1. TOP
  2. 1 イグアナの生態と特徴
  3. イグアナってどんなトカゲ?専門獣医師が解説する知らないといけない生態と特徴〔Ver.2〕

イグアナってどんなトカゲ?専門獣医師が解説する知らないといけない生態と特徴〔Ver.2〕

1 イグアナの生態と特徴 この記事は約 6 分で読めます。 22,371 Views
イグアナ

恐竜みたいな心優しいトカゲ

グリーンイグアナは、単にイグアナと呼ばれるくらいポピュラーな大型のトカゲです。大型で恐竜を連想させる風貌をしていますが、草食性なうえ、性格もとても温厚です。

日本では約20年前にイグアナのブームが起こり、安い価格で販売されていたこともあります。当時は流通数もとても多く、販売価格も一時は1000円くらいになったこともあります。しかし、適切な飼育法が広まっておらず、多くが1~2年で亡くなっていました。グリーンイグアナは成長とともに身が大きくなることから飼いきれなくなり、一部の飼育者は遺棄をすることがあります。そのため、日本の温暖な地方(石垣島など)では定着している可能性が示唆され、生態系への影響が懸念され、要注意外来生物に指定されています。なお、ワシントン条約の付属書II掲載種でもあります。

分類・生態

分類

有鱗目イグアナ科グリーンイグアナ属
学名 Iguana iguana
英名:Green iguana
別名:タテガミトカゲ

分布

メキシコから南米大陸北部

グリーンイグアナ分布図

生態

環境:多湿の熱帯雨林に生息しています。
行動
・昼行性であるため、昼間だけ活動をし、水辺に張り出した樹上に登って生活をしています。

・オスは1本の木に1頭で生活し、その木にメスを呼び寄せてハーレム状態の縄張りを作ります。
・基本的に樹上性ですが、時にエサを求めて地上に移動することもあります。
・樹上にいながら天敵の危険を感じると、水に飛び込んで泳いで逃走することもあります。

食性:草食性で、木や植物の葉、花、果実などを食べています。
寿命:野生では約8年ですが、ペットでは約15年という報告があります。

身体

全長:90~120cm(最大180cm)

性格・習性

馴れる

基本的には温和な性格をしています。脳の体重に対する重量が最も大きな爬虫類なので、頭もよいです。飼い主を認識し、人によく馴れます。しかし発情期のオスは狂暴になります。

グリーンイグアナ

発情オスの狂暴化

特に発情したオスは狂暴で攻撃的になり、あたりかまわずかみついてくるので注意しないといけません。

首ふりボビング

個体同士のコミュニケーションは特徴的で、求愛ならびにデイスプレー、威嚇、縄張りの主張の際に、デューラップを広げたり、頭部を縦に振り動かす(ボビング:Bobbing)、攻撃をする際にはかみついたり、尾を打ちつけたりもします。

ベロ出し

落ち着いた状態でいると、舌を常に出していることが多く、舌を出して寝ていることもあります。その理由は分かりません。

グリーンイグアナ

特徴

大きな尾

発達した大きな尾は頭胴長よりも長く、樹上で平衡感覚をとるのに役立っています。尾には太い黒色の縞模様が入っています。

 

グリーンイグアナは尾を自ら切ることがあります(自切)。

体色

幼若体の体色は、名前のグリーンイグアナの通りに明緑色ですが、成体になるにつれて、くすんでくるため、灰褐色~黒褐色、オレンジ色になります。

グリーンイグアナ

多様な鱗

体の鱗には細かいですが、円形や円錐形などの鱗も散在して見られます。

 グリーンイグアナの鱗

鼓膜の下に円形の大型の鱗(鼓膜下大型鱗:Subtympanic scale)が見られます。

グリーンイグアナの鱗

頭の後ろから尾にかけて棘状のタテガミのようなクレスト(Crest)が見られ、別名のタテガミトカゲの由来になっています。

グリーンイグアナのタテガミ

イグアナは脱皮の前になると白色を帯び、体の各部位が所々にポロポロと古い鱗が剥がれ落ちます(部位脱皮)。
グリーンイグアナの部分脱皮 グリーンイグアナ脱皮

デューラップ

喉の下に大きな襞(デューラップ:Dewlap)が発達しています。デューラップは特にオスに発達し、内部の舌骨で支持されています。興奮や威嚇の際にデューラップが広げられます〔Frye 1995〕。性的なシンボルなのでしょう。

グリーンイグアナCT グリーンイグアナのヂューラップ

長い指

指の数は四肢ともに5本あります。普段は樹上で木幹や枝にしがみついているので、指は細長いです。

 

第三の目

グリーンイグアナの頭頂部の真ん中に第3の目があります。小型で透明な嚢状構造の円形の構造物が存在し、頭頂眼(とうちょうがん)(Pariental eye)と呼ばれています。頭頂眼を収容している孔を頭頂孔(とうちょうこう)と呼びます。実際は物を見ることはできないですが、第3の目とも呼ばれる光を感受する場所で、明暗を感じたり、方向を感覚的にとらえています。頭頂眼と脳の一部が神経でつながっており、頭頂眼が光を感知して性ホルモンの産生を行う役目もあります。その他にも体温調節、ビタミンD産生を担っているという報告もあります〔疋田 2002〕。

グリーンイグアナの第三の目 

トカゲの頭頂眼の詳しい解説はコチラ!

鼻汁?

イグアナは鼻から塩腺からの分泌物が見られ、鼻の周囲に付着したり、くしゃみのような症状が見らます。これは体内の余剰なミネラルを排泄しています。

トカゲの塩腺の詳しい解説はコチラ!

ポイントはコレ!
・グリーンイグアナは温和な大型のトカゲ
・中南米の熱帯雨林に生息
・樹上で生活
・昼行性
・植物を食べる草食性
・胴体よりも長い太い尾
・尾の自切
・背中のタテガミ
・喉下のデューラップ
・幼体の時だけ緑色
・ボビングという特有の行動
・指が長い
・頭頂眼

グリーンイグアナをもっと勉強したいならこの本!

 

イグアナ研究所所長執筆!

参考文献

■Barten SL.Lizards.In Reptile Medicine and Surgery.Mader DR ed. WB Saunders, Philadelphia.p47-61.1996
■Cole CJ.Femoral glands in lizards:A review.In Herpetologica22.199-206.1996
■Frye F.Iguana Iguana, Guide for Successful Captive Care. Malabar,Florida:Krieger Publishing Company.1995
■McKeown S.General husbandry and management.In Reptile medicine and surgery.Mader DR ed.WB Saunders Philadelphia.p9-19.1996
■Rodda GH.Biology and Reproduction in the Wild.In Biology,Husbandry and Medicine of the Green Iguana.Jacobson ER ed.Krieger Publishing Company.Florida.p1-27.2003
■疋田努.爬虫類の生理.爬虫類の進化.東京大学出版.東京2002

\ SNSでシェアしよう! /

イグアナ情報室|専門獣医師による飼育と病気の解説の注目記事を受け取ろう

イグアナ

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

イグアナ情報室|専門獣医師による飼育と病気の解説の人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

関連記事

  • 専門獣医師が解説するイグアナの品種〔Ver.2〕 緑色じゃないじゃん!

  • 専門獣医師が解説するイグアナの雌雄鑑別と繁殖〔Ver.2〕卵を産みすぎで困っちゃう!