フトアゴヒゲトカゲってどんなトカゲ?専門獣医師が解説する知らないといけない生態と特徴〔Ver.3〕
ペット向きトカゲNo.1
フトアゴヒゲトカゲは恐竜のような外観をしており、アゴヒゲがあり、学名のPognaはギリシャ語でヒゲという意味です。外貌とは反対に、ひょうきんともいえる行動をとり、温和な性格をしています。大きさも手頃で、手で抱きあげられることも嫌がらず、ペット向きのトカゲといえます。
分類・生態
分類
有鱗目アガマ科アゴヒゲトカゲ属
学名:Pogona vitticeps
英名:Bearded dragon,Central bearded dragon
分布
オーストラリア東部から南東部
生態
環境:乾燥気味の森林、低木地、砂漠地帯
行動
・昼行性で、夜は岩や草木の間などで寝て昼に活動し、木の枝や岩の上で日光浴して体を温めることを好みます。
・緩い群れを作りますが、単独行動のような生活をしています。日光浴や採食する場所に複数の個体が集まり、オス同士は縄張り争いを行うこともあります。
・生息地の最も寒い5~9月に、倒れた丸太や木の切り株の間で冬眠をします〔Well 1971〕。
食性:雑食性で主食は昆虫ですが、植物の葉なども食べています。
寿命:6~10年
身体
全長:45~56cm
体重:280~510g
性格・習性
マイペース
性格は温和で、何をされても動じない面もあります。仕草や表情、行動が可愛いです。近寄っても逃げたり隠れたりもせず、攻撃的にかみつくようなこともないです。触っても多くは動じず、人に馴れてくると手の上に乗せて、ピンセットや手らエサを食べてくれるようになったり、抱っこやリードを付けて散歩にもいけるほどです。人に馴れると言われていますが、馴れると言うよりは人に動じないと言うのが正しいです。
顔の表情は変えず、目線が合うように首をとかしげながら見上げるような仕草をします。
餌への執着心
餌となる生き餌のコオロギを見つけると、素早く追いかけ短い舌を伸ばして餌をくっつけて、次々に口へ運ぶ動作も可愛いです。
ボビング・アームウェービング
ボビング(Bobbing)とアームウェービング(Arm-waving)という特有の行動をします。頭を縦に振るボビングは、特に発情したオスの求愛行動として考えられています。アームウェービングは幼体で見られることが多く、片腕をあげて宙に円を描くように、ゆっくりと後ろから前に大きく回します。続けて反対の腕を回すこともあり、これを数回繰り返します。この行動は相手の優位性を認める時に見られるともいわれ、小型の個体が大型の個体に対して、またオスよりもメスがします〔Zoffer 1997〕。メスのオスに対する発情行動ともいわれていますが、必ずしもするとはかぎりません。アームウェービングとボビングが必ずしも発情行動とは限りません。幼体でも威嚇などですることもあります。
特徴
平らな体
体は太くて扁平で幅広いです。
三角頭
頭部は大きく三角形をしています。
太い尾
尾は太く、頭胴長よりも長いです。
トゲトゲ
体表に多数の棘を持ち、下顎には名前の通りアゴヒゲ状の鱗房(りんぼう)、後頭部や体の脇に棘状の鱗が並んでいます。
ストレスマーク
興奮したりストレスがかかった時、またはオスは発情すると喉下が黒色に変化します。これをストレスマークと呼ばれて、オスに顕著に起こり、メスはわずかに灰色になるだけです。
黒い爪
指の数は四肢ともに5本です。基本的には爪は黒色をしています。
第三の目
頭頂部の真ん中に小さい第3の目があります(小さ過ぎて確認できない個体もいます)。小型で透明な嚢状構造の円形の構造物が存在し、頭頂眼(とうちょうがん)(Pariental eye)と呼ばれています。頭頂眼を収容している孔を頭頂孔(とうちょうこう)と呼びます。実際は物を見ることはできないですが、第3の目とも呼ばれる光を感受する場所で、明暗を感じたり、方向を感覚的にとらえています。頭頂眼と脳の一部が神経でつながっており、頭頂眼が光を感知して性ホルモンの産生を行う役目もあります。その他にも体温調節、ビタミンD産生を担っているという報告もあります〔疋田 2002〕。
脱皮
フトアゴヒゲトカゲは、脱皮の前に体が白くなり、各部位が所々にポロポロと脱皮します(部位脱皮)。
・オーストラリアの乾燥地帯に生息
・昼行性
・雑食性で主食は昆虫、成長とともに植物を食べる
・ボビングとアームウェービングという特有の行動
・三角形の頭で、体は扁平
・体表に多数の棘
フトアゴをもっと勉強したいならこの本!
教科書と言うほどなので、内容も生態から飼育までしっかりと書かれています!
完璧な飼育目指すなら!
楽天で購入!
飼育極めるならぜひ読破!
参考文献
■Grenard S.An Owner’s Guide to a Happy Healthy Pet:The Bearded Dragon.Howell Book House.New York.1999
■Johnson JD,Bearded Dragons.Exotic DVM8(5).Zoological Education Network.p38-44.2006
■McKeown S.General husbandry and management. In Reptile medicine and surgery. Mader DR ed.WB Saunders. Philadelphia.p9-19.1996
■Quinn AE,Georges A,Sarre SD,Guario F,Ezar T,Graves JA.Temperature sex reversal implies sex gene dosage in a reptile.Science316.411.2007
■Tosney K.”Caring for an Australian Bearded Dragon” (On-line). Accessed November 16.1999 http://www.ualberta.ca/~rswan/ERAAS/bd.htm.1996
■Wells RW. Hibernation – bearded dragons. Herpetofauna3.4–6.1971
■Zoffer D,MazorligT.The Guide to Owning a Bearded Dragon.T.F.H.Publications.Neptune City.NJ.1997