ツノガエルってどんな動物?|知らないといけない生態と特徴
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パックマンフロッグ?
ツノガエルには8種類属していまし。体の半分が頭と口のような体型、そして旺盛な食欲で獲物を丸呑みする様から、ツノガエル類はパックマンフロッグ(Pacman frog)と呼ばれています。
名前のツノとは、目の上の突起(ツノ)に由来し、Horned frog(ツノの生えたカエル)とも呼ばれています。8種類のツノガエルの中でペットとして流通するのはベルツノガエル、クランウェルツノガエル、アマゾンツノガエルになります。
表:ツノガエルの分類
無尾目 | ツノガエル科 | ツノガエル属Ceratophrys | ベルツノガエルC.cornuta | Argentine horned frog Bell’s horned frog Ornate horn frog |
クランウェルツノガエルC.cornuta | Cranwell’s horned frog Chaco horned Frog |
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アマゾンツノガエルC.cornuta | Surinam horned frog | |||
ブラジルツノガエル C.aurita | Brazilian horned frog | |||
コロンビアツノガエル C.calcarata | Venezuelan horned frog | |||
カーティンガツノガエル C.joazeirensis | Caatinga horned frog | |||
ホオコケツノガエル C.stolzmanni | Pacific horned frog | |||
カメガタツノガエル C.testudo | Ecuadorian horned frog |
流通するカエルの多くはCB(繁殖)個体で、緑色、赤色、黒褐色の幾何学な多様な斑紋が特徴です。ペットではベルツノガエルやクランウェルツノガエルなどの交雑化が進み、典型的な純血種は数少ないです。様々なカラーバリエーションが作られているため、種類ならびに品種はとても豊富です。CB(繁殖)個体は飼育しやすく、安定して供給されるため価格も決して高価ではないです。そのため、両生・爬虫類専門ショップでなくても、量販店のペットショップなどで扱われ、入手しやすくなりました。活発的でなく、狭い水槽などで飼育できるため、とても飼いやすいカエルと言えます。
分類・特徴
分類
両生類無尾目ツノガエル科ツノガエル属
学名: Ceratophrys
英名: Horned frog、Pacman frog
分布
アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、ガイアナ、コロンビア、スリナム、パラグアイ、ブラジル、フランス領ギアナ、ベネズエラ、ペルー、ボリビア
生態(ベルツノガエルとクランウェルツノガエル)
・やや乾燥した草原、アマゾンツノガエルはやや湿潤な森林に生息しています。
・夜行性で、夕方以降に活動的になります。
・雨季に主に活動しますが、秋から冬にかけての乾季は巣穴で休眠をし、休眠中は水分喪失を防ぐために、穴を掘って脱皮の皮を何層にして作る保護膜(コクーン:Cocoon)をまといます〔Canziani and Cannata 1979〕。
食性
・動物食で、昆虫、節足動物、カエル、小型爬虫類などを食べています。
・ツノガエル類の補食はルアーフィッシング(Lure fishing:疑似エサ釣り)と呼ばれ、地中に半身だけ潜って迷彩色に身を包み込んで背景に溶け込み、近くにエサになりそうな獲物が通りかかると突然襲い掛かり、大きな口から舌を出して獲物を捕らえます。
身体
体長:オス10cm、メス12.5cm
寿命
平均6~7年
性格
性格は温和で、人に動じません。
特徴
丸い体
体長と幅がほぼ同じで、丸い体型をし、手足は短いです。
大きな口
大きな口は体の幅一杯に広がっています。
ツノ
目は頭頂部に位置し、その上にツノと呼ばれる小さな突起があります。瞳孔の形状はやや横長をしており、虹彩に黒色の帯模様が入ります。
指
指は前足は4本、後足は5本です。
後足には発達した鋤状の穴堀用の突起があります。これで地面に孔を掘って身を隠してエサを待ち受けます。
種類
ペットのツノガエルは、ベルツノガエルとクランウェルツノガエル、ベルツノガエルとアマゾンツノガエル、クランウェルツノガエルとアマゾンツノガエルの交雑種がが中心となり、純血な個体は少ないです。したがって、種の鑑別が難しく、これらの交雑種を総称してファンシーツノガエル、ファンタジーツノガエル、クロスツノガエルなどと呼ばれています。
ベルツノガエル
ベルツノガエルという名前は、新種として発表したThomas Bell(トーマス・ベル)という人名に由来しています。アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルに分布しています。体長は10~14cmで、基調色は、背中は緑色系で、褐色や暗緑色の不規則な斑紋が入ります
お腹は黄色を帯びています。
目の上のツノは貧弱であまり発達していません。辛うじて突起として認められる程度です。
クランウェルツノガエル
10~12cmとベルツガエルよりもやや小さいです。アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、ボリビアに分布しています。背中の基調色は赤茶褐色で、濃褐色の不規則な斑紋が入ります。
お腹は白色で、わずかに斑紋が入ります。
目の上のツノは、ベルツノと比べてわずかに発達しています。
表:ベルツノガエルとクランウェルツノガエルの違い
種類 | ベルツノガエル | クランウェルツノガエル |
ツノ | 小さい | ベルツノよりもやや大きい |
口先 | 鼻から口にかけて突出しておらず、絶壁になっている
|
鼻から口にかけて、ベルツノと比べて軽く突出している
|
体色と模様 | 緑色系で濃褐色や暗緑色の斑紋/お腹は黄色を帯びる | 赤茶系の褐色で濃褐色の斑紋/お腹は白色で斑紋が入る |
アマゾンツノガエル
アマゾンツノガエルはベルツノガエルやクランウェルツノガエルと比べて流通量は圧倒的に少ないカエルで、神経質なカエルでWC(野生)個体は飼育が難しいとされていましたが、最近になってCB(繁殖)個体が出回り始めました。エクアドル、ガイアナ、コロンビア、スリナム、ブラジル、フランス領ギアナ、ベネズエラ、ペルー、ボリビアに分布しています。目の上のツノは3種中で最も発達しており、喉は黒いです。大型な体をしており、ツノガエルらしい外貌をしています。
口先は尖り、体色は橙色を帯びた明~暗緑色で、頭は枯葉に似た色で保護色となっています。体長は8~15cmになります。
品種
多くの体色や模様のバリエーションが交雑種として作られ、純血として販売されているカエルも本種の特徴が多く発現した個体にすぎないです。ベツノガエルのカラーバリエーションは基本のグリーン系、赤色が多いレッド系、クランウエルツノガエルは基本色の茶褐色、他にもアルビノ、緑色を含む褐色という大別がされています。
グリーン系
ベルツノガエルのグリーン系(ノーマル)とも言われ、緑色と褐色の斑紋で、赤色の発色には個体差があります。
レット系
ベルツノガエルのレッド系で、ノーマルに対して赤色の部分が体の半分くらいを占める個体を指します。緑色がほとんど残らないものをフルレッドと呼ばれ、赤ベルという名称の方が有名かもしれません。
アルビノ
アルビノは黒色色素が消失し、黄色の地色にオレンジ色を帯びた斑紋が入ります。
ライムグリーン
ライムグリーンはアルビノから作成されたもので、黄緑色の地色にオレンジを帯びた斑紋が入り、淡い感じがします。
斑紋が消失しているものをパターンレスと呼ばれます。
アプリコット
アプリコットはアルビノの地色の黄色がオレンジ色に変色し、赤褐色が強くなっています。多少の赤みに個体差があります。
グリーンアップル
明るい黄緑色の地色に、褐色の斑紋が入ります。
ペパーミント
地色が緑色のクランウエルから作成された色で、淡い緑色の地色に、茶褐色の斑紋が入ります。
ホワイト
白色が体色に入るカラーです。
パラドックスアルビノ
突然変異個体で、体は茶褐色で顔の一部が色が抜けており、赤目をしています。パラドックス(Paradox)とは矛盾という意味で、高額に取引きされるカラーです。
雌雄鑑別
オスはメスと比べて小さいです。オスは最大でも7~8cm程度にしかなりません。メスは最大で10cm以上になり、500g以上の重さになることも珍しくありません。
オスの前足の親指には暗色の婚姻瘤(抱きダコ)が発達します。
オスの喉の部分がまた黒色を帯びて、鳴嚢の発達に伴いたるんできます。発情が強くなると「ギャーギャー」と鳴き声をあげます。
アマゾンツノガエルは、オスもメスも喉元は黒色をしています。
繁殖
爬虫類と同じようにクーリング(Cooling)を行うと発情しやすくなります。クーリングは爬虫類において冬眠にあたりますが、ツノガエルは寒さではなく、乾燥することで休眠します。したがって、日本では冬に室内が乾燥してくると休眠する個体がいます。
プロのブリーダーはツノガエルを養殖する際に、多くはホルモン剤を投与して繁殖を人工的にコントールすることもあります。
性成熟
飼育下では生後半年位で成熟します。
繁殖期
原産地では晩春に始まる雨季に見られますが、ペットでは雨季も乾季も関係なく、成熟すると発情が起こります。
発情
オスもメスも発情を示しますが、繁殖させる前に乾燥させて休眠をすると発情しやすくなります。
休眠のさせ方
日本では12~3月位で休眠させます。休眠中は乾燥から身を守る為にツノガエルはコクーンと呼ばれる繭状の形態になり、動かなくなります。脱皮不全にょうに皮が重なり合りあい、ガビガビに乾いた感じになり、動かないで死んでいるように見えます。繁殖させる目的があるならばツノガエルをコクーンにするために、水槽やケースに半分の厚さの土を入れ、そのまま潜らせた後に、乾燥させて放置します。しかし、コクーンにも多少の水分が必要で、皮が乾燥しすぎて剥がれてしまいます。月に1~3回ほど軽く差し水をして、ほんの少しだけ乾いた状態にします。3~4月になったら、コクーンを外気温と同じぐらいの水につけてふやかします。乾燥した皮がほぐれる様な勢いでふやけて剥がれ落ち、動き出します。
発情兆候
野生では乾季から雨季に変わった状態なので、湿度は高めにしたいので、水飼いが理想です。オスはよく鳴くようになり、目の前で動く物になんでも飛び掛かり抱きつきます。水替え直後や消灯すると、「ギャーギャー」と鳴きだします。電気をつけて明るくすると鳴きやむことが多いです。人の手や、胸の下に掌を入れると、すぐに抱きついてきます。
お見合い
交尾の相手選びは相性なので、本格的に繁殖させるならば、雌雄で1頭ずつではなく、1頭のオスに最低でも5~6頭メスを合わせます。オスはとくにかく鳴き声をあげてメスにアピールをさせます。
繁殖させる際には普段の飼育よりも少し大きめのサイズを用意しましょう。オスとメスを一緒に入れてみて1~2日観察し、昼夜ともに暗くしてストレスにならないうようにして下さい。同じ容器にメスを入れると、メスはオスの鳴き声に反応して、相性がよければ寄ってきます。
抱接
発情したオスのカエルがメスの背中の上に乗り、前足でメスの腹を抱きかかえます。これは抱接(ほうせつ)と呼ばれる行動で、オスがメスの腹を細かく振動させてお腹を刺激することで、メスは卵を放出します。オスはその上から精子を放出して受精させます(体外受精)。包接まで行うと、オスの鳴き声もおさまります。
メスは相性が悪いオスが上に乗ってくると抵抗し、風船みたいに膨らんで抱接を阻止したり、蹴り飛ばしたりします。カップルが不正立の場合はオスは鳴き続けています。
産卵
ツノガエルは卵生で、メスは腹を左右によじり、おしりを水面近くまで持ち上げて、10~20個前後を一気に卵を放出し、これを数分おきに繰り返し、合計200~1000個も産卵します〔池田 2002〕。その間、オスは包接しながら卵に精子をかけるのです。卵は数mmとても小さく、卵同士はくっつかずにバラバラに産み落とされます。ケース内に卵があれば、30~50cmの水を足してエアレーションし様子を観察します。卵は約16時間で発生が確認でき、48時間で孵化します。
幼生(オタマジャクシ)
幼生は全長6~7cmで、変態直後は約2cmです〔池田 2002〕。
幼生は攻撃を受けると鳴くことがある(音を発する?)。幼生同士がこの音を聴く仕組みは分かっていませんが、共食いを防ぐ働きもあるともいわれている〔Ceratophrys ornata 2015〕。20~32日で変態します〔池田 2002〕。
性決定
性染色体に応じた性決定が行われます。
・地面に潜って近くにきた獲物を丸のみする
・頭が大きく、口も大きい
・目の上にツノがある
・ペットとして有名なのはベルツノガエル、クランウェルツノガエル、アマゾンツノガエル
・CB個体はほとんどが交雑種
・夜行性
・肉食
カエルのこともっと詳しくしりたい人への本!
種類の解説~飼育まで解説されているバイブル!
参考文献
■Ceratophrys ornata. AmphibiaWeb: Information on amphibian biology and conservation. [web application]. 2015. Berkeley, California: AmphibiaWeb. Available: http://amphibiaweb.org/
■Canziani GA,Cannata MA.Water balance in Ceratophrys ornata from two different environments. Comparative Biochemistry and Physiology66A. 599-603.
1980
■池田純 .ベルツノガエル.爬虫類・両生類800種図鑑 第3版.千石正一監修 長坂拓也編著、ピーシーズ、246-247.2002