査にて、メガバクテリアの検出を行います。糞便への排泄量と症状の強さには、必ずしも比例しません。
鳥糞便検査  
●間欠的に糞便中に排出されることもありますので、メガバクテリアに感染している鳥の約15%は糞便中にを排出されないとも言われ、何度も繰り返して検査をすることがあります。最も確実性の高い検査は腺胃の拭い液の採取、およびバイオプシー(細胞を採取する方法)ですが、鳥に負担が大きく現実的な方法ではありません。
セキセイインコメガバクテリア セキセイインコメガバクテリア

薬は?治るの?

●メガバクテリアは早期発見・早期治療が重要です。抗真菌剤を内服投与しますが、発見が遅れ、胃の障害が大きいと メガバクテリアが糞便中から消失しても症状が治らないです。メガバクテリアは胃の粘膜に侵入するため、排泄量が少なくても、必ず処置をしたほうが良いでしょう。
●メガバクテリアの排除と平行して、胃炎や胃潰瘍、吐き止めの薬、整腸薬の投与が必要なこともあります。もちろん胃に刺激のないようなエサを選んだり、栄養剤の投与も必要です。

鳥の乳酸菌はコレ!

 

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●糞便中にメガバクテリアが消失しても、胃粘膜内に侵入して残っていることも多いため、長期間の投与が必要になります。
●問題となるのは、各種の抗真菌剤がまったく効果を来たさない薬剤耐性と考えられるメガバクテリアと、免疫を低下させている他の感染症もあれば治療するべきです。
●消化が悪くなっている慢性型に至った鳥では消化の良いペレットをエサとするのが理想ですが、シード派の鳥では以下のようなエサがお勧めです。

メガバクテリア陽性鳥のエサ?

 

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栄養剤まで入っている・・・

予防

メガバクテリアは親鳥からの感染が最も多いため、予防はとても難しいです。同居鳥にキャリアーの鳥がいる場合は、隔離して接触を防いで下さい。ケージや巣箱などは、糞をしっかりと取り除いて、抗真菌作用のある洗剤で消毒や洗浄をしましょう。

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これがポイント!
・メガバクテリアとは真菌で、AGYあるいはマクロラブダスとも呼ばれている
・鳥の胃の中に感染し、免疫が低下すると発症し、嘔吐、食欲不振、便の異常が見られ、痩せる
・鳥の種類によって病状が異なり、特にセキセイインコには発病しやすく、深刻な問題なりやすい
・日本ではかなり蔓延している

参考文献
■Baker JR.Clinical and pathological aspects of ‘‘going light’’ in exhibition budgerigars(Melopsittacus undulatus).Vet Rec116.406–408.1985
■Gerlach H.Megabacteriosis,Semin Avian Exot Pet10.12-19.2001
■Lanzarot P,Blanco JL,Alvarez-Perez S,Abad C,Cutuli MT,Garcia ME.Prolonged fecal shedding of‘megabacteria’(Macrorhabdus ornithogaster) by clinically healthy canaries(Serinus canaria).Med Mycol 51.888–891.2014
■Phalen DN,Tomaszewski E,Davis A.Investigation into the detection,treatment, and pathogenicty of avian gastric yeast.In Proceedings of the 23rd Annual Conference of the Association of Avian Veterinarians.Monterey (CA).Association of Avian Veterinarians.p49–51.2002
■Phalen DN.Update on the diagnosis and management of Macrorhabdus ornithogaster(formerly megabacteria) in avian patients.Vet Clin North Am Exot Anim Pract17:203–210.2014
■Rossi G.Histological and immunohistochemical findings in proventricular mucosa of hickensexperimentallyinfectedwith‘‘megabacterium.’’In:Proceedingofthe 18th Meeting of the European Society of Veterinary pathology.Grugliasco.Italy.p156.2000
■Tomaszewski EK,Logan KS,Snowden KF,Kurtzrnan CR,Phalen DN.Phylogenetic analysis identifies the‘megabacterium’of birds as a novel anamorphic ascomycetous yeast, Macrorhabdus ornithogaster gen.nov,sp nov.Int J Syst Evol Microbiol53.1201–1205.2003
■平野郷子、眞田靖幸.一動物病院におけるセキセイインコのマクロラブダス症の臨床疫学調査.日獣会誌72,157‐161.2019

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