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カメの雌雄鑑別と繁殖|驚くべきシステム!

1 リクガメの種類・生態・特徴 この記事は約 9 分で読めます。 719 Views
カメ交尾

子孫繁栄のための特殊な繁殖システム

●カメの繁殖は哺乳類や鳥類と比べて変わった点が多いです。しかし、爬虫類では普通のことで、カメは成長が遅いので性成熟に時間がかかり、自然の摂理からオスとメスの比率が偏れば、比率を同じにすることができ、繁殖相手がいなければ昔の精子を使うこともできます。

  • オス・メスが分かるのは10歳以上?
  • オスとメスの違いは、体の大きさと尻尾と肛門!
  • 卵が孵化する温度でオス・メスが決まる?
  • メスはオスの精子を数年間ストックできる!
  • 違うオスの遺伝子を持った卵が一度に産卵する?

オス・メスが分かるのに10年以上?

●カメは長生きな動物なために性的な成熟(性成熟)するのにも時間がかかります。性成熟を迎えたカメは、オスは交尾が可能になり、メスは卵を産めるようになります。
●カメの性成熟は年齢でなく、一般的に体のサイズに依存します。性成熟する体のサイズが分かっている種類だと、そのサイズに成長するための年齢は、飼育環境やエサによって異なります。
●下記の表に記載されている性成熟の甲長が体の大きさのことです。明確な性成熟を迎える甲長が分かっていない種類は、成熟に費やす年齢が書かれています。
●野生のカメは成長するに時間がかかりますが、ペットのカメは毎日エサがあるので早いです。ペットでは、野生で報告されている性成熟の年齢の約1/2~2/3の時間で成熟します。
ギリシャリクガメ

カメの性成熟は年齢でなく、甲羅のサイズ!

オスとメスの違いは、体の大きさと尻尾と肛門!

●性成熟すると、体の大きさ(甲長)、尾の形ならびに総排泄孔(肛門)の形、甲羅などの二次性徴や行動によって雌雄が鑑別できます。

ヒョウモンガメ

覚えて!甲羅の大きさ、尾、肛門などで雌雄を判断します

リクガメ

体の大きさ(甲長)

●オスはメスよりも甲長が小さいですが、リクガメでは、あまり大きさの違いは感じられないかもしれません。水生ガメは大きさの違いがはっきりしてます。
リクガメの雌雄  リクガメの雌雄

尾・肛門

●オスは総排泄孔(肛門)の近くにペニスが存在するため、尾は長く太いです。興奮すると総排泄孔からペニスが出てくることがあります。
リクガメのペニス 
●ペニスがあるために、オスの大きな尾は後ろからみると曲がっていることが多いです。
リクガメの尾    リクガメのオスの尾

オスのリクガメの尾はでかい!

●メスの尾はオスと比べて短く、後ろからみても曲がる長さではありません。
リクガメのメスの尾
●オスの総排泄孔(肛門)はスリット状で細長く、ペニスを出し入れするからです。

リクガメのオスの肛門

●メスの総排泄孔はオスと比べて細長くありません。

リクガメのメスの肛門

オスのリクガメの肛門は細長い

甲羅

●オスのお尻の甲羅は折れ曲がって下垂していますが、メスは下垂していません。
リクガメオスの甲羅   リクガメのオスの甲羅
●腹甲の最尾側にある2枚1対の広がってる甲羅の開き具合でも鑑別ができます(微妙)。オスは太くて長い尾を持つために広がっていますが、メスはその角度が狭いです。

リクガメ腹甲

右:オス 左:メス

●オスは腹甲がへこんでおり、これはオスがメスの背中に乗って交尾をし、ペニスをメスの総排泄孔に挿入しやすくするためです。
リクガメの腹甲のくぼみ   リクガメの交尾

オスの陸ガメは、お腹の甲羅が凹んでいる!

●ヘルマンリクガメやヨツユビリクガメのオスの尾の先端には角質の突起がみられます。
ヘルマンリクガメのオスの尾の突起

行動

●発情行動として、オスはメスの頭部や頸部、四肢に噛みついたり、メスの背甲にぶつかったり、乗駕する動作がみられます。

表:リクガメの繁殖知識

項目 ギリシャリクガメ
〔Buskirk et al.2001,Pieau  1972〕
ヘルマンリクガメ
〔Eendecak 1995, Bertolero et al.2998〕
ヨツユビリクガメ
〔Pieau  1972〕
インドホシガメ
〔安川 2001,安川2011〕
繁殖形式 卵性 卵性 卵性 卵性
性成熟 甲長 約16cm
(オス7ー8年メス12ー14年)
甲長約10cm
(約10年)
オス甲長 12ー13cm(7ー10年)
メス甲長約20cm(7-10年)
オス6ー8年
メス8-12年
繁殖 北アフリカ:発情期4‐5月(および秋),産卵期5‐6月
ユーラシア大陸~中近東:産卵期5-7月
発情期 春以降 発情期 春以降 発情期 雨季(日本では7ー8月)
産卵数 5個(2‐8個)
3回/年
 2-12個/ 回 3-5個/回  2-10個/ 回
2-4回/年
性決定 温度依存性決定(29.5℃以下オス、31.5℃以上メス、29.5ー31.5℃雌雄同比率) 温度依存性決定(25‐30℃オス、33ー34℃メス、31ー32℃で雌雄同比率) 温度依存性決定 温度依存性決定

 

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水ガメ

体の大きさ(甲長)

●オスはメスよりも甲長が小さいです。リクガメよりもサイズの差は明確です。
   

尾・肛門

●オスは総排泄孔(肛門)の近くにペニスが存在するため、尾は長く太いです。興奮すると総排泄孔からペニスが出てくることがあります。

   

●オスの総排泄孔(肛門)は、背甲の後端よりも後ろに位置します。これはオスの尾の基部にペニスがあるため、オスの尾はメスと比べて長いです。
   

オスの水ガメの肛門は尾の遠い所にある

●メスの総排泄孔(肛門)は、背甲の後端よりも後ろに位置します。メスの尾はオスと比べて短いです。

●アカミミガメの成熟したオスは前足の爪が長くなることから鑑別ができます。
アカミミガメの前足の爪   アカミミガメの前足の爪

オスのアカミミガメの爪は長い

●オスのアカミミガメは発情期になると、求愛行動として、メスを追いかけてメスの前に回り込み、前足を前方に伸ばし、小さく爪を震わせます(求愛ダンス)。

アカミミガメの求愛ダンス♪♪♪

表:水ガメの繁殖知識

ニホンイシガメ〔安川2007(2)〕 ミナミイシガメ〔安川2007(1)〕 クサガメ〔安川2007(2)〕 アカミミガメ〔安川2007(3)〕
繁殖形式 卵性 卵性 卵性 卵性
性成熟 オス甲長約8cm
(約3年)
メス甲長約15 cm
(約10年)
不明 オス甲長約12cm
(約5年)
メス(6-7年)
オス甲長10-11 cm
(2-5年)
メス甲長17.0-21.5 cm(5年以上)
発情 季節繁殖
発情期 春
産卵期 6-8月
季節繁殖
発情期 秋~冬
産卵期 翌6-8月
季節繁殖
発情期 春
産卵期 6-8月
原産地 周年繁殖
日本 季節繁殖
(春~夏)
産卵数 1-12個/回 1-3回/年 1-7個/回 数回/年 1-14個/回 数回/年 2-23個/回 2-3回/年
性決定 温度依存性決定 温度依存性決定 温度依存性決定 温度依存性決定

 

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卵が孵化する温度で雌雄が決まる?

●カメの雌雄の決定は、卵の孵卵する時の温度で決まる温度依存性決定というシステムです。

産卵  卵

メスはオスの精子を数年間、体の中でストックする?

●メスは数年間精子を生きたまま卵管内に貯蔵することができ、交尾後に時間が経った翌年の発情期にストックした精子を使い受精することができます。このシステムを遅延受精(Delayed Fertilization)と呼ばれます〔五十川1986〕。
●メスを一頭で飼育していても、数年前のペットショップにいた時にオスと交尾をしていたら、無精卵でなく有精卵を産むことがあり得ます。
●交尾してから時間が経つと精子の生存率は低下しますので、有精卵の割合は低下していきます。

スーパー精子?スーパー卵管?

違うオスの遺伝子を持った卵を一度に産卵する!

●産卵までにメスが何頭かのオスと交尾した場合に、1回の産卵で産んだ子ガメたちの父親が2頭以上のこともあります。このような現象を多父系現象(Multiple Paternity)と呼ばれています。
カメ

兄弟なのに父親がちがう!

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参考文献
■Bertolero A,Cheylan M,Hailey A,Livoreli B,Willemsen RE.Tetudo hermanni-Hermann’s Tortoise. Conserbation biology of fresh water turtles and tortoises.CRM5(4).059.1-20.2008
■Buskirk JR,Keller C,Andreu AC.Testudo graeca Linnaeus,1758-Maurische Landschildkröte.Handbuch der Reptilien und Amphibien Europas. 3.125-178.2001
■Eendebak BT.Incubation period and sex ratio of Hermann’s tortoise,Testudo hermanni boettgeri. Chelonian Conservation and Biology 1(3).227-231.1995
■Pieau C.Effets de la température sur le développement des glandes génitales chez les embryons de deux Chéloniens, Emys orbicularis L.et Testudo graeca L.C.R.Acad.Sci.Paris274(D).719-722.1972
■五十川 清.爬虫類の遅延受精.日本比較内分泌学会ニュース12(40).4‐7.1986
■安川雄一郎.ホシガメの分類と生活史,およびその現状.クリーパー7.クリーパー社.東京.p4-17.2001
■安川雄一郎.旧リクガメ属の分類と自然史1.クリーパー59.クリーパー社.東京.p51-59.2011

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