アカメアマガエル・イエアメガエルの飼い方~専門獣医師が解説する樹上性カエルの飼育
木や葉の上で暮らすカエル
アカメアマガエルとイエアメガエルは樹上生のカエルで、ツリーフロッグ(Tree frog)と呼ばれます。自然環境に近づけるために木や葉に登れるようなレイアウトを作って飼育する必要があります。
ニホンアマガエルやシュレーゲルアオガエルなどもツリーフロッグ(Tree frog)の仲間なので、飼育方法は同じです。
ケージ
樹上性のカエルは吸盤で壁を登り、上下の垂直方向への移動が大きいため、高さのある水槽またはプラスチックやアクリルのケースを用意します。水槽で飼育する場合は必ず蓋をしないと、逃走するので注意して下さい。蓋はステンレスメッシュ製や穴あきのプラスチック製等で通気性のよいものを選び、小型の種類では穴の大きさに注意しましょう。
夜になると活動的になり、水槽やケースの透明の壁にぶつかって、鼻先の外傷を負います。ケージを大きくするか、あるいは下記に解説している観葉植物を多くレイアウトして、植物と植物を移動することを多くするしかありません。
レイアウト
自然環境を再現するため、テラリウムとして観葉植物などを置いて飼育されることが多く、カエルの大きさに合わせて植物を鉢ごと入れます。あるいは樹上生なので高さがあり、登れるような登り木を置くのもよいでしょう。カエルは壁以外に植物や登り木に登ったり、休ませたりします。葉があるとその裏がシェルターにもなります。
植物はカエルの尿によって枯れることがありますので、水で洗い流したり、枯れたら新しいものに交換して下さい。床敷は特に不要ですが、観賞性を重視するのであれば植物とともに、土砂系や水ゴケなどを敷きます。しかし、糞やオシッコ、生き餌の食べ残しなどがたまりやすく掃除が面倒になります。濡れたキッチンペーパーなどでもよいと思います。
メンテナンスのし易さでは、新聞紙や紙などを敷いても構いません。カエルは排泄物などで汚染されると、アンモニアが体表から吸収されて自家(アンモニア)中毒を起こすため、床敷は汚れたら頻繁に取り替えます。
湿度
カエルは乾燥に弱く、理想的な湿度は70~85%で、1日に数回霧吹きするか、大きめの水容器を設置して下さい。イエアメガエルは乾燥にも強いですが、やはり多湿を好みます。湿度は低すぎても高すぎても体調を崩すので、毎夜ケージ内に霧吹きして湿度を管理して下さい。
水容器は湿度を保つだけでなく、カエルが水の中にも入るので、身体の大きさに合わせたタッパや市販の擬岩の水容器を使用します。水容器に十分な量の水を入れておけば、自ら水に入ったり、また木の上に上がったりとカエル自身が湿度調節をします。しかし、ツリーフロッグは泳ぎが下手な種類が多いので深い容器を使用すると溺れてしまう危険があります。使用する水はカルキ抜きをして下さい。
カエルが植物の上に登ったり、下に降りて水容器に体をつけるような、必要に応じて湿度をコントロールできる環境が理想です。またケージ内に植物を入れた場合は枯らさないように水を与えるので、加湿にもなります。
温度
多くの種類の至適環境温度域(POTZ)は、昼は25~30℃で、夜は20~24℃とやや低温にします。冬に寒くなる場合は、パネルヒーターなどをケージの下に敷いて調節して下さい。イエアメガエルやアカメアマガエルは冬眠する種類ではないので、冬の寒い時期にも温度管理をしないといけません。
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照明
基本的に照明は不要ですが、日内リズムをつける目的として昼間は明るく、夜間は暗くし下さい。ケージ内に植物を入れた場合、その成長のために光は不可欠となるし、観察の目的からも何らかの観賞魚用の蛍光灯を利用してもよいです。
餌
カエルは基本的には動くものしか食べません。基本的にカエルの大きさに合わせた(カエルの体長の半分以下の餌)ワームやコオロギなどの昆虫、ピンクマウスやラット、金魚やメダカなどの小魚などを与えます。視覚に頼って餌を探すため、ピンセットでエサをつまんで鼻先で揺すってやれば、死んでいても生き餌でも食べます。つまり、基本的に動くものには飛びついてくる習性があるので、動きを認識できれば、餌に飛びついてきます。この時に指を目の前にかざす指をかまれるので注意して下さい。エサを揺する動きはごくわずかでもよく、あまりオーバーに目の前で動かすと、かえって怯えてしまいます。特にアマガエルなどではハエやガの仲間のように飛翔するものを好む傾向があります。ショウジョウバエは両生・爬虫類専門のペットショップで飼育セットを入手することができます。
ケア
ハンドリング
カエルをはじめとする両生類は毒液や粘液を皮膚から分泌します。毒液は人体にどれだけ影響するかは不明で、あまり触り過ぎないようにして下さい。掃除等のためにカエルを触った後は必ず手を洗いましょう。
掃除と水管理
常に水に接していなければならない両生類は、飼育の際に乾燥しないように水を足したり、汚れたら掃除をしなければなりません。カエルを始めとする両生類の皮膚は爬虫類と異なり、水分を吸収します。糞やオシッコ(アンモニア)、生き餌の食べ残しなどの有害成分が、自らの皮膚を介して吸収し、病気になります。これを自家(アンモニア)中毒と呼ばれ、多くが死んでしまいます。水容器の水は汚れていないように見えても、最低でも2日に1回は水交換をしましょう。基本的に最低でも1週間に1回は水槽やケース全体を綺麗に掃除して下さい。床に排泄物が落ちますが、植物の鉢の土に落ちると汚れが目立ちませんので、土の部分の確認もしっかりとして下さい。
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