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ハムスターの飼育(特別保存版Ver2)

 2019/04/03 2 ハムスターの飼育 この記事は約 17 分で読めます。

地下生活をしているハムスター!

●全てのハムスターは夜行性ですが、飼育に関して、種類によって多少の違いがあります。

飼育

●実験動物では実験動物用ケージと実験動物飼料という質素なスタイルで飼育されています。しかし、ペットでは、様々なケージやエサの選択が可能で、ケージのレイアウトも好きなように組むことができるのも楽しみになっています。

飼育頭数

●ゴールデンハムスターは2頭以上を同じゲージに入れると、けんかしてしまうことが多く、別々のケージで飼うようにしましょう(単独飼育)。特にメスは気が強いため、注意してください。なわばり意識が強いので、けんかをするだけで終わらず、相手を食い殺すこともあります。
●チャイニーズとドワーフハムスターは、野生でもつがいでいるので、同じゲージで飼っても大丈夫です(複数飼育)。しかし、相性が悪い場合は単独飼育をしないといけません。基本的には1頭ずつ飼育した方がよいでしょう
●ロボロフスキーハムスターは環境に敏感で、ハムスターを飼いなれていない人には扱いにくい種類です。鑑賞用のハムスターと考えて飼育するのがよいでしょう。また、野生では集団で生活をしているので、複数で飼うこともできますが、その場合は幼体から一緒に飼いはじめたほうがよいです。
ロボロフスキーハムスター

ケージ

●ケージの中に床敷、エサ容器や給水器、小屋・巣箱などをレイアウトして設置してください。
ハムスター飼育
●ハムスターは木などに登らず、地下に巣穴を掘る生活をしています。2階建てのような階層のあるケージも売られていますが、落下や足を挟みこむ事故(骨折など)に注意してください。
ロボロフスキーハムスター
ハムスター
●ケージは金属製のワイヤーの金網タイプとガラスや樹脂製の水槽タイプとがあります。ハムスターは齧る習性があるため、紙製や木製のものは使用しないでください。
●金網ケージは、金網に足を挟むこむ骨折などの事故以外に、金網を齧ると、前歯が折れるような事故(切歯の破折)もありますので、安全性にややかけます。齧ることは習性なのでやめさせることはできませんので、齧り木を与えてください。
ハムスターケージ齧り  

金網は齧らせてはダメ!

●水槽タイプのケージの利点は、気密性に優れているために保温効果が高く、そして、事故が起こる危険性が低いことです。欠点は、換気が悪いために掃除を怠ると、排泄物臭(アンモニア濃度)が強くなり、湿度の調節が難しくなることです。
ハムスターケージ  
●水槽タイプのケージは天井にのみ金網が付いているようなハイブリットタイプがあります。しかし、小屋・巣箱に登って天井に届かないようにしないといけません。
ハムスターケージ

安全なお家は水槽タイプの平屋!

●ケージは床面積が広いものを用意してあげましょう。ゴールデンハムスターの推奨されるケージの大きさは実験動物で報告されたデータが使われいました。しかし、この数値は最低値であり、この空間で十分な活動量を補えるかが問題でした。
ハムスタ実験動物

表:実験用ゴールデンハムスターのケージの大きさ〔Balk et al.1987〕

体重 床面積(cm2) 高さ(cm)
60g未満 64.5 14

 

60-80g 83.9
81-100g 103.2
100g以上 122.6

●近年では、ケージの大きさに様々な考慮がなされ、さらに広い床面積が推奨されています。
表: 実験用ゴールデンハムスターのケージの大きさ〔Swallow et al.2005〕

体重 床面積(cm2) 高さ(cm)
30-60g 96 15
61-90g 128
91-120g 160
121g以上 192

表:実験用ゴールデンハムスターのケージの大きさ (EUの実験動物保護指針)

体重 床面積(cm2) 高さ(cm)
60g未満 150 14

 

60-100g 200
100g以上 250

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●ケージの大きさを優先するのではなく、自然の行動が再現できるように、トンネル、ブロックやチューブ、回し車を設置することが理想とされています〔Kuhnen 1999〕。
ハムスター飼育  ケージ内レイアウト

●地下巣で生活するハムスターにとって、暗くて体が隠れるところが大好きで、自分一人で落ち着ける場所が必要なので小屋・巣箱を必ず1つ用意しておくとよいでしょう。
ハムスター小屋

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●床敷をたっぷりと厚く敷いてあげると、その中に潜る習性もあります。
ハムスター営巣
●今まで床敷は木製チップが主でしたが、牧草、紙チップ、コーンチップ、綿、土なども使用されています。

木製チップ床敷

木製チップの床敷

紙類床敷

紙の床敷

●基本的にケージの四隅で排尿します。四隅の同じ場所にすることが多いので、そこにトイレを設置すれば、しつけができるかもしれません。しかし、ロボロフスキーハムスターはトイレの覚えも悪く、ケージの中でどこでも排尿をしてしまいます。
ハムスタートイレ

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温度・湿度・照明

●ゴールデンハムスターは5℃(±2℃)の低温の環境では冬眠する傾向にあります〔米田 1991〕。冬眠すると体力を消耗したり、そのまま死亡することもあるため、冬眠をさせない方がよいでしょう。
●冬の寒い時も、エアコンなどの保温器具で保温してください。小動物用のカイロなども使用できます(温度湿度)。

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ハムスター飼育

冬眠させないように!

ケージを直射日光が当たる所や閉めきった部屋に置くと、熱射病・熱中症になる可能性があるので注意してください。夏の暑い時はエアコンなどで温度を調節してください。
●小動物用の体を冷やす金属板(金属ベット)なども使用できます。
ハムスター飼育
●特に夏はケージの中に熱がこもりやすくなるため、床敷などは少なくし、掃除の回数を増やすとよいです。
●水槽ケージの中は湿気がこもりやすいために、風通しのよい所にケージをおきます。床敷は細菌が繁殖しやすいため、頻繁に掃除してあげましょう(温度・湿度)。
●夜行性の動物なので、日光浴をさせる必要はありません。

表:温度・湿度〔実験動物施設基準研究会 1983〕

項目 数値
温度 20-26℃
湿度 40-60%

食事

エサ

●基本的にハムスター用ペレットを中心に、種子野菜などを与えます。ペレットのみのでも栄養学的には問題はありませが、ハムスターに食べる喜びを与えるために、他の食材もバランスよく組み合わせて与えます。時にタンパク源としてミルワームを与えてもかまいません。

ハムスターエサ
●活動し始める夕方から夜の早い時間にかけて、エサを与えてください。

ハムスターエサ
●ゴールデンハムスターは自由にエサを食べるような環境にさせても、一気に食べるようなことはなく、約2時間毎に食べる習性があります〔Borer et al.1979〕。
●ペレットや種子は常にエサ容器に入れておき、しおれやすい野菜は時間を決めて新鮮なものを与えてください。果物やおやつなどはコミュニケーションの一環として、時々与える程度にとどめましょう。
    
ハムスター野菜  ハムスターエサ
●ハムスターは好物のエサを頬袋に溜め込んで、後で出して食べることもあります。実際に食べたエサの量を確認することは困難です。
●エサ容器に入っているエサを巣まで運びこむ習性があるため、小屋・巣箱や床敷の下にエサが隠されていることがあります。梅雨や夏では、隠されたエサが腐ったりするので、時々ケージ内をチェックして、取り除いてあげましょう。
●ハムスターの栄養学の詳細は分かっていません。ハムスター用ペレット(ゴールデンハムスター)の栄養要求量は、 粗タンパク15%、粗脂肪5%〔Committe on Animal Nutrition 1987〕ともいわれていますが、いまだ論議されています。
ハムスターペレット
●実験動物のげっ歯類用ペレットでは約22%の粗タンパクが必要量とされていますが〔Balk et al.1987〕。しかし、ゴールデンハムスターの要求量は、13.7~22%〔Arrington et al.1966,Arrington et al.1979,Horowitz et al.1966,Banta et al.1975〕と幅が広く、成長期や妊娠期では約24%以上が勧められてています〔Harkness et al.1989〕。おやつなどの粗タンパクが低いエサを主食にすると、脱毛や皮膚炎が起こりやすくなります〔Carpenter et al.2000〕。一般的に市販されているハムスター用ペレットは、粗タンパクが15〜24%の商品が多く、これらの商品で大きな問題は起こっていません。
●げっ歯類ペレットの粗脂肪は4〜6%が理想とされてます〔Knapka et al.1977〕。ゴールデンハムスターでは、3.1~5.0%が必要量と報告されていますが〔Knapka et al.1974〕、詳細は分かっていません。ヒマワリの種子などの粗脂肪が多いと、肥満だけでなく、高脂血症動脈硬化が起こる可能性が分かっており〔Hayes et al.1993〕、短命につながります。反対に、粗脂肪が足りないと、脱毛やフケなどの皮膚病が発生するともいわれています〔Christensen et al.1952〕。
ハムスターヒマワリ

ヒマワリの種子はほどほどに・・・

●粗繊維が少なく、糖質やでんぷんが多い、おやつや果物などのエサは、死亡率が高くなります〔Salley et al.1962〕。粗繊維は腸内細菌の維持に必要な栄養素で〔Snog-Kjaer et al.1963〕、腸内細菌は、繊維質を分解して、消化・発酵に役立ちます〔Banta et al.1975〕。

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●ハムスターは乾燥地域に住んでいるため、大量の水を必要とする動物ではありません。特にドワーフハムスターでは水を積極的に摂取しませんが、水分が要らないのではなく、少量の水でも生存できるのです。このようなハムスターでは、野菜を多く与えることで水分摂取を補うようにしてください。
●給水器はボトルタイプの給水器が使われます。
ハムスター給水器 ハムスター給水器

表:採食量・飲水量〔Bauck et al.1997〕

項目 1日の体重100gに対する量
採食量 10-12g
飲水量 8-10mL

ケア

●ケージの中にハムスターをいれてエサを与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。
●ハムスターが持つ野生本来の行動を発現できるような環境作りのために、生息地に適応した体の特徴や生態を、環境エンリッチメントに沿って考えてください。
●ハムスターの場合、ケージを広くする以外に、運動をさせる、巣穴を作って潜り込む、物を齧るという行動がポイントになります。
●活発な動物ですが、飼育での最低の運動量は一概に定まっていません。ケージの中で小屋・巣箱に乗ったり、ケージの外に放すことで運動量を増やすなどの策もとられています。
ハムスター小屋

回し車・トンネル

●一番楽に運動量を増やすには、回し車を回したり、トンネルに潜るなどの方法がお勧めです。回し車やトンネルなどを与えることは、ハムスターのストレスを減らす効果もあります〔Kevin et al.1998〕。
ハムスター回し車   ハムスタートンネル

トンネルや回し車が大好き

運動

●ケージから出して、部屋やサークルで遊ばせることは運動にもなり、ストレス対策にもなります。ハムスターは夕方から活動を始めるので、夕方以降の時間にしましょう。部屋で放す場合は、家具の隙間に入ってしまったり、下敷きになったり、人に踏まれしまったり、観葉植物があると齧って中毒がおこる可能性があるので注意してください。

齧り木

●齧ることも習性の一つなので、齧り木になるようなものを置いてあげましょう。また、かまぼこ木製の小屋・巣箱も齧らせる目的で与えるのもよいです。木に興味ない場合は、トイレットペーパーの芯、硬いトウモロコシや松ぼっくり(商品として販売されています)などを好む場合もありますので、性格にあったものを選んであげて下さい。

ハムスター ハムスター

砂浴び

●飼育下では、砂浴び(砂浴による皮膚や毛の清浄)や爪切りなどが必要になることがあります。
●砂浴びは積極的には行わないハムスターもいますので、無理にさせる必要はありません。また、砂浴びの場所とトイレの区別がつかない個体が多く、トイレ砂で砂浴びしていることが多いです。
ハムスター砂浴び
●自然界では砂漠に近い環境で生活をしていたため、細かい砂が大好きな性格から、トイレ砂も砂浴び用の砂も違いはないようです。トイレの砂浴びも実際の害はほとんどないので、兼用したり、そのままにしておいても問題ありません。
●ケージの外側に取り付ける砂浴び容器というものがあります。ケージの中が飛び散った砂で汚れません。
 ハムスター砂浴び

爪切り

●野生では爪を削る環境がありますが、飼育下では爪が伸びすぎることがあります。おとなしい性格であれば定期的に切ってあげましょう。
ハムスター爪切り ハムスター爪切り

コミュニケーション

●ゴールデンハムスターやジャンガリアンハムスターなどの種類は、馴れるように人とのコミュニケーションをとった方が扱いが楽になることがあります。ストレスにならないように少しずつ馴らしていきましょう。気が立っていると、噛まれることもあるので注意してください。

●コミュニケーションをとって馴らすには、最初に好物のエサを手渡しであげてみます。手に馴れるように臭いを嗅がせ、手を恐がらないようになったら、両手でそっとすくい上げて手のひらに乗せてみてください。まずは手に乗せられるようになってください。
ハムスター
●体が小さいロボロフスキーハムスターは部屋で放したり、手のひらに乗せたりすると、逃げて捕まらなくなることもありますので、無理しないでください。

グルーミング

●毛が生え変わる春や秋は、歯ブラシなどでブラッシングなどのグルーミングをしてあげるのもよいです。特に長毛種は自分で毛づくろいをすることで、飲み込んだ毛による消化管閉塞がおこりやすく、急死することも珍しくはありません。しかし、噛み癖のあるハムスターやロボロフスキーハムスターでは無理して行わないでください。

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参考文献
■Arrington LR,Platt JK,Shirley RL.Protein requirements of growing hamsters.Lab Anim Care 16(6).p492-496.1966
■Arrington LR,Ammerman CB,Franke DE.Protein requirement of hamsters fed a natural diet. Lab. Anim. Sci 29.469–471.1979
■Balk MW,Slater GM.Care and management,In Laboratory Hamsters,Van Hoosier,Jr.GL McPherson,CW eds.Academic Press.Orlando.Florida.p63–64.1987
■Banta CA,Warner RG,Robertson JB.Protein nutrition of the golden hamster.J.Nutr.105.38–45.1975
■Bauck L,Bihum C.Basic anatomy,physiology,husbandry and clinical techniques.In Ferrets,Rabbits and Rodents:Clinical Medicine and Surgery.Hillyer EV,Quesenberry KE.eds.WB Saunders.Philadelphia.p291-306.1997
■Borer KT,Rowland NM,Borer RC,Kelch RP.Physiological and behavioral responses to starvation in the golden 4th hamster.Am J Physiol236.p105-112.1979
■Carpenter JW,Kolmstetter CM.Feeding Small Exotic Mammals:Small Animal Clinical Nutrition 4th ed.Hand MS,Thatcher CD,Remillard RL,Roudebush P.eds.Mark Morris Institute.Kansas.p947-952.2000
■Christensen F,Dam.H A new symptom of fat deficiency in hamsters:Profuse secretion of cerumen.Acta Physiol.Scand27.204–205.1952
■Committe on Animal Nutrition. Nutrient requirements of the hamster.In Nutrient Requirements of Laboratory Animals.N.R.C.Natl.Acad.Sci.Washington DC.p7079.1987
■DIRECTIVE 2010/63/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 22 September 2010 on the protection of animals used for scientific purposes(科学的な目的のために使用される動物の保護に関する2010年9月22日の欧州議会及び理事会指令2010/63/EU(抄) (EUの実験動物保護指令)
■Harkness JE,Wagner JE.The Biology and medicine of Rabbits and Rodents. 3rd ed. Lea & Febiger. Philadelphia.1989
■Hayes KC,Pronczuk A,Liang JS.Differences in the plasma transport and tissue concentrations of tocopherols and tocotrienols:Observations in humans and hamsters.Proc.Soc.Exp.Biol.Med202.353-359.1993
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■Kevin RA,Terri RC,Michael R.Use of Corn-Husk Nesting Material to Reduce Aggression in Caged Mice.Contemporary Topics in Laboratory Animal Science 37(4).p64-66.1998
■Knapka JJ,Smith KP,Judge FJ.Effect of crude fat and crude protein on reproduction and weaning growth in four strains of inbred mice.J Nutr107.p61-71.1977
■Knapka JJ,Judge  FJ.The effects of various levels of dietary fat and apple supplements on growth of golden hamsters (Mesocricetus auratus).Lab.Anim.Sci24.318–325.1974
■Kuhnen G.The effect of cage size and enrichment on core temperature and febrile response of the golden hamster.Laboratory Animals 33.221-227.1999
■Salley JJ,Eshlemann JR,Morgan JH.Effect of chronic thyroid deficiency on oral carcinogenes.J.Dent.Res 41.1405–1412.1962
■Snog-Kjaer A,Prange I Christensen F,Dam H.Alimentary production of gallstones in hamsters. 12. Studies with rice starch diets with and without antibiotics. Zeit. Ernahrung4.14–25.1963
■Swallow J,Anderson D,Buckwell AC,Harris T,Hawkins P,Kirkwood J,Lomas M,Meacham S,Peters A,Prescott M,Owen S,Quest R,Sutcliffe R,Thompson K.Transport Working Group,Laboratory Animal Science Association (LASA).Guidance on the transport of laboratory animals.Lab Anim39(1).1-39.2005
■実験動物施設基準研究会編.ガイドライン─実験動物施設の建築および施設.清至書院.東京.p53.1983
■米田嘉重郎.シリアンハムスター.げっ歯目.各論.実験動物学.田嶋嘉雄監.朝倉書店.東京.1991

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