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専門獣医師が解説するナミヘビの飼育〔Ver.2〕

2 ナミヘビ この記事は約 9 分で読めます。 8,661 Views

ヘビ女子集まれ~

コーンスネーク、アオダイショウ、キングスネーク、ミルクスネークは飼いやすいナミヘビ科の仲間です。ヘビは他の爬虫類と比較して容易である。ケージが小さくて済むし、紫外線が不要で、世話に手間がかからない、同じエサで飼えるという点があげられます。最近、女性の飼育者が増えています。

ヘビは神経質な性格のため極力環境変化をさせないためにも、世話は最小限にとどめた方がよいです。環境の変化やストレス等から拒食してしまうこともあるからです。

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飼育

ヘビは爬虫類の中でも、場所をとらずにコンパクトに飼うことができ、いたって飼育は簡単といえるでしょう。適切な環境とエサを整えやすいので、病気になることは他の爬虫類と比べて少ないです。湿度不足による脱皮不全アイキャップ遺残、湿度の過多による皮膚病などは頻繁に起ります。湿度との闘いになります。

飼育頭数

繁殖以外では基本的に1つのケージに1頭で、複数での飼育は避けるべきです。エサをめぐって2頭がからみあってストレスになります。

ケージ

ヘビは活発な動物ではありません。飼育下ではエサを食べる時以外にはあまり活動せず、代謝も低下しますので、極端に大きなケージは不要です。理想的なケージの大きさは、長径は全長の2/3、短径はトグロを巻いた時の直径の1.5倍位、またトグロ3個分のスペースが必要であるなど、決まった大きさはありません。体長1m前後までのヘビならば60cmのケージで飼育できます。しかし、活動的なアオダイショウなどは広いケージに入れると行動的になり、大きく成長するともいわれています。鑑賞目的で飼育したい人は、大きなケージに木や岩などをレイアウトして飼育しています。ケージはガラス製の水槽あるいはプラスチックやアクリル製のケースを使用します。しかし、ヘビは小さい隙間から脱走するため、水槽やケースはしっかりと蓋ができるものが理想です。蓋がきちんとできるという点で、プラスチックケースが向いているかもしれません。

ヘビの飼育 ヘビの脱走

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床敷の素材は特に問いません。ヘビは週に一回位の頻度で大量の糞やオシッコし、また水容器の中に入って水浸しにすることが多いので、交換しやすいものを使います。一般的にウッドチップなどを使用しますが、利便性を考えるとペットシーツや新聞紙でもかまいません。湿度を上げたい時、脱皮の前などはウッドチップに散水をしたり、水に浸した水ゴケなどをケージの局所だけ置いたり、シェルターの中に水ゴケを入れたりするような工夫もなされています。

カリキン飼育 

床敷の選び方とお薦め商品はコチラ!

ケージ内に水容器とシェルターをレイアウトして設置し、床敷を敷きます。

ヘビの飼育

テラリウムのように木や岩をレイアウトして飼育もできますが、しっかりと掃除ができるものにした方が衛生的です。特にナミヘビは半樹上性のため、流木などを設置すると好んで登ることがありますが、必ずしも必要とは限りません。なお、アオダイショウは流木や壁を登りますので脱走しないように注意して下さい。

ヘビの飼育

水容器

水容器は飲水としてだけでなく、暑い時、脱皮の前に全身を水に浸すために水につかります。シェルター的な役割もしますし、ケージの中の湿度を上げる効果もあります。

水を飲むヘビ

水容器をヘビがひっくり返すことが多いため、適度な重さがあり安定性のある形状の容器を使って下さい。中でトグロをまいても水がこぼれない程度の水を入れます。

自作で水容器を作ることもできますが、天井の蓋に孔を開けているのは、ヘビの通り抜けのためだけでなく、水をこぼさないようにするためです。

ヘビのシェルター

水容器の中で排泄することが多く、水が汚れてたらすぐに替えて下さい。

ヘビの水容器

ヘビの飲水についての詳細な解説はコチラ!

シェルター

ナミヘビは巣穴で生活するため、トグロを巻いた状態で体が収まるくらいのシェルターを用意します。市販の製品以外に、植木鉢を削ったものなどが使えます。上記の水容器をシェルターとしてもかまいません。

ヘビのシェルター

シェルターは隠れるだけでなく、脱皮をする際の皮を脱ぐための引っかかりとして使用します。シェルター素材表面はザラザラした製品が適しています。

ヘビのシェルター

植物を入れることでも体を隠せるシェルターにもなります。

カリキンシェルター

温度

温度管理はケージの底面に設置するパネルヒーターのみで問題なく、至適環境温温度(POTZ)はヒーターが接している高温な部分で、昼は25~29℃、夜は20~25℃にして下さい。ヒーターを敷く面積はケージの3分の1から半分くらいの面積を目安に敷きましょう。

ヘビのシェルター

ヘビは食前と食後で代謝を変えるため、食後は体を温めて消化を助けます。食後に低温にすると、ヘビの消化不良や便秘の原因になります。また、低温で飼育をすると、ヘビは肺炎になりやすくなるので注意しましょう。冬に寒くなると冬眠することがあるので、させいないようにして下さい。パネルヒーターで十分な保温ができない時、夜間になると温度が低くなる時には、保温球などを補助的に使います。

ヘビの保温球

夏の暑い時は、エアコンなどで室温を調整して下さい。

湿度

湿度は40~60%が理想です。湿度が低いとヘビは脱皮不全アイキャップ遺残が好発します。湿度対策として、水容器を置いて乾燥を防ぎます。ここで大活躍するのがウエットシェルターモイストロックという商品がお薦めです。それぞれのシェルターには隠れ家、飲水用の水容器、そして保湿効果が期待できます。それぞれのシェルターは脱皮不全のページで特徴を紹介しています。水苔などの湿潤な床敷を使うことで、保湿効果がありますが、細菌や真菌などの皮膚病になりやすいのが欠点です。

脱皮不全の解説と対策用品のお薦めはコチラ!

照明

コーンスネーク、キングスネーク、ミルクスネークは、夜行性~薄明薄暮の生活パターンなので、紫外線ライトを設置する必要はありません。昼も明るすぎる場所にケージを置かないで下さい。アオダイショウは昼行性ですが、特別に紫外線ライトは不要です。

本当にヘビに紫外線ライトが不要なのか?

食事

ヘビは非常に効率よくエネルギーを使うため、大きなエサを1回与えれば、しばらくは採食しなくても問題ありません。しかし、生後2年位までの幼体には週に2回~4日に1回くらいの間隔で給餌をし、それ以上になると週に1回で十分です。

カリキン

餌はマウスを主食とし、与えるマウスの大きさはヘビの頭よりも少し大きい位が適当です。幼体であればピンクマウスのS、50cm程度ならばピンクマウスのL、1m程度ならばアダルトマウスのM~Lを与えます。冷凍マウスは解凍して38℃くらいの温度にして与えます。かまれないようにするために、長いピンセットでエサをヘビの目の前に動かすと食いつくいています。マウスをケージの中に置いておけば勝手に食べるヘビもいます。長いピンセットを使う理由は、ヘビは餌と飼い主の指を区別ができないのでかまれないよういすることと、マウスの臭いが手につかないようにするためです。

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竹のピンセットなので口を傷つけない!

ヘビが大きな餌を飲み込めますが、無理に大きなサイズを与えない下さい。ヘビは採食後に代謝を高めるので、特に保温はしっかりとしましょう。ヘビは消化する能力に種差や個体差が大きく、食後にどれくらい経ってから排泄するのか、そして糞の状態をよく観察して下さい。週に1回の給餌であれば、排泄も週に1回程度です。

ヘビの排泄物

ヘビは脱皮前は餌を食べないです(拒食)。脱皮の前になると消化管蠕動を停止し、脱皮のための体力を温存するようになります。脱皮の前は目が白濁したり、体の色がくすんできます。脱皮と同時に消化管蠕動が再開するので、採食を始め、排泄する確率も高くなります。

マウス以外にも、ウズラなどを食べるのであれば与えることもあります。エサには時々爬虫類用のビタミンやカルシウムなどのサプリメントを添加して下さい。しかし、ヘビは匂いに敏感なので、サプリメントの粉をエサにかけると拒食する場合は、サプリメントの粉をゼラチンカプセルに入れて、マウスの口の中や皮膚の下に忍ばせて下さい。

ヘビのエサマウスに入れるゼラチンカプセル

 

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軟便・下痢気味の消化の弱いヘビは、マウスの尾と四肢は除去し、背中の皮も除去して下さい。また、毛のはえていないピンクマウスなどの小さい餌を与えることも消化不良の予防には有効です。

爬虫類の餌と病気について

 

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ケア

脱皮対策

脱皮の前には湿度をあげて、脱皮が上手くできるにして下さい。床敷やシェルターなどに皮を引っかけて脱皮をしますので、脱皮が下手な場合は、バークチップの木片や磁器製のウエットシェルターなどを用意してます。

ミルクスネーク脱皮

ヘビは定期的に脱皮をします。ヘビの脱皮は完全脱皮と呼ばれ、全身の鱗が一気に剥けます。

ヘビの完全脱皮

脱皮前には目が白濁し、拒食をしますが、これは生理現象です。

ハンドリング

ヘビは人とのスキンシップを特別とる必要がありません。人がヘビをつかんで楽しむことがありますが、ハンドリングとも呼ばれています。人に馴れていないヘビにバンドリングを行うと、ストレスになり、拒食の原因になったり、強くつかむことで吐くこともあるので注意して下さい。

ヘビの咬傷

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掃除

ヘビを触った後はよく手を洗い、そしてケージなどの掃除も衛生的にしっかりとして下さい。爬虫類はサルモネラ菌を保菌していることが多いです。爬虫類に常在しているサルモネラ菌は爬虫類には無症状のことが多く、人に感染すると嘔吐や下痢などの消化器症状が起こり(サルモネラ中毒)、人獣共通感染症(ズーノーシス)として有名です。掃除の後にケージも殺菌するために日光浴や消毒をするように心がけましょう。

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ヘビは他の爬虫類と比べて糞やオシッコの排泄物が特に臭います。掃除はもちろんですが、消臭対策もきちんと考えて下さい。

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