小鳥が膨らんでる・・・専門獣医師が解説する鳥の保温のコツとお薦めヒーター
目次
膨らんでいるのは体調が悪い?寒い!
鳥の体温は哺乳類と比べて高く、鳥は頻回に餌を食べるのは、その高い体温を維持するためにエネルギー補給をしているのです。体温が低くなり具合が悪くなると、羽を膨らませ膨羽(ぼうう)、目をつぶっており、活発に動くこともしなくなり、じっとしています。
病気で膨らんでいる時はやばい!
体温が低くなると代謝た低下し、胃腸の動きがおよび消化能力が落ちて軟便・下痢が起こり、種子などがそのままの形で排泄されることもあります。栄養が取れずにより体重低下も見られ、衰弱してきます。キールスコアが2~3になっているはずです。鳥は自分が弱っている姿を最後まで隠そうとします。病気のために膨羽が見られ、キールスコアも1~2になっていると、すでに症状が進行して、すぐに落鳥することも珍しくはありません。
保温の方法は?
保温をする方法は、部屋の気温ではなく、鳥が入っているケージの中の温度を上げないと意味がありません。「何℃が良いのか?」とよく聞かれますが、実は決まった温度はありません。ケージの理想的な気温は20~25℃ですので、ますは上限に+3℃くらい上げて28℃にしてみて下さい。それでも改善しない場合は、様子を見ながら膨らみがとれるまで、少しずつ温度を上げていきます。ただ寒かっただけならば28℃位になると多くは膨らみが取れるはずです。しかし、呼吸が大きくなっていたり、早くなっていた時は、暑すぎるのか、肺炎や気嚢炎などの呼吸器感染症かもしれませんので注意して観察して下さい。最高32~33℃まで温めてみて、それでも膨羽が治らない時には、動物病院で診察を早急に受けて下さい。
まずは温度計がないと始まらない!
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爬虫類用ですが、鳥にもばっちし使えます!
保温器具の選び方
保温器具の選び方は、ケージの形や大きさ、部屋の状況、鳥の大きさによっても、異なります。急ぐ時は室温を上げるために、エアコンやファンヒーターを使い、ケージの中の温度は温度計で確認しましょう。
3つのタイプがあります
鳥用ヒーターは大きく分けると、パネルタイプ、電球タイプ、止まり木タイプの3つです。それぞれ特徴が異なるので、使いやすいものを選びましょう。
パネルタイプ(パネルヒーター)
ケージの下や側面に設置して使うパネルタイプのヒーターは板状で、鳥自身とヒーターとの距離で温かさを調節できます。鳥が寒いと思ったらヒーターに近づき、暑いと感じたら自らヒーターから遠ざかります。薄くてコンパクトな商品であれば、体調不良やヒナ・幼鳥の場合はケースの下に敷くなど色々な使い方もできます。
ジェックス ホッと2WAYヒーターL
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ケージの外にも下に敷いても使える!ボードタイプのパネルヒーターですが、ケージの外に釣り下げても使用できます。表と裏で温度が異なるリバーシブルタイプで、生活防水も付いています。
サンコー 外付け式バードヒーター
エアコンもつけてるならコレ!コンパクトなケージ外掛けのボードヒーターです。設定温度をスイッチ一つでHighとLowの2段階に切り替えて、周囲の温度は10~40℃に調節できます。コンパクトで大きなボードでないため、鳥が驚くこともなく、縦でも横でも自在に設置できます。熱効率がよくコストパフォーマンスも優れているのがうれしいですね。コードには金属コイルが付いており、安心して使用できます。
ビバリア マルチパネルヒーター 16W
PTCパネルヒーターの優れもの!隠れ第1位!約25〜45度の範囲で任意の温度に調整できます。この薄さのために、ケージの脇や側面に自由に設置できます。爬虫類や小動物用に作られたものですが、鳥のためにも使うことができます。省エネと温度制御の安全性はもちろん、生活防水仕様もあり、鳥にやさしい遠赤外線を放射しており、意外と使いやすいんです。
Miriyon 遠赤外線デスクヒーター 省エネパネルヒーター
人用ヒーターですがコレいけてる!オフィスや勉強部屋で足元を暖める遠赤外線ヒーターです。温度切り替えはもちろん、3時間自動タイマーも付いてるのでとても便利です。鳥のケージの外側に立てて使いますが、ヒーター面は広いので、広範囲に暖まります。今一つであれば、自分用に使って下さい。
みずよし貿易 遠赤外線マイカヒーターII&ステンレスホルダーセット
お金があればこの赤外線ヒーター買って!スタンドタイプのパネルタイプの遠赤外線ヒーターで、ケージの外側に設置して使います。火傷やコードかじりの心配もなく安全に使え、温度切り替え、そしてサーモスタット機能で温度管理が可能です。専用ステンレスホルダーを使えば、スタンドを外してケージの外側に設置できるんです。鳥の一生使えることを考えると、この金額は高くないです。
ミニマルランド ほっととり暖寄りそいヒーター
止まり木パネルヒーター?すごい発想ですね。ケージ中にパネルヒーターを縦付け横付けも自由に設置ができて、そのパネルに止まり木が付いています。小さくて設置しやすいのですが、ヒーターの温度は鳥の体温の約40℃で、温度調整はできないので、すこしだけ温める時に使って下さい。水拭きOKのABS樹脂なので、汚れても安全です。コードには保護コイルも付いています。止まり木を外してパネルだけでも使えるので汎用性が高い商品です。サイズ的にオカメインコよりも小さいセキセイインコくらいの小型の鳥に向いています。
電球タイプ(保温電球)
ひよこ電球と言われる昔ながらの電球で、熱を放射して空気を温めます。パネルヒーターと比べて速攻で暖まり、保温力もあります。同じケージで複数のインコを飼育している場合にもお勧めです。狭いケージに保温電球を使うと暑くなり、鳥の逃げ場がないので熱中症になります。ケージの端に保温電球を設置して、ケージ内で暖かい場所と少し温度が低い場所を設けることがポイントになります。
カバーがついている商品だと電球に直接触れることはなく、安全に使えます。しかし、長時間使用するとカバーの上部や側面にも熱くなり、使い方によっては火傷や火事の危険性があります。ケージの中に設置すると、臆病な鳥は怖がってしまうこともあるので、熱中症予防と同時にケージの外に取り付けて下さい。
使用している間は、ケージの中が明るいということがあります。電球は20wから種類があって取り換え用の電球も購入可能です。
マルカン ヒートセラミック 100W
夜でも使える丈夫な陶製保温電球!光を出さないセラミック製保温球タイプです。光が出ないため暗くしたい夜にも使用でき、インコの生体リズムに配慮された商品です。電球は陶器製なので通常の電球よりも割れにくく、熱伝導にも優れています。電球はスチール製のカバーで保護されていますが、セラミックは自然な暖かさで体の芯から暖まります。コードには保護コイルが巻いてあります。写真の100Wの商品は保温球は大きいので、オカメインコや大きなケージで飼っている方にお薦めです。他にも、20Wと40Wも販売されているため鳥や温度に合わせて選べますよ。
朝日電機工業 アサヒペットヒーター 60W+電子サーモスタット
他のヒーターで満足していない方ならコレ!保温電球ですが、硬質ガラスの電球にスチール製のカバーが付いており、コードは金属製のリングで保護されています。他のヒータ―と比べて、パラーはもちろん、構造もしっかりとしています。もちろん保温電球なので、瞬時にインコを暖めてくれ、しっかりと保温保証は任せて下さい。サーモスタットも使うことで、熱すぎて鳥が弱らないようにしましょう。
止まり木タイプ
止まり木に内蔵ヒーターが収納されており、鳥が止まり木にとまると足からじわじわ温まります。
マルカン ほっととり暖 止まり木ヒーター
足元あったか~!なんと止まり木がヒーターなんです。ケージ全体を保温するというよりは、少しだけ温めるというような時に使います。ケージのヒーターが物足りない時など、止まり木ヒーターを併用するとよいでしょう。
安全な商品を選ぼう!
感電や火災、温めすぎ防止機能がついているものを選んで下さい。ケージの中でヒーターを使う場合はコードの一部が入るため、鳥にかじじられて、感電や火災の原因になります。多くの商品はコードにカバーが付けられています。
保温電球だと熱くなるので火傷を負う可能性があります。カバーを付けることは必須ですが、カバーも熱くなることがあります。カバー付きの保温電球はケージの中に設置している方が多いですが、本来はケージの外から使うべきです。
パワーがあるもの?ちょこっと保温?
部屋の気温に合わせてヒーターを選ぶことも考えて下さい。エアコンなどを使用している部屋では、熱量が弱いパネルヒーターや止まり木タイプのヒーターを補助的に使うだけでも十分です。部屋全体が寒いときには、保温電球でケージ全体を温めて下さい。
昼と夜の温度差が激しいときには、温度計でどれ位の温度差があるのかを確認して下さい。ヒーターを2つ使ったり、サーモスタットを付けたりしましょう。
タイプ | パネルヒーター | 保温電球 | 止まり木タイプ |
メリット | 局所的に保温できる/温度調整機能が付いている物が多い | パワーがありケージ全体を保温できる/すぐに暖まる | ヒーターを鳥が怖がらない |
デメリット | パワーが弱い/ヒーターを鳥を怖がることがある | 熱くなりすぎることがある/電球を鳥が怖がることがある | 足をじんわり保温できる |
温度調整機能やPTCヒーターとは?
ヒーターで温度の調整ができると便利です。この機能はパネルヒーターに多く搭載されています。温度感知センサーで温度管理をするサーモスタット機能が搭載されている商品は少ないので、ヒーターとは別途に購入して一緒に使って下さい。ケージの中が熱くなりすぎるのではないか?外出していても心配になってしまします。熱量が強い保温電球の場合は、できればサーモスタットを一緒に使いましょう。
PTCヒーターは、温度に応じて熱量をコントロールする自己温度制御機能を持っています。寒いと熱量を大きくして暖め、設定の温度に達すると上がりすぎないよう熱量をコントロールします。ヒーターの消費電力の少なくして省エネ効果があり、素早く暖まり、安全性に優れています。
最新の遠赤外線タイプとは?
遠赤外線で保温すると、ケージの中をじんわりと暖めるので、鳥にとっては快適です。遠赤外線タイプはケージから離れた場所に設置して暖めるため、コードをかじられません。
ヒーターを使う前にこんな方法もある!
ヒーターを使うだけでなく、他にも温度を上げることができます。また、ヒーターだけでは温度が上がらない時は以下の方法も取り入れて下さい。
- ケージの設置場所を変える
- ケージを布、ビニール、アクリルで囲う
- .部屋の室温をあげる
ケージの設置場所を変える
部屋の中でも床や窓の近くはケージを置かないことです。冷たい空気が下に流れるので床から1m位の高さに置きます。窓に近いと隙間風が入って寒くなります。
ケージを布.ビニール.アクリルで囲む
ケージを布、ビニールで覆ったり、アクリル板で囲むと温度が多少上がります。布や毛布などで囲うと鳥が見えなくなるので、ケージの一部を覆って下さい。布や毛布、ビニールは鳥がつついて飲み込んでしまうことが懸念されます。透明のアクリル板でケージを囲う商品も販売されています。
部屋の室温を上げる
室温を上げるにはエアコンや人用のヒーターを使いますが、暑くなりすぎることもあるので注意して下さい。また乾燥しすぎないように、加湿することが必要かもしれません。部屋に放鳥している時は、ストーブやヒーターでヤケドをしないように注意しましょう。エアコンを使用している時に、パネルヒーターや止まり木型ヒーターを補助的に使うだけでも十分に温めることができます。
・温度設定は20~25℃、膨らみがおさまらない時は少しづつあげてみる
・まずは部屋をエアコンで暖める
・次にヒーターを使う
まとめ
鳥のヒーターは、一つ持っておかなければいけない商品です。もしもの緊急の時に使用できるようにして下さい。