ヨツユビリクガメってどんなカメ?専門獣医師が解説する知らないといけない生態と特徴〔Ver.2〕
目次
ヨツユビ?ホルスフィールド?ロシア?名前が3つあります
中央アジアに分布し、低温にも強いため温度の適応範囲が広く、カメ自身もそれほど大きくならないことから、日本での飼育に最も適した陸ガメといわれています。旧ロシア領に分布していたことから、ロシアリクガメと呼ばれ、学名からホルスフィールドリクガメとも呼ばれ、別名が多いです。
分類・生態
分類
カメ目リクガメ科ヨツユビリクガメ属
学名:Agrionemys horsfieldii
英名:Central asian tortoise,Horsfield’ tortoise,Four-clawed/toed tortoise
別名:ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメ
分布
ロシア南東部、中央アジア、西アジアの一部、中国北西部
生態
環境:低木のある草原、岩石砂漠、岩場の多い丘陵地帯等など様々な場所に生息(ステップ気候、砂漠気候、地中海性気候と幅広い気候)
行動
・昼行性で、昼間に活動し、深い巣穴を掘って暑いな昼や夜は休んでいます。
・巣穴は3~4m、深さは約1mになります。
・分布域の北部や高地にいる個体は冬眠し、南部や乾燥地帯にいる個体は夏眠します。南部に分布する個体は冬眠しないこともあります。カザフスタンにいる個体は冬眠も夏眠もします〔安川2000,安川2002〕。
食性:草食性で、植物の葉、果実、花などを食べています。
寿命:40~50年
身体
甲長:20~25cm
亜種
ヨツユビリクガメはアフガニスタンヨツユビリクガメ、バルキスタンヨツユビリクガメ、カザフスタンヨツユビリクガメ、トルクメニスタンヨツユビリクガメの4亜種が知られていますが、アフガニスタンヨツユビリクガメ以外の鑑別は困難です。
アフガニスタンヨツユビリクガメ(A.h.horsfieldii)
アフガニスタン、イラン、ウズベキスタン、中国(新彊地方)などに分布しています。背甲は暗黄色~明黄色で、背甲の暗色の模様は不明瞭もしくは模様がない個体が多いです〔安川 2000,安川 2002〕。
カザフスタンヨツユビリクガメ(A.h.kazachstanica)
ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタンに分布しています。背甲は扁平で幅広く、前後の縁が直線的で正方形に見えます。背甲は明黄色や薄黄緑色などと変異が大きく、暗色の模様は大型です〔安川2000,安川2002〕。
特徴
性質
性格は温和なカメで、噛みつくことはまれです。慣れてくると怖がらずに寄ってくる位になります。
身体
甲羅は丸みを帯び、長さと幅はほぼ同じで丸くみえます。全体的に扁平な甲羅をしています。
背甲は暗黄色~暗茶褐色で、各甲板には暗褐色の模様が入ります。
腹甲は背甲と同じ褐色系で、暗褐色の模様が入ります。
頭と四肢は黄色みを帯びています。
地中性が強く、前肢は頑丈なシャベル状で、穴を掘ることに適しています。指は4本であることから、ヨツユビリクガメと呼ばれています〔安川2000,安川2002〕。
・ヨツユビリクガメ、ホルスフィールドリクガメ、ロシアリクガメと3つの名前で流通
・黄色味を帯びたメロンパンみたい
・性格は温和
・いつくかの亜種がいるが、鑑別は容易でない
・昼行性
・草食性
・甲羅が丸い
・指は4本
・穴を掘る習性
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参考文献
■安川雄一郎.チチュウカイリクガメ属の分類.クリーパー.創刊号.クリーパー社.東京.p4-19.2000
■安川雄一郎.チチュウカイリクガメの分類.クリーパー13.クリーパー社.東京.p4-23.2002
■安川雄一郎.旧リクガメ属の分類と自然史1.クリーパー59.クリーパー社.東京.p51-59.2011