熱い?寒い?小鳥サインは?専門獣医師が解説する鳥の体温調整!
高体温
一般的な鳥の体温は40~42℃で、哺乳類よりも高いです。その理由は、代謝を促進させて、空を飛ぶという激しい運動に伴う大きなエネルギーを得るためです。鳥類は哺乳類と同じように体内で自ら熱を生産し、体温調節をする恒温動物で、筋運動による熱産生を行い、外に熱が逃げないように、羽毛で覆われています。
寒いと・・・病気になると・・・
鳥類の体温は外気温の影響を受けやすいです。給餌量の不足や疾病時において低体温になりやすくなるため、羽を膨らませ〔膨羽〕、つまり筋運動による生成した熱で羽毛の間の空気を温め、保温効果を高めています。室温が低温でないのに膨羽している時は、体調不良あるいは疾病の可能性が高いので注意して下さい。
体温が低下することで必然的に代謝も低下し、食欲低下や下痢を起こし、あまり動かずに閉瞼している症状が見られる。片脚を体に隠している姿勢は、体温が放熱する脚を体に付けて体温を保とうとしているからです。
熱中症もある
高温環境下においては、2~3Cの体温上昇が起こると数時間で死に至るとされています〔熱中症〕。鳥は汗腺を欠くため、汗腺による体表からの蒸発はできず、開翼および開口呼吸をします〔西堀ら1989〕。翼の内側は羽毛が薄く、翼を広げると籠った熱が放散しやすくなります。もちろん飲水量を増やして体温上昇を防ごうともします。開口呼吸あるいはパンティング(あえぎ呼吸)は、気嚢での空気からの熱放散を促進します。高い気温や飛行によって体温が上昇した鳥は、羽毛で覆われていない脚の血流を増やして、外気で冷やして体温を下げます。飛行中に両脚を大気に晒すだけでも、体温を下げられます。なお、鶏では肉冠や肉垂からの熱放熱もできます。
参考文献
◾西堀正英ら.23Cおよび35C恒温環境下における産卵鶏の熱産生量,心拍数,呼吸数および体温の日内変動について.日畜会報60:529-533.1989