セキセイインコの羽がボサボサになり太ってきました・・・〔専門獣医師の解説〕
病気なの?
原因は脂肪肝が最も疑われますが、その他にも甲状腺機能低下症(甲状腺腫)、栄養のアンバランス、または羽の異常を起こすPBFD(ウイルス疾患)や羽毛ダニなども考えないといけません。特にセキセイインコでは、栄養のアンバランスによる脂肪肝と甲状腺機能低下症(甲状腺腫)、メスでは慢性発情も加わり、羽の異常と肥満が起こるケースが圧倒的に多いです。羽がボサボサと汚く見えるのは、羽毛の形状が異常になることで配列が乱れたり、切れやすくなったり、抜けるために、そのように見えるのです。
脂肪肝とともに肥満で太ってくると、鳥のシルエットが太く見えてきます。
脂肪肝であれば、以下の症状が併発していることが多いです。
- 羽の変形
- 羽色の変化
- 嘴や爪の出血斑
- 嘴の過長
- 糞の色が明るい緑色になる
- 体調が不安定
- 軟便や下痢
肝臓の病気として、過食や栄養のアンバランスが原因の脂肪肝が多いですが、他にも肝炎や肝臓腫瘍なども考えられます。
- エサを与えすぎていませんでしたか?
- 好きな種子しか食べていませんでしたか?
- 運動不足ではないですか?
シード中心のエサを与えていると甲状腺機能低下症(甲状腺腫)によって肥満になりやすくなり、メスであると慢性発情に継続する高脂血症でも脂肪肝の発生要因になります。甲状腺機能低下症(甲状腺腫)の症状が強く現れると、口をパクパクさせような仕草(呼吸即拍)が見られ、羽の色も変化してくるようなります。また、換羽が上手く行われず、常に筆毛の状態になっています。
羽の変色は多くの飼い主は気が付きません。下の写真のセキセイインコは緑色が薄くなってきており、綿毛が翼からはみ出て羽毛の異常が認められたメスです。
慢性発情は卵巣・卵管の病気も起こり、ヘルニアや骨変形なども見られ、脂肪肝と併発している鳥も珍しくはありません。
脂肪肝により肝機能が低下すると、出血しやすくなり、クチバシに出血班が見られ、緑色の軟便をし、高アンモニア血症を起こして、痙攣などの神経症状が見られることもあります(肝性脳症)。
まずは検査をします!
状況だけで診断することもあります。鳥にとってストレスが少ないレントゲン検査で肝臓の陰影が大きいことを確認しましょう。可能であればエコー検査で肝臓に脂肪が沈着している状態を確認します。脂肪肝以外にも肝臓腫瘍などが診断されることがあります。血液検査で、肝臓の機能などを調べることもありますが、血液検査はストレスがかかります。
治療はどうするの?
強肝剤を投与し、エサの内容を考えなおさないといけません。油の多いヒマワリを中止したり、青菜を多く与えたり、手っ取り早いお薦めはカロリーが低いペレットに切り替えることです。
例えば下記のラウディブッシュ ローファットメンテナンス ニブルズは、低カロリーのペレットです。肥満の鳥のためのダイエット用フードになります。セキセイインコ、オカメインコ、ボタンインコ、コザクラインコ、サザナミインコ等の小型~中型鳥類用のサイズです。オカメインコであれば少し粒の大きさがあるミニでもよいかもしれません。
ローファットペレットシリーズ!
ペレットをどうしても食べてくれない時には、地道に種子をバランスよく与え、肝臓を強くするサプリメントを与えて下さい。
肝臓を強くするサプリメント
タウリン配合!肝臓の解毒機能を向上させ、脂肪代謝を改善する。なんといっても甘くておいしい!飲水に1~2滴溶かすだけ!
まとめ
羽の状態の悪化や肥満などの併発した症状が見られるこの状態は・・・すべてが連鎖していますので、脂肪肝症候群(しぼうかんしょうこうぐん)とも呼ばれています。