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イグアナの代謝性骨疾患|最も多い病気です!

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イグアナのMBDレントゲン写真

間違った飼い方で起こるMBD!

●カルシウムの代謝異常で起こる骨の病気を、英語でMetabolic Bone Diseaseと呼ばれるため、MBDと略されて呼ばれています。

まずは骨の代謝の解説から!

●骨の病気とはどうして起こるのか?グリーンイグアナは草食性で、大型になるトカゲです。急激な成長をするため、カルシウムを含む栄養のバランスのとれた植物を大腸(結腸)で発酵・消化します。その消化システムは日光浴によって得られる十分な熱エネルギー(温度)によって働きます。紫外線を含む日光浴は体表でカルシウム代謝に必要なビタミンD(ビタミンD3)を活性化するのに不可欠なものです。つまり、カルシウムを含むエサの栄養、日光浴による熱エネルギーである温度と紫外線によるビタミンDがMBDの発生に深く関与します。
イグアナ日光浴
●エサから摂取されたカルシウムは、腸で血液中に取り込まれて骨に貯蔵されます。しかし、体内でカルシウムが機能するためには、リンに結合する必要があり、カルシウムはリンと結びつくことによってリン酸カルシウムとなり、骨や歯の成分を形成します。しかし、リンが多いとカルシウムの吸収を妨げるため、カルシウムとリンの比率が重要になります。カルシウムとリンはバランスよくエサとして摂取することが重要で、推奨されている目安はカルシウム:リン=1~2:1になります。

●カルシウムを腸から効率よく吸収するために必要なのがビタミンDですが、ビタミンDはエサからと日光浴の太陽光を浴びることで作られます。室内で飼育されている時には、太陽光を十分に浴びられないため、紫外線ライトが必要になります。

なんでなるの?

●MBDの原因は主に不適切なエサならびに紫外線の照射不足が多いです。

不適切なエサ

●カルシウムの少ない野菜が原因になります。また、消化管からのカルシウム吸収は、エサのカルシウム:リンの比率にも影響されるので、リンが多いようパン、ミルワームやコオロギ、ドッグフードなどの動物性タンパク質やバナナやミカンなどの果物を主食にすることは問題です。これらのエサはリンの比率が高いので、MBDに陥りやすいです。またホウレンソウなどのシュウ酸の多い野菜はカルシウム吸収を阻害しますので、カルシウムが欠乏します。
イグアナのエサ

紫外線の照射不足

●野生のイグアナは太陽光による紫外線を浴び、ビタミンDを活性化して利用しています。飼育下でも紫外線ライトの照射を怠ることが原因になります。「日光浴や紫外線ライトをあてていたのにMBDになったと」という話をよく聞きますが、ガラス越しではなく直接あてないと、紫外線はガラスにほとんど吸収されてしまいます。
イグアナMBD

症状

●血液中のカルシウムが少なくなると、骨に蓄えられているカルシウムは血液中に溶出し、骨が薄くなって変形します。成長不良、骨の変形、骨折の3つが主な症状です。成長の段階や、その個体によって症状の現われ方や順序に差があります。

成長不良

●骨に影響みられ、正常な成長がみられません。なかなか大きく育たない理由がMBDであったというのも珍しくありません。

骨の変形

●骨の形成異常は骨軟化症くる病と呼ばれ、顎、背骨、腕や足、尾などの骨が曲がったりします。改善されても後遺症として残ることが多いです。幼体に起こる骨の形成異常をくる病と呼びますが、爬虫類では明確な定義はありません。多くが幼体に発生して、成体から突然起こることはまれです。
●骨の変形が起こると、かみ合わせが悪くなり(下顎が短い)、その結果顔や頭の形が丸くなります。
イグアナのMBD イグアナMBDのレントゲン写真

●顎の骨が軟らかくなり、筋肉に引かれて左右に張り出したように骨が変形して、下顎が丸く腫れあがることもあります。

イグアナMBD イグアナMBDのレントゲン写真
●下の写真で左のイグアナの頭は右の個体と比べて丸くありませんか?
イグアナMBD
●背骨が曲がると背中が曲がってきます。
イグアナのMBD イグアナのMBDレントゲン写真
●手足の変形が起こると胸を床にべたっとついた姿勢になり、上手く歩けなくなることもあります。手足は動くのですが、前進できないのでホットスポットから移動できず、背中が低温火傷を起こします。火傷を負った背中は脱皮不全により古い鱗が重責して、白色に変色しています。
イグアナMBD イグアナMBD
●骨の形成異常以外にも、血液中カルシウムが低くなり、食欲の低下や筋肉のケイレンも起こります(低カルシウム血症)。

骨折

●骨が薄くなるので、わずかな衝撃で骨折をします。
イグアナ骨折 イグアナ骨折のレントゲン写真

検査は?

●レントゲン検査で骨の変形、血液検査で低カルシウム血症の有無を確認します。

予防は?

紫外線をあてる

●紫外線によって活性化されたビタミンDは、血中のカルシウム濃度を調整し、消化管からのカルシウム吸収率を高める作用もああります。ビタミンDは、エサから取るだけでは不完全で、吸収後に紫外線によって活性化されなければ有効利用できません。熱中症にならないように直接日光浴を行うか、ケージに紫外線ライトをつけて照射して下さい。
グリーンイグアナ
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エサの見直し

●カルシウム含有量の多いコマツナ、チンゲンサイ、モロヘイヤなどをメインにバリエーションを組んで与えましょう。カルシウムパウダーをエサに添加する方法もあります。しかし、すでにMBDに陥っている場合は、カルシウム剤を併用して下さい。明らかなMBDの場合はビタミンDが配合されたカルシウム剤を使用します。
イグアナのエサ

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飼育温度の見直し

●エサをいくら改善しても、それを消化するための環境が重要です。イグアナは腸内細菌の力で植物の消化をしているので、温度によってその効率は大幅に変わります。効率よく摂取した食物を消化し、吸収するためには、適切な温度が必要です。

抱卵中のメスのエサに注意

●卵を持っているメスの場合、体内で卵殻を形成するためカルシウムの要求量が増大します。より注意深く観察を行い、栄養が不足しないよう用心しましょう。

まとめ

MBDは生体の命に関わる病気ですが、飼育方法を見直して予防して下さい。バランスの取れた食事と適切な日光浴は、爬虫類達の健康な暮らしに不可欠なものです。もし今回の記事を読んで不安な点があれば、一度餌や飼育環境を見直してみてください。

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