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専門獣医師が解説する鳥のくる病・骨軟化症

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飼育鳥の代謝性骨疾患

カルシウムやリンの欠乏や吸収不良によって、骨の形成に障害が生じる疾患です。これが成長期の雛に起きるとくる病、成鳥に起きると骨軟化症と呼ばれ、このような代謝要因で発生する骨の疾患を、総じて代謝性骨疾患(Metabolic Bone Diseases :MBD)と呼ばれます。

症状

骨格を形成する成長期の雛にくる病が生じると、成鳥不良が起こります。また、くる病または骨軟化症では長骨の変形が顕著で、竜骨突起の変形、脚の湾曲やO脚や、大腿骨の変形による開脚などにより歩行異常を示し、跛行や脚弱などが見られます。翼を支える烏口骨が変形すると、翼の挙上または下垂が生じます。骨が軟化すると、僅かなた衝撃でも骨折しやすくなります。肋骨の変形によって胸部が狭くなると、呼吸促迫も起こします。同時に低カルシウム血症を起こしていると、卵塞の原因にもなることがあります。

 

検査

通常はX線検査で、骨の菲薄や変形などを確認します。低カルシウム血症は血液検査で診断します。

原因

骨の成長に必要なカルシウムやリン、ビタミンDのバランスが重要で、餌の栄養不足と紫外線不足が主な原因です。ビタミンDは鳥餌から直接摂取するか、皮膚組織内のビタミン D 前駆体に対する 紫外線の作用によって摂取します。

雛のくる病

雛は急速に成長し、骨格の成長を支えるために多くのカルシウムが必要であり、くる病を生じやすくなります。雛ではカルシウムが少ないアワダマなどの栄養が不十分な餌で挿し餌が行われた場合に、くる病を起こします。カルシウムの吸収を司っているビタミンDは、成鳥であれば日光浴によって体内で合成することができますが、一日中暗所で暮らしている雛は、食餌によって補う必要があります。日光浴不足や、挿し餌へのビタミンD添加不足によってカルシウムの吸収不良が生じますが、このほか、過産卵の親鳥から生まれた雛もくる病を発症しやすくなります。

成鳥の骨軟化症

成鳥における骨軟化症も、日光浴不足、餌(種子)のカルシウム・リン・ビタミンDの欠乏およびアンバランスが主因になります。また、産卵の際にはカルシウムの必要量が増加するため、欠乏が生じやすくなります。種類の餌は、ビタミンDとカルシウムが低く、高レベルのリンを含んでいます。ビタミン D の慢性欠乏は、低カルシウム血症や続発性副甲状腺機能亢進症を引き起こします〔Dacke 2000,Stanford 2003,Horgan et al.2021〕。また、カルシウムの吸収を阻害するシュウ酸塩が多く含まれているホウレンソウなどの多給でも起こり得ます〔Fowler 1986〕。腸炎などでの下痢で栄養素の吸収が減少するようなこともあります。産卵した雌鳥では卵形成にカルシウムが消費され、骨軟化症および低カルシウム血症を引き起こしやすくなります。

セキセイインコ骨軟化症のレントゲン

予防

雛のくる病を予防するためには、挿し餌にミネラル・ビタミンを添加することと、あるいは粟玉でな配合飼料の流動食を使用することです。成鳥でも、種子類を主食にしている場合は、ボレイ粉やカトルボーンなどのカルシウムの餌、あるいはカルシウムやビタミンDのサプリメントを与えます。さらに、カルシウムとリンのバランスも重要で、カルシウム:リン=2:1の比率が推奨されていますので、主食を種子からペレットに変更する方が容易です。

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日光浴は体内のビタミンD合成に深く関与するためr、習慣的に時々行うようにするべきです。

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参考文献
■Dacke GC.Sturkie’s Avian Physiology 5th ed.In Whittow GC ed.Academic Press.London.UK:472-485.2000
■Horgan H et al.CLINICAL AND PATHOLOGIC FINDINGS OF AN OUTBREAK OF VITAMIN D3-RESPONSIVE METABOLIC BONE DISEASE IN HERON AND EGRET (FAMILY ARDEIDAE) CHICKS FED CAPELIN ( MALLOTUS VILLOSUS).J Zoo Wild Med51(4):958-969.2021
■Stanford MD.Measurement of 25 hydroxycholecalciferol in grey parrots:The effect of diet. Proc Euro Assoc Avian Vet.2003
■Fowler ME.Zoo & Wild Animal Medicine. WB Saunders Company,Philadelphia PA:p1087.1986

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